千 玄室大宗匠、フィンランドを訪問
− 日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念茶道行事 他 −

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ヘルシンキ大聖堂

  千 玄室大宗匠は令和元年10月10日(木)から13日(日)までフィンランド・ヘルシンキを訪問されました。2019年は日本とフィンランドの外交関係樹立100周年、大宗匠が会長を務める日本とフィンランドの民間交流団体 関西日本・フィンランド協会の設立40周年にあたります。また裏千家淡交会フィンランド協会も発会30年を超えることから、これらを記念する諸行事に臨まれました。

  ◇トューラ・ハータイネン 国会第一副議長表敬訪問
  10月11日(金)、大宗匠は日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念茶道行事に先立ち、村田隆 駐フィンランド日本国特命全権大使とともに、フィンランド国会議事堂にてトューラ・ハータイネン 国会第一副議長と面談。大宗匠とハータイネン氏は日本とフィンランドの共通点などについて歓談され、コーヒーを好まれるハータイネン氏に大宗匠が健康の秘訣として抹茶を勧められるなど、終始明るい笑いに満ちた会合となりました。
  

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Photos (above two) by Hanne Salonen/Finnish Parliament

◇日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念茶道行事
  会談後、大宗匠はアレクサンテリ劇場へ移動され、11時から日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念茶道行事が開催されました。(共催:裏千家、関西日本・フィンランド協会、在フィンランド日本国大使館 協力:淡交会フィンランド協会)
  ヨウニ・エロマー 淡交会フィンランド協会名誉会長の司会による開会後、大宗匠、村田大使による主催者挨拶、続いて、来賓を代表しハンナ・コソネン 科学・文化大臣からご挨拶がありました。

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大宗匠挨拶コソネン大臣挨拶

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村田大使挨拶

  両国国歌斉唱の後、大宗匠による両国のさらなる友好および世界平和を願う献茶式が厳修されました。大宗匠は各国大使、外交関係者などの来賓、関西日本・フィンランド協会会員、淡交会フィンランド協会および近隣海外協会会員、裏千家みどり会同窓会会員など約250名の参加者が見守る中、厳かに一碗を献じられました。

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  続いて執り行われた和合の茶会では6名が登壇。大宗匠が練られた濃茶を分かち合い、両国の友誼を深めました。

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  【登壇者】
    村田隆 駐フィンランド日本国特命全権大使
    ハンナ・コソネン 科学・文化大臣
    マッツ・ロフストロム 日本フィンランド友好議員連盟会長
    冨田憲男 前フィンランド日本人会会長
    ヤリ・グスタフソン 雇用経済省次官
    安藤絵里子 フィンランド日本人会副会長

  和合の茶会後、休憩を挟んで大宗匠が「一碗からの平和」と題して講演されました。大宗匠は物事には全てルール(道)があり、茶道もまた道の一つであるとしたうえで、「茶道では一碗のお茶に感謝する謙虚な心の大切さとともに、他人に対する優しさや気遣いを教えられます。お茶の心を理解し世界中の人々に伝えていくことができたら、自ずと戦争はなくなるはずです」と平和を願う気持ちを述べられました。
  講演会に続いて、茶道デモンストレーションが行われました。参加者は点前やその意味など、大宗匠の解説に興味深く聞き入り、終了後の質疑応答では、茶碗の歴史や客の所作等に関して、多くの質問が寄せられました。

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講演会茶道デモンストレーション

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参加者の質問に答えられる大宗匠

  会場内には淡交会フィンランド協会による呈茶席が設けられ、近隣海外協会やみどり会同窓会の協力のもと、参加者に一碗が呈されました。

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◇アンティ・リンネ 首相表敬訪問
  茶道行事終了後、大宗匠は村田大使とともに政府官邸を訪問し、アンティ・リンネ 首相と会見されました。日本とフィンランドの文化や両国の交流などが話題に上り、和やかなひとときとなりました。

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リンネ首相、村田大使と記念撮影

◇関西日本・フィンランド協会40周年ならびに裏千家淡交会フィンランド協会30周年記念茶会・昼食会
  翌12日(土)には、関西日本・フィンランド協会40周年と淡交会フィンランド協会30周年を記念した行事が催されました。
  1979年に日本とフィンランドの文化・経済交流、国際親善を促進することを目的として設立された関西日本・フィンランド協会(会長 千 玄室大宗匠)は、文化交流使節団の派遣や、フィンランド文化省との協定による文化学術交換留学生制度を通して両国の友好促進に寄与しています。大宗匠の提案により、裏千家でも毎年フィンランドからの留学生を受け入れています。
  交換留学生制度により裏千家で学び、フィンランドへ戻った留学生を中心として発会した淡交会フィンランド協会も30周年を超え、また2004年にはヘルシンキにあるユネスコの世界遺産スオメンリンナ島要塞群に茶室「徳有庵」が完成し、日本文化交流実践の地として活用されています。
  今回、大宗匠がフィンランドを訪問されることから、両協会の節目を記念する茶会と昼食会が計画されました。

【記念茶会】
  記念茶会では淡交会フィンランド協会が徳有庵、みどり会同窓会が同じくスオメンリンナ島内の別会場にてそれぞれ茶席を担当。手製の菓子で参加者をもてなしました。

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フィンランド協会席 床

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フィンランド協会席 主菓子「実り」

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みどり会同窓会席 入口

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みどり会同窓会席 干菓子

【記念昼食会】
  茶会後、スオメンリンナ島からヘルシンキ市中心部へ会場を移し、関西日本・フィンランド協会 坂田文保事務局長の司会により開宴。村田大使、ユハペッカ・ラウタヴァ フィンランド海軍士官学校長ご夫妻をはじめとする来賓も含め、約100名が出席。フィンランドでの行事の最後を彩る、楽しい雰囲気の会となりました。

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来賓方大宗匠を囲んで

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