今月のことば

早瀬の先に

千 宗室

淡交タイムス2月号 巻頭言より

 昨年は鵬雲斎宗匠がまかるという思いも寄らぬことがあり、社中の皆さん方にはずいぶんご心配をおかけしました。それ故、新しい年を迎えるにあたり、二年続けて稽古始めという形で初釜式を執り行わせていただくことと相成りましたが、厳しい寒さの中、各地から教授者の方々に揃ってお運びいただき心強く存じた次第です。
 さて近年、少子化を理由に伝統文化の継承を案じたり、その存続を危惧したりする声が聞かれるようになりました。しかし、文化とは川の流れのようなものです。太く広く、ゆったりと流れる川も場所によっては早瀬になることがあります。
 長い歴史を振り返ると、茶の湯の世界も広い川幅のときもあればせせらぎのような時代もあり、その都度、少しずつ姿を変えながら絶えることなく今日まで流れ続けてまいりました。ひょっとすると今は、川幅が狭まり、水かさも減ってきているのかもしれません。しかしながら、たとえ細い流れであっても先に行くほどに川幅が広がっていくものです。
 このようなときであるからこそ、皆さん方としっかりと心を合わせ、利休居士から五百年にわたって受け継がれてきた茶の湯のを次の世代へ渡していけるよう努めてまいりたいと思っております。

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