レッスン風景

ホテルニューオータニ大阪教室


レッスン風景8

8月のお稽古の様子を報告いたします。

 8月に入り暑い日が続いています。汗を拭きながらお教室に着くと、毎回、先生が冷たい緑茶を用意して迎えてくださいます。
 お茶をいただき一息つくと、汗もひき、心静かにお稽古に向き合うことができます。利休七則を学んだ際「茶は服のよきように点て」については、利休が相手の状態を見てお茶の温かさや量を加減したお話を聞きました。また「夏は涼しく冬は暖かに」とは、エアコンを使うということではなく、暑い夏でも涼しく感じていただけるような心配りをするというように理解してくださいとお話しいただきました。
 ホテルは空調が効いているとはいえ、大阪の酷暑の中を通って来てすぐに沸いたお湯でお点前をするのは、心構えからしてなかなか難しいものがあります。
 そこにグラス一杯の冷たい緑茶を差し挟むことで、暑いという気持ちをリセットしお稽古に快く入っていくことができます。先生のお心遣いに感じ入るとともに、ここからもうお稽古は始まっていることを感じます。

8月に入り七事式の一つ花月の式を練習しています。

 五人一組で札を回し、花の札をとった人はお茶を点て、月の札をとった人はお茶を飲みます。そしてまた札を取り、それぞれの役割が変わっていきます。月の札ならすぐにお茶を頂き、花の札ならすぐに立ってお点前に向かいます。どの札があたっても慌てず冷静な判断をし、自分の役割を全うするという心の修練が花月の式には込められています。
 それは「互換機鋒看子細/ごかんきほうしさいにみよ」という言葉で教えられています。
 互換とは立場を自由に取り変わっても少しもこだわりのないこと、機鋒は鋭さ、看るは禅語では心の眼をもってみる、正しい眼で見るの意味、つまり亭主と客とのやりとりを細かく鋭く心の眼で見よとうことです。
 自分のおかれた環境で精一杯の行動ができれば、どこにあっても、どんな境遇でも慌てふためくことはないということです。

 一見、決まりきった形を行なっているように感じられますが、決まった中できちんと役目を果たすのは実は難しいことです。月が当たればすぐに茶碗を取り込み、素早く飲んですぐにお茶碗を返す、花が当たればすぐにお点前に向かう、そのタイミングを逃すと全体の流れに響き、他の方に迷惑をかけることになります。やはり緊張を緩めず、鋭く子細に全体を見渡して臨機応変に行動する必要があるということです。

 茶席だけでなく、普段の生活でも互いのコミュニケーションは大切です。社会の中での自分の役割を知り、それに見合った動きをすることは簡単なことではありません。花月の式のお稽古で心を鍛錬し、茶道だけでなく日常生活でも思いやりのある美しい行動ができるようになればと思います。


レッスン風景7

7月のお稽古の様子です。

 七夕ということでお稽古のお部屋の前に笹が飾られていました。一人一人が願い事を書きました。「お点前が上手になりますように」「おいしいお茶が点てられますように」など、茶道の上達を願う短冊が多かったようです。

 今日のお軸は鵜飼の絵が描かれたものでした。先生より京都の鵜飼の様子などのお話を伺い、暑い日でしたがスッと気持ちの涼む思いがしました。

 私たちのお教室では、棚の薄茶のお稽古に並行して、毎回、立礼のお稽古も行われています。膝の調子が悪い方や、捻挫をしている方などだけではなく、正座ができる方でも順番に立礼の棚でお稽古をさせていただいています。

 私たちがお稽古をしている棚は御園棚という名前であることを教えていただきました。

 畳でのお点前は、お道具が畳の幅に納まっています。立礼の棚の幅は畳よりも広く、それぞれのお道具の場所が遠くなります。男性は普通にお点前をされますが、小柄な女性になると柄杓を置く角度などを工夫し、なんとか不自然なお点前にならないような工夫が必要になります。

 先生もそれぞれの体格に応じて、体で覚えていってください、と一人一人の背丈や手の長さに応じたアドバイスを下さいます。

 お茶をいただくのも立礼ですので椅子席になります。
 椅子席の後ろの畳の間では、並行して棚の薄茶のお点前のお稽古が行われています。

 お茶会に参加した時には立礼のお席に通されることもあるそうです。このように椅子席でお茶をいただくお稽古をさせていただいていると、そんな時も動じずにお茶をいただき、お茶会を楽しむことができそうです。


レッスン風景6

第10回のお稽古の報告です。

 割稽古、盆略点前に続き、薄茶のお稽古を5回ほど終えました。まだまだお点前の順番があやしくなったり、お道具の扱いが上手にできなかったりと、課題は山積していますが、皆さん楽しくお稽古に通っています。
 のんびりとした朝昼のクラスとは違い、夜のクラスの方はお勤め帰りの方々が多く、短い時間に集中してお稽古しておられるようです。
 夜は男性も多く、きりりとした雰囲気が感じられます。

