レッスン風景

淡交社茶室「慶交庵」教室


レッスン風景4

 新たな年を迎えました。床の間には水仙が清々しく生けられ、吉祥の亀をかたどった香合が飾られています。初心者教室も残すところ3カ月となりました。

 12月から始まった、棚を使った薄茶点前のお稽古を繰り返し行いました。お稽古で使った棚は「丸卓」と「更好棚」。お道具に手を添えるときに指をきちんとそろえたり、お道具を遠くに置くときには腕の先だけでなく腰から重心を動かしたりするようアドバイスをいただき、日常生活でも意識するようになりました。美しく無駄のない所作に近づきたいと思います。

 2月のある日のお軸は「梅花和雪香(梅花雪に和して香し)」。寒さに負けず馥郁たる香りを放つ梅にたとえ、苦労や試練を乗り越えてこそ得られるものの尊さ。何事も最短・最速で目的を達成することに価値の置かれがちな時代に、はっとさせられる言葉です。

 「筒茶碗」の扱いも教えていただきました。底が深い筒状のお茶碗で、お茶が冷めにくいため、厳寒期に使われるそうです。お茶碗の形がいつもと異なるため、作法も異なります。季節に合わせたお茶碗があり、それに合わせた扱い方があることを知りました。客として一服いただくと、お茶碗を包んだ手が温まり、熱々のお茶が冷えた身体にポカポカと染み渡って、茶人の心遣いの奥の深さを知る思いでした。


レッスン風景3

 12月に入りました。床の間のお軸は「歳月不待人(歳月人を待たず)」。
長年、関心を寄せていた茶道を思い切って始められたことが改めて喜ばしく、日々怠らず、さまざまなことを吸収していきたいと気持ちを引き締めました。

 先月に引き続き、運びの薄茶点前のお稽古です。
亭主と客を順番にくり返すなかで、先生がしっかりと見てくださり、個別にもご指導してくださいます。
茶碗の清め方、茶筅通しの仕方など、基本的な所作をまだまだスムーズにこなせない私ですが、どんな些細な質問にも答えていただける雰囲気がありがたいです。

 今月は、お点前に使われた棗と茶杓を拝見する客と亭主の所作を学びました。大切に道具を扱うためのコツや、鑑賞のポイントをおさえ、鑑賞後は客が亭主と向き合って、棗の「かたち」や「塗り」、茶杓の「作」や「銘」をたずね、礼を述べます。
 茶杓の銘は季節や趣向により、ふさわしいものがあるそうです。12月だと「年忘れ」「都鳥」など。亭主の役になって、普段の生活にはあまり馴染みのない美しい言葉を口にするのが新鮮で、背筋が伸びる思いでした。

 棚を使ったお点前も教わりました。この場合は、あらかじめ棚に水指が置かれています。お点前の最後に水次(みずつぎ)で水を補うときは、棚の形により作法の異なることを知り、何事も理にかなっていることに驚きました。

 お稽古後の間には、実際のお茶事の様子や、都内にある茶室のことなどを先生がお話してくださいました。
少しのあいだ冬休みとなりますが、お茶道具の展示を観に美術館を訪れたり、自宅で薄茶を点てて美味しいお菓子とともにいただいたりしたいと思います。楽しみが豊かに広がっていくような心持ちで今年最後のお教室をあとにしました。


レッスン風景2

 11月に入りました。茶道では、11月は「茶人の正月」ともいわれる「炉開き」のときであると知りました。
床の間の装いも趣が変わり、花入れの「照り葉(紅葉した枝葉)」が、秋が深まったことを教えてくれます。お茶室という小さな室内空間に居ながら、同席する人たちと一緒に季節を愛でる時間が、あわただしい日々の安らぎになっていると感じるこの頃です。

 お稽古は、「盆略点前」にから、「運び点前」に進みました。
茶道口(亭主の出入り口)から、道具を一つひとつ、点前座へ運んでいきます。水指を手に持って立ち上がるときは、ずしりと重く感じましたが、両手の指をしっかり添えて丁寧に運べば大丈夫です。難しいのは、建水(水や湯を捨てるための道具)に柄杓をのせて運ぶとき。日ごろから姿勢に気を付けて、丁寧な所作を心がけたいと思うようになりました。

 初めは不安だった帛紗捌きも、ぎこちないながら身についてきましたが、ここにきて登場した「柄杓」の扱いには、正直、戸惑ってしまいました。柄杓には、お茶を点てるとき、最後に茶釜にお水を入れるときなど、それぞれに決まった扱い方があり、動きを使い分けなければなりません。
戸惑いながらも、先生のお手本を拝見すると、惚れ惚れと見入ってしまいます。
蓋置に柄杓をのせ、コツンと音を立てて柄を畳に置けば、お点前が始まる合図。
柄杓からお茶碗へ、清らかな音を立てて湯が注がれる音に、美味しいお茶への期待が高まります。
そして、お茶を点てるときの見せ場となる「切り柄杓」の格好良さ。お稽古を重ねて、私も柄杓を使いこなせるようになりたいです。

 お茶碗の拝見の仕方も教わりました。お茶をいただいた後で、低い位置でしっかりとお茶碗を手に取り鑑賞します。その絵柄や窯元、釉薬のかかり方、高台の景色などをしっかりと目に焼き付け、亭主のおもてなしの心を感じ取ります。
 亭主は、細部に美意識を込めながら、寛ぎの時間を客に提供し、客は五感を駆使してそれに応じる、ということでしょうか。茶道とは、なんて奥深い芸術なのだろうと、しみじみと感じ入りました。


レッスン風景1

 初めてのお稽古の日、私を含め5名の生徒が、3名の先生とお目にかかりました。お稽古のために揃えた道具は、帛紗(ふくさ)、扇子、懐紙と菓子楊枝、古帛紗(こぶくさ)、小茶巾、(必要に応じて)帛紗ばさみです。洋装で伺いましたが、マナーとして、持参した白いソックスに履き替えてお稽古に挑みました。

 最初に帛紗捌きの練習から。初めてのことなので、先生のなめらかな動きを自分が習得できるのか、さっそく不安になりましたが、全員が正しくできているかチェックしながら丁寧に教えていただきました。練習のしがいがありそうです。
 次に、お辞儀の仕方です。「真・行・草」の3種類のお辞儀があり、真がいちばんかしこまった形式で、順にカジュアルになり、それぞれ手の付き方に違いがあることを教わりました。
 また、実際に畳の上を歩きながら、お席入りの仕方も教わりました。畳に座るときの位置も決まっています。襖の開け方にも、添える手の高さや、左右の手の使う順序に決まりがあります。ひとつひとつに決まりごとがあり、初めは、すべて覚えるのが大変なように思いましたが、それぞれに意味があり、「美しく無駄のない動作」であると理解するようになりました。

 床の間のお軸は「和敬清寂(わけいせいじゃく)」。お互いの心を和らげて謹み敬い、清らかな心持ちでいることの大切さを伝える言葉だそうです。お軸、お花、お香合のひとつひとつを拝見しながら、初めてのお稽古という今日の場に、そして季節にふさわしい、おもてなしの心で迎えていただいたことをしみじみ感じました。

 次からは、「盆略点前」のお稽古です。茶道の美意識が反映された、心のこもったお点前ができるよう、しっかりお稽古を積み重ねていきたいです。


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