今月のことば
思わぬこと
千 宗室
淡交タイムス 10月号 巻頭言より
この度の長男の急逝につきご報告申し上げます。
倅・明史には中学生の頃から詩の世界に進みたいとの希望を持っておりました。親としては当然翻意してもらいたい気持ちでおりました。
しかし結果としてその固い意志を尊重し、曽祖父の圓能斎宗匠に因む菊地家の四代目として、本人の望む道に進むことと相成った次第です。家族との関係は良好で、何かにつけてこちらを訪ねてもいました。ところがこのお盆の大文字送り火お勤めの際、少し体調が悪いので欠席するとの連絡がありました。夏風邪でもこじらせたのかと思っておりましたところ、まさかその不調が肺炎を引き起こし、そこから数日で急性呼吸不全で亡くなるなど誰もが思いもよりませんでした。菊地として家族を持つ前の逝去で、そのようなことから近親者のみで見送らせていただきました。
選んだ道半ばでの逝去となりました。しかし、それでも多くの若い方が望むものを見つけ難いこの世の中で、夢見た世界を進めたことは明史には幸せなことだったと思います。
急なことゆえ様々な行事に出席できなくなり、関係される皆様方にご迷惑をおかけしますことをここにお詫び申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
