レッスン風景

シェラトン都ホテル大阪教室


レッスン風景7

 早いもので10月から始まった教室も半年が過ぎ、もう桜のつぼみが膨らむ季節になりました。シェラトン都ホテル大阪には、利休の弟子であった茶人、織田有楽斎の茶室を復元した有楽庵があります。

 3月はこのお茶室を実際に使わせて頂くことができました。私は夜のクラスですので日は暮れていましたが、暗闇に灯る有楽庵は美しかったです。有楽庵では先生が濃茶を練ってくださいました。その日は雨が降っており、小さなお茶室の中では雨や風の音が身近に聞こえました。湯が沸く音もよく聞こえ、先生の所作もすぐそばで拝見できました。

 先生のお点前は春の雨音と調和するようなしみじみとしたお点前でした。ご縁あって良き先生方と良きお仲間に恵まれ楽しい半年を過ごすことができました。先生が大事にされている「和顔施」のお言葉どおり、いつも和やかなレッスンでした。このコースが終わってしまうのが寂しくてなりません。茶を点てる側も頂く側も、言葉にしなくても同じ思いを共有していたのではないでしょうか。忘れがたいひとときでした。

 レッスン最終日は幹事長先生から初級の許状を頂きました。当初の目的ではちょっとしたお茶会によばれた時に失礼のない程度の作法を学べれば充分と思っていたのですが、いまでは茶道のレッスンのない生活は寂しいように感じます。

 この教室の終了後にさらに茶道を続けたい人には、目的や都合に応じた教室をいくつか紹介して頂けます。私のような初心者には最初から個人教室に飛び込むより、このような初心者コースで情報を集めて自分に合った選択ができるのは有難いです。

 私の希望はできれば自然を感じられる環境で茶道を習いたいのですが、大阪の街中では少々難しいところです。今後のことは未定ですが細く長く何らかの形で茶道を楽しめたらなと考えています。

 最後に、先生方はじめ参加者の皆さん、そして何より、今回一緒に参加してくれて私にレポートを書くことを勧めてくれた友人に感謝したいと思います。友人のおかげでなお一層楽しいレッスンになりました。皆様とまたご縁がありますように。


レッスン風景6

 2月、如月です。冬の寒さは増すばかりですが春らしい意匠のお菓子に気持ちが明るくなります。昨年10月から始まったこの教室もそろそろ終盤です。

 棚を用いた風炉の薄茶平点前を学んだあと、私たちは「花月」の練習をしました。5人一組となってお茶会を入室から退室まで再現します。折据の中に入った札をひき、「花」なら正客、「月」なら亭主になります。これは禅の修行なのだそうですが、畳の上の歩き方の練習にもなりました。初日のレッスンで幹事長先生が茶道の楽しみは幅広いと述べられていましたが、本当にそのとおりでした。

 最初のうちはyoutubeで点前の動画を探したり自宅でお玉を柄杓がわりに点前の練習をしたりして、お点前をすること自体が楽しかったです。ある参加者さんは、自宅の竹を切って柄杓を作り私達全員にプレゼントして下さいました。

 それから初釜を体験して「日日是好日」の世界を実際に見ることができました。点前や道具や茶室が形成されていく時代背景にも興味がでてきました。利休時代の歴史小説にはまられた方もいました。
 またある方は着付け教室にも通いだされたそうで、初釜での着物姿が本当に綺麗で印象に残っています。

 私はと申しますと、野や庭に咲く花を自宅に飾るという発想が素敵だなと思い、自分でもベランダで花を育て始めました。

 仕事で忙しい毎日でも何かに興味を持てるというのは、心が元気な証拠なのだろうと思います。参加者の皆さんが知的好奇心にあふれた魅力的な方ばかりで、私もそのパワーをいただいています。茶道に興味がある方には、この初心者茶道教室は本当におすすめです。やってみたいと思ったことはチャンスがあれば是非挑戦して頂きたいです。


レッスン風景5

 年が明けました。
 私たち受講者は、裏千家淡交会大阪北支部の初釜に参加させて頂きました。初釜の前にレッスンで濃茶の頂き方を練習し、当日は先生方がついていてくださいましたので、私のような初心者でも正式なお茶会を体験することができました。

