ご挨拶

利休居士第15代 前家元
茶道総合資料館名誉館長
鵬雲斎 千 玄室

 昭和39年(1964)に裏千家15代家元を継承した後、歴代が収集してきた茶道に関する図書を収蔵・保管するための「今日庵文庫」の設置を図ったのは、昭和44年のことでありました。しかし、茶道を学ぶためには、私が提唱しております「道」「学」「実」の三位が一体化する必要があると考え、茶道美術の展示公開・普及活動を実践するために、昭和54年11月、博物館法に基づく「茶道資料館」を開館し、総合的に茶道を学べる「茶道総合資料館」を裏千家センター内に開設いたしました。
 以来、茶道美術の愛好家はもちろんのこと、研究者の資となるべき美術館活動が評価され、平成8年文化財保護法に規定する公開承認施設に承認されました。
 茶道資料館は平成26年に開館35年を迎え、150回を超える茶道文化に関する展覧会を開催してまいりました。この間、平成11年には、開館20周年を機に、生涯学習の時代に応えるべく、茶道資料館友の会を発会。会員の皆様が、心の糧として体感していただけるよう茶会や研修会、国内外研修旅行などの事業を展開しております。平成18年には、次代を担う学生・生徒方に茶道を通じて日本の伝統文化の良さを伝えるべく、国立大学法人・学校法人を対象とした茶道資料館メンバーシップを発足。美術資料の鑑賞と茶道体験等によって文化の時代に応えたいと念願しております。
 これも美術品を快くご出品くださいました所蔵家の皆様をはじめ、友の会活動をご支援してくださる会員の方々、当館に足を運んでいただく入館者の方々のお蔭と存じます。
 また、財団法人茶道文化振興財団で実施しておりました茶道文化検定は、平成23年から茶道資料館に移管し、「学」の拠点としての一端を担い継続しております。
 一方、今日庵文庫の蔵書は6万点を超え、茶道研究のための重要な研究機関としての役割を果たしており、この資料を公開すべく研究紀要『茶道文化研究』の出版を継続しております。
 最後になりましたが、ご支援の皆様には心より御礼申しますとともに、当館がより多くの方に親しまれ、茶道文化を発信する拠点として発展していきますよう館員一同一層の努力を重ねてまいります。今後とも何卒ご指導ご支援をお願いいたします。

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