夜のクラスで教えてくださっている先生です。

そして、いよいよ本日より棚が登場しました。

 丸い棚は「丸卓」、四角い棚は「更好棚」という物だと教えていただきました。形によって合わせる釜の形、柄杓の置き方、棗の置く位置、水を足す時の水差しの扱いなど異なります。
 そこには陰陽の組み合わせがあり、そのように扱う理由がそれぞれあり、すべての物事に意味があるのだという説明を先生が丁寧にしてくださいました。
 説明を聞いてから改めて棚を見ると、なるほどそこには極めてシンプルな形で、しかし奥深い完璧に美しい世界が見えてきます。

 静かに置かれた物たちの中に世界観を感じることは、わくわくするような喜びであり、これからもっと知らなかった何かを見せていただけるのだろうかという期待に嬉しくなります。

 棚のお点前は棚の形によって少し違う箇所もあり、これまで練習してきた薄茶のお点前とも違うところがあり、頭の中を整理するのに皆さん大変です。これからしばらく棚のお点前が続きます。楽しみながらお稽古に励みたいと思います。

 本日のお菓子は透き通った美しいお菓子です。梅雨にふさわしい風情です。このようなお菓子をいただくときは、懐紙に硫酸紙という薄い紙を重ねるとお菓子がくっつかなくていいですよ、と先生が薄い紙を見せてくださいました。なるほど、その紙を重ねるとベタベタせずに美しくお菓子がいただけます。
 そんなところまで心を配り、所作の全てが美しくあるようにという細やかさに触れ、茶道を始めてよかったなと改めて思いました。


番外編

 5月28日日曜日、北野先生のお取り計らいにより、大徳寺で行われた利休忌に参加する機会をいただきました。
 利休忌は毎月28日の利休の追善茶会です。初めてのお茶会で皆さん、やや緊張している様子でした。

 秀吉が利休に切腹を命じた理由になったと言われる利休像が安置されていた金毛閣を見学し、法要に参列させていただいた後、いよいよお茶席に入りました。

 何もかもが初めてのことでどうすればいいのか分からない私たちでしたが、坐忘斎御家元様が「初心者の茶道教室の皆さん、頑張ってください」と声をかけてくださいました。
 お茶席では日本全国からいらっしゃった先生方の中でお茶をいただきました。たいへん緊張しましたが、各地の先生方が「初心者なのに落ち着いてきちんとされていますね」と褒めてくださって嬉しかったです。
 教室でお茶のいただき方は何度か練習しましたが、所作の練習以上に、和敬清寂の「寂」、どんな状況でも動じない心という茶道の哲学を繰り返しお話くださった北野先生の教えが、緊張しつつも皆さんが落ち着いてお茶席に座れた支えになっていたことを感じます。

 お墓参りもさせていただきました。そして偶然にもお墓では鵬雲斎大宗匠にお目にかかることができました。温かいお言葉をいただき、握手をしていただき、記念写真も撮っていただきました。

 その後もう一席お茶席に入らせていただきました。

 先生のおすすめのたいへん美しいお庭を散歩し、今宮神社まで足をのばし、名物のあぶり餅をいただきました。

 最後は泉仙の鉄鉢料理をいただきました。たいへんおいしいお料理で、全ていただいた後の器がきれいに重なるのが楽しいです。

 食事の後は茶道資料館に入館して展示を見てまわり、またお茶をいただきました。その後、裏千家兜門の前で写真を撮り、今日庵のあたりを散策しました。

 盛りだくさんの1日でした。お茶会だけでなく、贅沢な大人の遠足という感じでした。本当に楽しい1日で、これも先生方の細やかなお心遣いのおかげです。

 朝は15分ほど早めに集合場所に着いたところ、すでに先生はいらっしゃっていて私たちを待ってくださっていました。

 お茶席とお茶席の間の待ち時間も、お道具の説明やお茶席のお話をずっとしてくださいました。荷物の取りまとめから名所の案内まで、常に私たちを気にかけて楽しませてくださいました。休憩の際も私たちをまず座らせてから、先生は最後に腰をおかけになります。常に皆を気にかけてくださる、そのお心遣いが茶道の心なのだと感じました。

 大徳寺での本格的なお茶席の経験もすばらしい学びでしたが、先生方のお心遣いから学ぶことが非常に多かった今日1日でした。
 これからも目に見えるお点前だけではなく、気持ちの持ち方、心の在り方を学ばせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。


レッスン風景5

第5回の報告です。

 今回はお稽古に先立って、千利休の茶道に対する思いである和敬清寂(四規)、そして利休七則についてお話をしていただきました。
 茶道のお稽古に限らず、生活の全ての場での人としての在り方を教えていただいたと感じました。

今日のお軸は先生の書で「和敬清寂」でした。

 そして、いよいよ柄杓が登場しました。薄茶のお点前を習いました。先生が丁寧に教えてくださるのですが、どうしても先生のように格好良くいきません。
 先生が3人いらっしゃるので、畳では2組に分かれて、そして椅子席も作っていただき、3カ所でそれぞれお稽古をしていただきました。

