千玄室大宗匠、北京および天津を訪問

   千 玄室大宗匠は、京都造形芸術大学の徳山詳直理事長、尾池和夫学長、北村 誠事務局長とともに、10月20日(日)から23日(水)まで北京と天津を訪問され、日本国大使館、中華人民共和国国務院、中国日本友好協会、天津商業大学において、劉延東国務院副総理への表敬などを行われました。

  21日には日本国大使館を訪れ、木寺昌人在中国日本国特命全権大使を表敬。大宗匠が「未来を創るのは若者です。彼らを中心に文化交流を進めていくことが大切だと思います」と語られると、木寺大使は大宗匠に賛同され、「両国には相互理解を深めることが必要な時期だと思いますが、文化交流においては少しずつ明るい兆しも感じます。文化交流は相互理解において欠くことのできないものです。今後も継続して進めていきたいと思います。」と述べられました。また、大宗匠は木寺大使と三上正裕公使に、天津茶道同好会の名誉会長、名誉顧問の委嘱書をそれぞれ手渡され、「北京をはじめ天津でも中国を源流とする茶道に取り組まれる方が増えています。一層の相互理解のため、地道に文化と文化が触れ合うようにしていきたい。是非お力をお借りできれば」と話されました。

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委嘱書を手渡される大宗匠(左:木寺大使、右:三上公使)

  翌22日、大宗匠は貴賓楼飯店王府庁において執り行われた蔡武文化部長主催の歓迎午餐会に臨まれました。蔡文化部長は訪中団に歓迎の意を表され、「大宗匠が、絶えず両国の友好を堅持し交流を深められたことに敬服し賞賛申し上げます。文化交流は両国の発展と友好のために重要であり、他の如何なる分野にもかえられない存在です。今後も一層の相互理解を深めるため、積極的な役割を果たすことが大切だと考えます」と述べられました。

  

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蔡文化部長に一碗を呈される大宗匠 左から尾池学長、徳山理事長、大宗匠、蔡文化部長

  大宗匠は蔡文化部長に対して、多忙にも関わらず会見が実現したこと、また長年の友情に感謝しつつ一碗を点てられ、同じ茶碗でご自服されました。また、大宗匠が蔡文化部長に徳山詳直理事長ご一行を紹介され、「これからも文化と芸術の力で両国の交流を促進し、『和』のネットワークを広げていきましょう」と終始和やかな雰囲気の中で歓談されました。

  同日午後は、中南海に劉延東国務院副総理を表敬されました。劉副総理は「文化交流は両国友好の架け橋です。裏千家には文化交流を推進させ、友好関係の改善と発展を促進していただけるよう切にお願いしたい」と熱心に語られました。これに対し大宗匠は「両国の関係改善と文化交流を図るため、一層積極的に努力してまいりたい」と応えられました。

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  23日午前には、中国日本友好協会において王秀雲副会長を表敬しました。王副会長は「今年は中日友好協会設立50周年にあたります。両国友好の歴史と共に歩んできた裏千家との長年の友情を忘れることは決してありません」と話されました。大宗匠は、「両国の平和な未来は、若者による芸術と文化の交流によって培われていくはずです。今後もこの流れを広めていきたいと考えています」と語られました。

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王副会長と友好の歴史を振り返る大宗匠 左から徳山理事長、王副会長、尾池学長、大宗匠

  同日午後は、天津商業大学図書館にて徳山理事長の著作である『芸術立国』(中国語版)の出版記念式が執り行われました。翻訳は劉書瀚天津商業大学学長が率いるグループが、1年間をかけて行いました。劉学長は「この著作を通じて、徳山先生の人徳に触れることができます。徳山先生は信念の人、苦難に直面しても志を変えない努力の人であり、見習わなくてはいけないと思います」と述べられました。大宗匠は「芸術は人びとの心に感動を呼び起こすだけでなく、人間を精神的な高みに導くものと思います。それは民族や言語を超えた共通のもの。この出版は日中の友好に大いに貢献すると考えています」と話されました。
  徳山理事長は「いま両国間を取り巻く環境は微妙ですが、両国の人間が本気で取り組めばどのような困難があろうと乗り越えることができるはずです。一緒に頑張りましょう」と語られ、出席した学生達と握手をしながら1冊ずつ贈呈されました。

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記念に送られた「芸術立国」と「和敬清寂」の書。
左から劉学部長、徳山理事長、書家の況瑞峰氏、大宗匠、劉学長

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