千 玄室大宗匠、サンフランシスコ訪問
―サンフランシスコ講和条約60周年記念―


picture picture

  本年(2011年)はサンフランシスコ講和条約及び旧日米安全保障条約の締結60周年にあたり、在サンフランシスコ日本国総領事館の招聘を受けて、千玄室大宗匠は9月7日(水)から11日(日)まで記念式典のため訪米されました。

  1951年9月8日、当時の吉田茂首相がサンフランシスコ市内のオペラハウスにて講和条約に署名、続いてゴールデンゲート・クラブ(旧米軍施設)にて旧日米安全保障条約に署名。 それから60年目の本年9月8日、当時のままの会場において、総領事館主催の記念式典並びに平和祈念献茶式が執り行われ、猪俣弘司駐サンフランシスコ総領事夫妻はじめ、現地政官財界関係者、日米主要団体関係者など200名が参列しました。
  日米のテノール、ソプラノ歌手による日米国歌斉唱の後、猪俣総領事が、大宗匠の紹介と献茶式の意義を説明、さらに、玄葉光一郎外務大臣のメッセージが紹介されました。
 メッセージ要旨:60年前の今日、講和条約、日米安全保障条約に署名したことで日本が国際社会に復帰する第一歩となった。今日、平和祈念献茶式のため日本から駆けつけてくださった千玄室大宗匠に感謝する。― 両国の友好関係と交流が更に強化されることを信じる。
  続いて、ヘイズ国務省サンフランシスコ事務所長によりヒラリー・クリントン米国国務長官のメッセージが代読されました。
 メッセージ要旨:安保条約で日米同盟ができたことで、東アジアの平和と繁栄に繋がった。さらに日米関係の強化のため努力したい。
  その後、大宗匠による平和と日米友好を祈願する献茶式が厳修されました。


picture picture

   両国国旗と講和条約の前文が掲げられた
   壇上に二碗を献じられる

  献茶式後、挨拶された大宗匠は、淡交会サンフランシスコ名誉会長ジョン・リッチ氏の夫人と子息の姿を目にされて駈け寄られるとともに、ご自身が60年前の訪米時に調印式に居合わせたこと、講和条約締結にあたり開催された「日本展」で当時司令官であったジョン・リッチ氏の父君に茶道紹介を依頼されたことなど、万感溢れるお話ぶりでした。
  その後、別室に設けられた呈茶席で参列者に一碗が呈されました。


picture

 【1951年9月8日、この地で日米両国は日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に署名した。50年に渡る両国の緊密な協力と固い友情を振り返り、ここに我々は、アジア太平洋地域の平和と安定の礎である日米同盟関係に対する誓いを新たにする。
  日本国政府 アメリカ合衆国政府 
   2001年9月8日】
picture


  同日の夕刻には、総領事公邸において記念レセプションが開催され、ジョージ・シュルツ元国務長官夫妻他150名が招待されました。

picture picture
シュルツ元国務長官と主催者として挨拶される猪俣総領事

picture
シュルツ夫妻、猪俣総領事夫妻と


  今年91歳になられたシュルツ元国務長官は次のように挨拶されました。
 挨拶要旨:私はアメリカで60人目の国務長官を勤めました。今年は日米講和条約及び安保 条約60周年でもありますため、“60”という数字は大変おめでたい、良い数字と感じます。今まで数十年間に亘って、私は様々な形で日米間の平和促進、又経済及び通商の発展に努めて参りました。これは日本がアメリカにとって大変重要な味方及びパートナーであるからです。1970年代にオイルショックやインフレ、1980年代に再び経済問題が発生した時期にも、我々と日本の政治家達は公式及び非公式の打合せを重ね、双方で協力・協議をすることで問題を解決・打破することができたのでした。
 過去60年間、日本とアメリカは常にお互いを支え合い、支援し合いながら深い友情と信頼関係を築くことに成功しました。今後も是非この重要な関係を更に深めて行く必要があり、次の世代にも是非とも維持に努めていただきたいと思います。

  翌9日夕刻より、ホテル日航サンフランシスコにおいて、淡交会サンフランシスコ協会主催の夕食会が開催され200名が出席。みどり会卒業生でサンフランシスコ協会副幹事長のラリー・ティスコニア・宗橋氏による司会・進行で和気藹々とした夕食会となりました。

picture picture
挨拶する原会長  60年来の友人ジョン・リッチ氏
  子息 マイケル・リッチ氏による乾杯の挨拶

picture picture
挨拶される大宗匠 協会発会当時から活動を続ける
小原宗香元幹事長の挨拶

  サンフランシスコ協会会長 原丈人氏の挨拶に続き、壇上に立たれた大宗匠は英語で挨拶され、この度の記念行事を無事終えた事、そして今日に至るまでの総領事館をはじめ協会会員の尽力・支援に対して謝辞を述べられた後、「お茶の基本理念『和敬清寂』を教え伝え、今後も更なる発展・成果を遂げるために、引き続き宜しくお願い致します。なお、私の健康と若さを保つ秘訣であるお茶を、どうか皆様も是非たくさん召し上がってください」 と結ばれました。

戻る