千 玄室大宗匠、ロサンゼルスを訪問

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茶室「清風庵」ロサンゼルス・カウンティ美術館

  千 玄室大宗匠は平成27年5月22日(金)より26日(火)まで、米国カリフォルニア州ロサンゼルスを訪問され、第3回北米代表者会議はじめ日米友好・世界平和祈念献茶式及び和合の茶会・講演会などの各種行事に臨まれました。

 ◇第3回北米代表者会議
  23日、第3回北米代表者会議に先立ち、大宗匠は会場であるハンティントンライブラリー、アートコレクション&ボタニカルガーデン(以下、ハンティントンガーデンと記述)内茶室「清風庵」(扁額は「清風」)にて開催された淡交会ロサンゼルス協会主催の茶会に出席。堀之内秀久 駐ロサンゼルス日本国総領事はじめ、原秀樹 国際交流基金ロサンゼルス所長や15代樂吉左衞門夫人 扶二子氏など来賓の皆様と共に席入りされ、3年前にハンティントンガーデンに移築された「清風庵」との縁について話されました。また、大宗匠が協会手製の主菓子に「楓清(ふうせい)」と銘をつけられました。

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茶室「清風庵」にて

  その後、午後3時よりハンティントンガーデン内にて第3回北米代表者会議が開催され、北米から70名の代表参加がありました。
  冒頭、大宗匠が「この度の第3回北米代表者会議のために皆様にお集まりいただきありがとうございます。ご意見をいろいろいただいて、もっともっと大きく北米のお茶が広がっていくことを心より願っています」と挨拶されました。

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大宗匠挨拶

  議長に選出されたロバート・堀 淡交会ロサンゼルス協会副会長の議事進行のもと、関根秀治淡交会副理事長からの宗家・総本部報告、弘田佳代子北米総局事務長より北米総局報告が行われました。

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関根副理事長より宗家・総本部報告弘田事務長より北米総局報告

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  続く協議事項では、北米内の茶道裏千家の発展にむけ、北米各協会の連携並びに教授者育成のための諸活動の推進を図るために、北米総局諮問委員の設置案やその意義などについて関根副理事長より説明。設置について代表者の賛同を得た後、大宗匠より諮問委員選考委員が指名されました。その後、別室にて諮問委員選定の協議を行い、大宗匠より諮問委員長並びに委員が指名され、代表者の賛同を得て諮問委員が任命されました。

・諮問委員長:(西部)  ロバート・堀      ロサンゼルス協会副会長
・諮問委員: (中西部)   郡司紀美子      アーバナ・シャンペン協会会長
                鍋田広子        ダラス・フォートワース協会、ミシガン協会幹事長兼任
        (北東部)  グレン・ぺレイラ   ボストン協会幹事長
        (東部)    ミラー澪子      ワシントンDC協会幹事長
        (ハワイ)  ウェイン・室本    ハワイ協会幹事長
        (カナダ)  アンドレ・ゴーバン  ケベック協会会長

  また、淡交会海外協会の運営について、弘田事務長より説明の後、淡交会ワシントンDC協会幹事長 ミラー澪子氏より協会の組織運営並びに収支報告について事例の発表がありました。
  更に、関根副理事長より北米協会の親睦を図るために、北米淡交会各協会の連絡先リストを作成し、インフォメーションの共有化についての説明があり、代表者より賛同を得ました。

  最後に事例発表が行われ、大学における茶道教育について郡司紀美子氏(アーバナ・シャンペン協会会長)から、地域社会との繋がりについて小西真美子氏(モントリオール協会幹事長)から、北米巡回研究会についてロバート・堀氏(ロサンゼルス協会副会長)からそれぞれ発表が行われました。

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ミラー ワシントンDC協会幹事長郡司 アーバナ・シャンペン協会会長

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小西 モントリオール協会幹事長堀 ロサンゼルス協会副会長

  会議終了後には、淡交会ロサンゼルス協会主催の大宗匠歓迎晩餐会が開催。堀之内総領事夫妻、テリー・トルネック パサディナ市長夫妻、ユジーン・サン サンマリノ市長などの来賓を含む約250名が出席し、大宗匠のこの度の訪問を歓迎しました。晩餐会では、大宗匠へロサンゼルス市より感謝状が贈られました。

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ロサンゼルス市からの感謝状と共に

 ◇ロサンゼルス・カウンティ美術館 日米友好・世界平和祈念献茶式及び和合の茶会・講演会
  24日午後からはロサンゼルス・カウンティ美術館で開催中の「樂−茶碗の中の宇宙」展関連事業として、日米友好・世界平和祈念献茶式及び和合の茶会・講演会が同館内ビング・シアターにて執り行われました。開式に先立ち、大宗匠は日本館にて開催中の樂展を訪れ、15代樂吉左衞門夫人の扶二子氏とご長男の篤人氏の案内で、今日庵所蔵の長次郎作「太郎坊」、「白鷺」をはじめ、樂家歴代、本阿弥光悦等の作品を鑑賞されました。

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樂展をご覧になる大宗匠

 ・第一部:日米友好・世界平和祈念献茶式
  開式にあたりロバート・シンガー館長より挨拶。琴とハープにより「さくらさくら」と「アメリカ・ザ・ビューティフル」の献奏の後、大宗匠が日米友好・世界平和祈念献茶式を厳修。600名を超える参加者が見守る中、大宗匠は厳かに一碗を点じ、日米友好と世界平和を祈念され、日米両国国旗に捧げられました。

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シンガー館長挨拶

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日米友好・世界平和祈念献茶式

 ・第二部:和合の茶会
  その後、壇上には堀之内総領事夫妻、ノーベル物理学賞受賞の中村修二カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授、ニコール・エバント元駐バハマ米国大使、グレン・ウェブ淡交会ロサンゼルス協会名誉会長、原所長、エルサ・ジルハム国際ロータリーガバナー、ジェームス・フォルソムハンティントンガーデン園長、トシエ・モッシャーハンティントンガーデン理事、リチャード・ウェイン氏(第二次世界大戦復員兵・退役軍人)が登壇。壇上の来賓方は大宗匠の呈された濃茶を順服されました。参加者一同が平和と友好を祈念する機会となりました。

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和合の茶会

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大宗匠挨拶堀之内総領事挨拶

 ・第三部:記念講演
  続く記念講演では大宗匠が登壇。樂焼はじめ茶陶の歴史について紐とかれつつ、千家と樂家の縁について話されました。また、「ぜひ、一碗の中にある宇宙を皆様それぞれがお茶を手に取って感じてください」と結ばれると、会場から大きな拍手が送られました。

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  講演に続いて、茶道デモンストレーションが行われ、山本宗知裏千家今日庵業躰による解説のもと、薄茶運び点前の実技指導を行いました。一般来館者を含む600名を超える参加者が茶道に触れる貴重な機会となりました。

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  行事開催時間の前後には、淡交会ロサンゼルス協会の奉仕で日本館に薄茶席が設けられました。講演会終了後には、大宗匠自らが点前をされ、堀副会長がその解説を務める場面もあり、一般来館者の多くは初めて味わう抹茶を堪能した様子でした。

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