茶のこころ

和敬清寂

茶道は日本のさまざまな伝統文化を集成した総合芸術だと言われています。現代において社会や家庭、また教育の現場からも失われつつある日本の伝統を受け継ぐとともに、古来の風習や習慣、地域の風俗なども大切に残しているからです。

また、一服(いっぷく)の茶を通じて、もてなす側ともてなされる側がいて、これを茶道では亭主と客と言いますが、両者が心を通わせ合う時間と空間を共有するところに茶道の良さがあります。そこは、年齢や性別、人種を越えて互いに相手を思いやる場となります。茶道はそのような精神性を大事にしながら、美術工芸品に関するさまざまな美学をも取り込んでいきます。茶道のこのような特徴が総合芸術だと称される理由であるといえるでしょう。