第54回学校茶道指導者研修会・第44回学校茶道担当者講習会 合同研修会
研修テーマ「今に適したお稽古の充実を」
― 持続可能な茶道の指導体制の構築に向けて ―
令和6年7月20日(土)、21日(日)の2日間、宗家、ザ・プリンス京都宝ヶ池を会場に開催。淡交会各学校茶道連絡協議会の会員76名、全国の裏千家茶道採用校の教職員10名の計86名が受講しました。
学校茶道合同研修会は茶道指導者と学校関係者の相互理解を促進するとともに、学校教育における茶道の役割や可能性を考える機会として毎年開催しています。
7月20日(土)
<開講式>
午前10時30分からの開講式で千 宗室家元は「子どもたちには点前の手順やルールよりお茶を楽しむ経験が大切になります」と話され「皆さんは学校教育の一部を担っています。それぞれの指導校の校風、生徒の雰囲気を知り、上手に茶の湯へのきっかけを作ってあげてください」と結ばれました。
<分科会Ⅰ>
受講者は学校種ごとに7グループに分かれ、アドバイザーの進行のもと、自己紹介をはじめ互いの指導校の現状などを語り合いました。
アドバイザー
◆大学・各種専門学校 船生宗敏氏(元東日本国際大学教授、淡交会東北学校茶道連絡協議会委員長、いわき支部副幹事長)
◆高等学校A 吉田宗石氏(前プール学院理事長兼中学校・高等学校校長、淡交会東京第六西支部副支部長)
◆高等学校B 永野宗隆氏(高知県教育委員、高知大学教職大学院客員教授、淡交会高知支部)
◆中学校 波佐間宗清氏(元下関市教育委員会教育長、淡交会参事、西中国地区地区委員長、下関支部副支部長)
◆小学校A 伊﨑宗一氏(関西福祉大学教育学部大学院客員教授、淡交会神戸第二支部)
◆小学校B 梶川宗尚氏(淡交会川崎支部副幹事長)
◆幼稚園・保育所(園)・こども園 辻 宗治氏(淡交会参事補、岐阜支部副幹事長)
<呈茶・点前の指導方法の解説>
平成茶室「聴風の間」にて業躰部により一碗が呈され、涼やかなひと時を楽しみました。引き続き、裏千家学園3階では泉本宗玄今日庵業躰が「点前の指導方法の解説」として子どもたちに指導する際のポイントを解説、受講者からは日々の稽古での注意事項などについて活発な質問がありました。
<懇親夕食会>
午後5時30分から懇親夕食会を開催。野口耕一淡交会専務理事・今日庵事務局長の挨拶に続いて、アドバイザーの波佐間宗清氏の発声で乾杯。学校種ごとにテーブルを囲み和やかに懇親が深められ、アドバイザーの船生宗敏氏の中締めの挨拶で締めくくられました。
7月21日(日)
<分科会Ⅱ>
初日に続いて学校種ごとに分科会を開催。前日の内容を踏まえ、より踏み込んだ情報交換の場となりました。
<全体会>
アドバイザーの永野宗隆氏の進行により、分科会の内容を各グループの代表7名が発表。最後にアドバイザーの吉田宗石氏による総括がありました。
<閉講式>
長谷川義翁淡交会常任理事・総本部事務局長兼組織部部長より、学校茶道指導者研修会の受講者を代表して吉岡宗美氏(岩見沢支部幹事長)、また、学校茶道担当者講習会の受講者を代表して柿本宗美氏(輪島市立東陽中学校校長)にそれぞれ修了証が授与されました。
続いて、主催者を代表して長谷川常任理事より挨拶があり、その後、佐久間宗理氏(沖縄支部常任幹事)が受講者を代表して謝辞を述べ、2日間に亘る研修会が終了しました。
事前配信
<講義>千葉加恵子(宗恵)氏 公立大学法人 国際教養大学准教授
自身の研究テーマ「茶道を中心とした伝統文化の魅力をいかに次世代につないでいくか」を基に、学校茶道指導者としての経験を交え多様性社会を生きる子ども達が茶道を学ぶことの意義について講義
<事例発表>沖縄学校茶道連絡協議会
独自の取り組み「学校茶道推進校事業」とその成果。 学校茶道は指導者の個人運営ではなく行政や支部・協議会と連携・協働し、子ども、学校、指導者が安心して取り組める環境を整えることが重要であるとの発表。
受講者の声(アンケートより)
- 手探り状態で始めて、分からない点、疑問点が明確になりました。一学期が終わったこの時期に研修会に参加して良かったと思います。
- 学校で茶道を実践する本来の意味や、これからの未来を担う子供たちに伝えたいことを自分なりに捉え直すことができました。自分自身のあり方についても心がけるべきことが明確になりました。
- たくさんのお知恵や元気をいただき2学期のお稽古が楽しみです。
- 始めたばかりの学校で悩みがありましたが、皆さんのお話から解決の方向性が見えてきたように思います。特にアドバイザーの先生の進行や助言に、大きな希望のようなものを見出せたように感じました。
- 不安に感じていたこと、迷っていたことなどについて、多くの示唆をいただき心強く感じました。学校の状況はそれぞれに大きく違っていても、志を同じくする方が全国にいることがこれからの励みになりそうです。