 この初釜は1日で700名ほどの方が参加される大規模なものでした。ザワザワした雰囲気を想像していたのですが、意外にもお茶室には穏やかな心安らぐ空気が流れていました。たくさんの方々とご一緒に新年をお祝いできてよかったです。

 私は着物が好きなので大勢の着物姿の方々を拝見できたことも嬉しかったです。茶道を嗜んでおられる方々は着物の選び方にも立ち居振舞いにも品があり、着物の美しさがより引き立っていました。
 そのなかでも特に印象に残った方がおられたのですが、茶道を通じて毎日を丁寧に生きていたらあんな風に美しく年を重ねることができるのだろうかと憧れてしまいました。同じ教室のDさんも私と同じ事を感じたそうです。
 また、濃茶はお点前もお運びも袴姿の男性によるお席で、これが大変素晴らしかったです。茶道はもともと武士の嗜みでしたし、渋みはやはり男性ならではと感じました。

 私は日舞を習っているのですが、女性的な日舞に比べると茶道の所作は男性的でかっこいいと思います。お能の所作にも似ていると思います。これからは男性の茶道人口も増えてほしいものです。
 今回実際のお茶会に参加させて頂いたことで、レッスン5回分くらいの勉強になったように思います。初心者にも関わらず貴重な機会を与えて頂き本当にありがとうございました。


レッスン風景4

 早いものでもう師走です。12月はじめのお稽古では柚子を模したお菓子をいただき、季節の移ろいを感じました。
 さて、教室では引き続き薄茶平点前の練習です。12月からは「拝見」の練習も加わりました。お点前は、まず水屋での準備から始まり水屋での片付けで終わります。いままで観光地のお茶室でお茶をいただいたことはあるのですが、水屋を見るのは初めてです。

 最初に驚いたのは、水屋には瓶やたらいが置いてあり貯めた水を使うということ。昔は水がとても貴重だったことを実感しました。もちろん食器洗い機もありませんから、使った茶碗はひとつひとつ自分の手で洗います。そうやって道具を大事に扱っていると情がわいてきて、「今日もありがとうございました」と茶碗に語りかけたくなります。むかしの人が茶碗や茶杓に名前までつけて大切にした気持ちがわかるような気がします。手作りの品ですし、この世にひとつだけの宝物だったのでしょう。物に溢れた現代よりも昔の人の方が心豊かに生きていたのかもしれません。

 もう一つ水屋で感銘を受けたことがあります。私が菓子器に黒文字(取り箸)を添えて運びだそうとすると、先生が「黒文字が乾いていてはお菓子がひっついて取りにくいでしょうから、水で湿らせましょう」と教えてくださいました。本当の思いやりとは相手にそれと悟らせずに行うものだと聞いたことがあります。客も気付かないような細やかな心配りがあること感動しました。お点前だけが茶道なのではない、客の目には触れない水屋の作業や、さらには客が来るまでのあらゆる準備や心遣いが全て「茶道」なのだと学びました。

 そして、今年最後のレッスンでは先生方がクリスマス茶会を開いてくださいました。素敵すぎるサプライズでした!私達を喜ばせようとこの日のためにいろいろとご準備くださったに違いありません。先生方の優しいお気持ちが嬉しかったです。


レッスン風景3

 11月に入りました。茶道では11月から冬のしつらえに変わるそうです。床の間に飾られた花に季節の移り変わりを感じます。朝晩がずいぶん冷え込むようになり、温かいお茶がありがたくなりました。
 レッスンは盆略点前から薄茶平点前に入りました。憧れだった柄杓の登場です。

 この教室で茶道を習い始めて早2ヶ月。受講者の方々に感想をお伺いしました。

 むかし少し茶道の稽古をされていたAさんは、思った以上に体が覚えていて驚いたそうです。お点前をしていると、むかし指摘された言葉までフラッシュバックするそうです。

 学生時代に茶道部だったBさんは、社会人になってから学ぶ茶道は学生のときとは違う面白さがあると仰っています。

 Cさんは、釜の前に座って先生の指導で点前をすすめていると、なぜかとても幸せな気持ちになるそうです。見ている私達も癒される優しいお点前をされます。茶道が本当にお好きなのだと感じます。そんなCさんがお点前で一番難しいと仰る点は、手順でも柄杓の扱いでもなく、お点前が終わったあと無事に立ち上がれるかどうかとのこと。たしかに退室は、初心者の私達にとって点前のなかでとても緊張が走る場面です。「ウッ、しばしお待ちを!」と足が痺れて身動きできない私達を見て、先生方も笑いをこらえておられます。

