千 玄室大宗匠 京都大学清風荘にて講話

講演会

 令和4年11月17日(木)、京都大学清風荘(京都市左京区)において「第4回清風荘サロン」が開催され、同大学大学院特任教授を務める千 玄室大宗匠が「学びの想い」と題して講話をされました。
 「清風荘サロン」は、専門家や学者を講師に迎え、京都大学総長はじめ大学関係者らが膝を交える懇談会です。識者の知見を将来の大学運営に生かすとともに、参加者同士の親睦を深めることを目的として一昨年から開催されており、今年度は建築家の安藤忠雄氏や作家の平野啓一郎氏などが招かれています。

 清風荘は、明治末期に内閣総理大臣を務めた西園寺公望が別邸とした建物です。もともと清華家の一つ・徳大寺家の下屋敷で、徳大寺家出身の公望の生家だったことから、公望の実弟で住友家に養子入りした住友友純が譲り受け、整備をしました。数寄家建築の名匠とうたわれた二代目八木甚兵衛が設計・施工し、庭園は七代目小川治兵衛の作庭によるものです。公望の没後、昭和19年に京都大学へ寄贈され、以来、迎賓や研修の施設として利用されており、平成24年に重要文化財に指定されました。 

 大宗匠は、淡々斎宗匠と共に清風荘を訪れた思い出や「京都大学心茶会」発足の経緯から話を始め、自身のさまざまな経験を振り返り、学びの大切さを熱く語られました。最後に、利休居士の哲学と和敬清寂の精神に触れ、「お茶は国や言語を越えて人間を結ぶ絆になります。和やかな心を養い、日常生活に生かしてほしい」と訴えかけられました。

 また講話終了後、庭園を臨む茶室に会場を移し、倉斗宗覚 今日庵業躰の点前で参加者に一碗が呈されました。