11代玄々斎宗匠は、明治の初め文明開化の中で西欧化が進み、日本古来から伝わる伝統や文化が否定される風潮を憂い、時の京都府知事に建白書「茶道ノ源意」を提出し、当時の為政者に茶道の文化的価値を認識させることに努められました。また、それまで大名や裕福な人たちだけの楽しみや教養であった茶道を若い世代の教育に役立てようと、女学校にその門戸を広く開放したことから、学校教育における茶道、すなわち「学校茶道」が始まりました。

高等学校での「茶道授業」

中学校での「茶道体験学習」

 1872(明治5)年に設立された京都府立新英学校及び女紅場(現 府立鴨沂高校)に12代又玅斎夫人が茶道師範として迎えられたのを始まりとして各地の女学校に「茶儀科」として茶道が広く採用され、茶道教授者の養成が急務となったことから、宗家において「第1回夏期講習会」が開かれ、今日に至っています。
 15代鵬雲斎大宗匠は、茶道を通じて青少年の健全育成に努められるとともに、その受け皿として1973(昭和48)年に財団法人今日庵に「茶道教育センター」を、1978(昭和53)年には淡交会の各地区・支部の学校茶道連絡協議会を総括指導するため淡交会総本部に「学校茶道部」を設け、学校茶道の組織的な基盤作りに力を尽くされてきました。
 また、16代坐忘斎家元は次代を担う若い世代を対象とした茶道紹介プログラム等の充実に努めておられます。

幼稚園での「お茶ごっこ」

ひなまつり茶会

主な事業

淡交会総本部(組織部)では、学校茶道の充実・発展を図るため、主に次の事業を行っています。


  • 「学校茶道担当者講習会」「学校茶道指導者研修会」の開催

    学校茶道担当者講習会は茶道に興味関心のある学校法人役員・学校(園)長・教職員を対象として裏千家茶道への理解を図り、学校茶道指導者研修会は学校茶道連絡協議会会員や学校での指導を希望する淡交会会員を対象として茶道指導者としての資質向上と学校教育への理解を図ることを目的に開催しています。

  • 「学生セミナー」の開催

    裏千家茶道を修道する大学生(大学院生・短期大学生を含む)を対象に、宗家において裏千家茶道の基本を学ぶセミナーを開催しています。(主催は一般財団法人今日庵)

  • 学校茶道エッセイの募集

    裏千家茶道を学ぶ中学校から大学(大学院・短期大学を含む)の生徒・学生を対象に、茶道活動を通じて感じたことや興味を持ったことなどを自由に書き綴る学校茶道エッセイを募集し、優秀作品を編集した冊子を発行しています。

  • 学校茶道「おしるし」・「奨励証」の発行

    家元のご厚意により、裏千家茶道に取り組む幼稚園・保育所から中学校までの子供たちには学校等の要請に基づいて、幼稚園児には「おしるし」を、小・中学生には「奨励証」を交付し、茶道の継続意識の高揚と啓発を図っています。高等学校以上の生徒・学生には許状の取得を奨励しています。

学校茶道指導者・担当者合同研修会

裏千家学生セミナー

学校茶道永年勤続者表彰

(地区・支部)学校茶道連絡協議会の活動

 全国17の地区、そして165支部2支所すべてに、学校などの教育機関において茶道指導を行う教授者と学校茶道教授者を志す方が登録する学校茶道連絡協議会が設置されています。
 各学校茶道連絡協議会では、学校現場における茶道教育の在り方を研究・協議するとともに会員の資質向上に関する諸活動を活発に展開しています。その数、全国の幼稚園から大学まで約7,000校を超え、学校の部活動や特別活動、そして授業としても広く採用されています。また、生徒・学生が参加する国際交流や地域社会へのボランティア活動など、さまざまな場で茶道を通じた教育活動が展開されています。
 また、「総合的な学習の時間」や「学校設定教科・科目」などで茶道を採用する学校も急増し、今日では学校教育の中にいかに茶道を位置付けるかなどについて、教育委員会や教育機関との連携を更に深めています。

合同茶会

お菓子作り

作陶