 私はと言いますと、なかなか直らない悪い癖があります。まず、お菓子が目の前に運ばれると「お菓子をどうぞ」のお声を待たずにそそくさと懐紙をだしてしまう。そしてお菓子とお茶をいただいてしまうと、すっかり満足してご亭主へ「お仕舞いください」のお声がけを忘れてしまいます。

 お茶席は亭主と客との一期一会の交流が大事なのであって、決してお菓子を食べに来ているだけではないことを肝に命じたいと思います。
 そんなこんなですが、参加者の皆さんも良い方ばかりで毎週楽しくレッスンが進んでいます。


レッスン風景2

 10月は秋の実りへの感謝の気持ちが茶趣にもこめられているそうです。紅葉のお菓子は食べるのがもったいないほど可愛らしく、秋の野の花は先生がご自分で育てられたからでしょうか、懐かしく優しげな風情に心打たれました。

 本日のレッスンではまず、お辞儀の仕方、襖の開け閉め、畳の歩き方、床の間の拝見の仕方などを学びました。次にお客としてお菓子やお茶を頂く作法を学び、それから先生につきそって頂きながら「盆略点前」を行いました。手順はまだまだ覚えられませんが、お茶会の全体像を少しイメージできました。

 畳やお盆の上では物の配置が決まっています。使った物を決めた場所に戻すと見た目も美しいですね。片付けの苦手な私ですが勉強になりました。

 先生が茶道で一番大切にされているという言葉は「和顔施(わがんせ)」、仏教用語で「笑顔を施す」という意味だそうです。人生辛い時があっても笑顔を忘れずに生きてほしいと、素敵なメッセージを頂きました。お金がなくても体が不自由で何もできなくても、笑顔というおもてなしはできますね。そんな心豊かな人でありたいものです。これからお茶に触れるたびに、先生の言葉を思い出すだろうと思います。ありがとうございます。

 レッスンでは公開中の映画「日日是好日」の話題で盛り上がりました。所作のお稽古も楽しいですが、先生方や参加者の皆さんの雑談も楽しいです。


レッスン風景1

 シェラトン都ホテル大阪のお茶室「有楽庵」にて、「初心者のための茶道教室」を受講することになりました。
 私のクラスは夜の部ですので、8名の参加者は仕事帰りの方がほとんどです。シェラトン都ホテルは駅から直結しているので便利です。

 仕事の後で2時間のレッスンは大変かなと思いましたが、茶室という非日常な空間で茶道という、これまた非日常な時間をすごすのは、よい気分転換になりそうです。仕事帰りもあって皆さん洋服での参加でしたが、私はせっかくなので間に合えば着物で行きたいと思っています。

 初回レッスンでは幹事長からご挨拶がありました。茶道はお茶に限らず陶芸や書道などさまざまな日本文化から成っていて、その楽しみは幅広く奥が深いと伺いました。
 その後、参加者の自己紹介を兼ねて茶道を習おうと思ったきっかけを披露しあいました。皆さん動機はさまざまでしたが、茶道の世界に憧れを抱いていた点は同じです。私が茶道に魅かれたのは、慌ただしい毎日の中で一時でも心を落ち着け、人生をしみじみ味わう習慣が持てたらなと思ったからです。最近は季節を感じる機会が本当に少なくなったので、この教室での季節のお花やお菓子がとても楽しみです。

 先生方はとても優しく、丁寧に分かりやすく教えてくださいます。正座に慣れていない私たちに「無理だけはしないでくださいね」と足を崩すようすすめてくださり有難かったです。膝に不安のある方は椅子を借りることもできます。

 お茶室ではメモをとることはできないのですが、茶道は体で覚えるのが一番なのだそうです。20回のお稽古の間に同じことを何度も繰り返すので心配しないでくださいとのこと。そうやって体に染みこませた所作は忘れることがないそうです。
 レッスン最終日には綺麗な所作が自然と身についているといいなと思います。


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