「お茶は心をこめて、おいしく点てましょう」という意味です。「服（ふく）のよきように」というのは、舌（した）の先でおいしいと感じることだけでなく、一生懸命（けんめい）に点てたお茶を客がその気持ちも味わっていただくという、主と客との心の一体感を意味しています。

　炭（すみ）に火をつけさえすれば必ずお湯がわくとは限りません。湯がよくわくように火をおこすには、上手（じょうず）な炭（すみ）のつぎ方があります。しかし、そのつぎ方を形式だけでのみこんだのでは火はつきません。本質をよく見極（みきわ）めることが大切です。

　「花は自然に入れなさい」ということですが、「自然そのままに」再現するというのではなく、一輪（りん）の花に、野に咲く花の美しさと自然から与えられたいのちの尊さを盛りこもうとすることに真の意味があります。

　茶道では季節感（きせつかん）を大事にし、表現します。夏ならば床に「涼一味（りょういちみ）」などのことばをかけたり、冬ならば蒸したての温かいお菓子を出すなど、自然の中に自分をとけこませるような工夫をします。

　「時間はゆとりを持って早めに」ということですが、ゆとりとは時間を尊重（そんちょう）することです。自分がゆったりした気持ちになるだけでなく、相手の時間を大切にすることにもなります。そのときはじめて、主と客が心を開（ひら）いて向かいあうことができます。

　「どんなときにも落ちついて行動できる心の準備と実際の用意をいつもすること」が茶道をする人の心がけであることをいおうとしています。どんなときにも「適切（てきせつ）に場に応じられる」自由で素直（すなお）な心を持つことが大切です。

　「相客」というのは、いっしょに客になった人たちのことです。正客（しょうきゃく）の座にすわっている人も末客（まっきゃく）の席にいる人も、おたがいを尊重（そんちょう）しあい、楽しいひとときを過ごすようにしなさいと利休（りきゅう）は説（と）いています。