 少人数で見ていただけるので、分からないところ、出来ないところは、出来るようになるまで何度も練習させていただきました。
 お稽古の2時間を過ぎても「どうぞ納得のいくまで練習してください」と先生方は気長に付き合ってくださいます。
 うまくいかなくても「私もよく間違いますよ」と先生方が笑顔でリラックスさせてくださいます。
 家で練習するのは、お玉がいいかしら、菜ばしがいいかしらと皆で冗談を言いながらの本当に楽しい時間でした。


レッスン風景4

5月10日

 今日のお軸は5月は子供の日があるということで、とても可愛らしい兜のお軸でした。花入は鼓で、お軸と花入の組み合わせの説明をしていただきました。毎回、お軸、お花、そして花入のお話がとても楽しみです。

 知らないで見ているとただ可愛い絵としか見えませんが、季節ごとの組み合わせがあり、その時にしか目にすることのできないお軸やお花であることを教えていただくと、本当に学ぶことは楽しく、知ることは素晴らしいと感じます。

 今回は割稽古をした後、一人ずつ亭主役をしました。初めての経験で、みなさんの見ている前でのお点前なので、緊張しました。

 お菓子は枇杷のお菓子でした。お菓子のいただき方も種類によって異なるので、毎回教えていただきます。

 今日のお稽古でとても印象深かったのは、茶道は見える所作、そしてお菓子やお茶をいただく味覚の他に、畳を歩く音、お湯を注ぐ水音、お茶を点てる茶せんの音、お茶杓を置く小さな音、着物のきぬ擦れなど、お茶室の中にある音もまた茶道であり、茶道が総合芸術であるというのは、そういった見えること、味わうこと、聞くこと、すべての感覚を使って行われるものであるからですと、先生が お話しくださったことでした。

 お稽古に来る前は思いもよらなかった広い世界が、この狭い和室の中にあるのだと感じました。


レッスン風景3

 今回は所用のため朝のクラスに振り替えさせていただきました。生徒さんの顔ぶれが前回までとは異なります。

 今回は一人に一式ずつ、お盆に載せたお道具が用意されていました。前回までの復習をしながら、ふくさを捌き、お道具を清め方、茶巾をたたみ、それぞれどこに置くのか、順に練習していきました。

 何度練習しても、簡単にはいきません。

 どうしても手先が気になり、基本の姿勢が崩れてしまいます。先生は、ゆったりとした身体全体でのお点前になるように、決して手先だけのお点前にならないようにと、常に基本に帰って教えてくださいます。
 本日のお菓子は薯蕷饅頭でした。

 お菓子によっていただき方が異なり、本日のお菓子は手で割っていただくものでした。お茶を点てるのもなかなか思うようにはいきませんが、ともに学ぶ方の点てたお茶をいただき、自分の点てたお茶を飲んでいただくのはとても楽しく、嬉しいことです。

 先生のお話は興味深く、お軸やお花、お道具のお話だけでなく歴史のお話もあり、毎回楽しみにしています。

 次回はどんなお話が聞けるのか、待ち遠しいです。


レッスン風景2

 お茶室への入り方を練習しました。所作はもちろんのこと、どうして茶室の入り口が腰をかがめて入らないといけないほど小さいのかなど、茶道の考え方やその意味などを詳しく学ぶことができました。。

 畳のお部屋での歩き方、お軸やお花、釜の拝見の仕方を学びました。

 畳の上で袱紗捌きの練習、おなつめ、お茶杓の清め方の練習をしました。

 みなさん、なかなか上手くいかないのですが、3人の先生方が本当に丁寧にそばで教えてくださいました。

 本日のお菓子は、「春の舞」という名前がついていました。

 一生懸命に練習し、お菓子もお茶もおいしくいただきました。お菓子をいただいている間も、先生方はお菓子のお話や、お茶を点てる時の気持ちの持ち方についてたくさんお話をしてくださいました。

 お茶を点てる、いただくということは、その行為のみならずそこに込められた人と人との美しい心の在りようが表現されているのだということを感じました。


開講

 先生は3人いらっしゃいます。受講生は6人です。初めはみなさん緊張していらっしゃいましたが、先生方がたいへん優しく、時にはユーモアを交えお話ししてくださるので、リラックスして楽しく参加することができました。

 まずお道具の確認をしました。いつ何に使うのか、1つ1つ確認しながら説明を受けました。

 お菓子をいただき、お点前の体験もしました。見よう見まねで楽しく体験できました。

 ここまでは椅子席で行いました。

 ここからは畳の席に移動しました。
 靴の脱ぎ方、座り方、立ち方、お辞儀の仕方、掛け軸やお花の説明など、日常生活の中にあるのに実はちゃんと知らなかったことを知ることができました。

 あっという間の2時間で、先生方のお話は楽しく、お菓子も美味しく、とても有意義な時間でした。

 次回が楽しみです。


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