伊住禮次朗様、ボストンを訪問
− 茶道裏千家淡交会ボストン協会設立60周年記念行事 −

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ボストン公共図書館

  伊住禮次朗様は、令和元年10月10日(木)から14日(月)まで米国ボストンを訪問され、茶道裏千家淡交会ボストン協会60周年の諸行事に臨まれました。
  この度の行事に参加するために、北米を中心に150名程の裏千家修道者がボストンに集まりました。

  10月11日(金)は午後1時より、ボストン公共図書館を会場に、行事参加登録者を対象とした特別講演が行われました。協会を代表してグレン・ペレイラ幹事長により歓迎の言葉が述べられた後、禮次朗様による「茶の湯釜とその周辺」と題した講演が行われました。茶の湯文化が生活様式と深く結びつきながら大成されてきたこと、茶の湯文化の大成とともに、茶の湯釜が裏方の湯沸かし道具から客前・室内に定着し、唯一茶道具の中で茶事の開始から終了まで茶室内に存在する道具となったことを、歴史的背景をたどり、文献、史料で裏付けながら解説されました。途切れなく続いた質疑応答にも丁寧に答えられ、予定時間を大きく超えることとなりました。
  ボストン公共図書館は、1848年創設で米国最古の公立図書館であり蔵書は500万冊以上で米国最大、イタリア・ ルネッサンス様式の建築の美しい図書館です。

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  翌日、12日(土)には、午前9時より、ウェスティンホテル・コプリープレイスにて記念茶会が行われました。ボストン協会が菓子席、濃茶席、薄茶席からなる茶席を設け、待合にはこれまでの歴史をつづった写真集が置かれました。禮次朗様は、参加者とともにボストン協会の会員の心のこもった席を廻られ、それぞれの趣向を楽しまれました。

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濃茶席

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薄茶席水指 京焼 ボストン図

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薄茶席

  同日、午後7時より、同ホテルにて、記念式典、晩餐会が始まり、司会による開会、来賓紹介の後、デビッド・ハウエル協会会長による歓迎の言葉、禮次朗様からのご挨拶がありました。禮次朗様からは、ハウエル会長にお祝いの品が授与され、新任の在ボストン日本国総領事館 大森摂生総領事には名誉顧問の委嘱状が手渡されました。その後、総領事、ボストン市長代理よりお祝いのご挨拶を頂き、会員の功労者表彰が行われました。乾杯の挨拶は日頃よりボストン協会がお世話になっている美術館、アートコンプレックスのチャールズ・ウェイハウザー氏が行い、参加者は食事とともに懇親を深めました。

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ハウエル協会長へのお祝い授与大森総領事への委嘱状授与

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功労者表彰謝辞を述べるペレイラ幹事長

  最後は、ペレイラ幹事長の謝辞で締めくくられました。ペレイラ幹事長は、長年の夢だった周年行事を開催することができ、宗家から禮次朗様にお出ましいただけた喜びと、今後一層米国で茶道を広めていくとの誓いの言葉を述べました。

  最終日、13日(日)、禮次朗様は行事に先立ち、ハーバード大学茶道部を訪問されました。ハーバード大学には1996年に鵬雲斎大宗匠が寄贈した四畳半又隠写しの茶室があります。茶道部による茶室の説明と呈茶を受けられました。

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バーバード大学内茶室にて大学茶道部のメンバー、講師陣と共に

  ハウエル会長はハーバード大学歴史学教授で東アジア言語文明学科長を務められています。禮次朗様は、茶室訪問の後、ハーバード大学内のハウエル会長のオフィスを表敬訪問され、盆略で一服差し上げられました。ハウエル会長は、思いがけない一碗に感激されたご様子で、重ねてのご所望がありました。

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ハーバード大学東アジア言語文明学科ハウエル会長に呈茶

  同日、午後1時より、ハーバード大学での、一般参加者を対象としたご講演「日本の喫茶文化史」と茶道デモンストレーションに臨まれました。この講演会は、ハーバード大学茶道部の受け入れで、ボストン協会、在ボストン日本国総領事館が共催し実現したものです。

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茶道デモンストレーションハウエル会長による講評

  冒頭、主催者としてハウエル会長ならびに大森総領事にご挨拶を頂きました。禮次朗様は歴史をたどりながら、日本における喫茶様式の変遷、茶の湯空間が成立していった過程や背景、茶の湯が楽しまれていた堺の当時の様子等について説明され、今を楽しむことを意識して茶の湯文化が大成されてきたこと、古い教えに学びながら、現在というものを尊び、模索していくことの大切さを伝えられました。一般参加者から飛び交う様々な質問にも丁寧に回答されました。最後に、ハウエル会長より講評と締めくくりの言葉があり、禮次朗様は、200名程の聴衆の拍手に包まれて会場を後にしました。

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