千 宗室家元、ドイツを訪問


  千 宗室家元、千 万紀子(財)今日庵理事、伊住禮次朗氏は、6月9日〜15日にドイツ連邦共和国を訪問されました。この度の訪独は、本年が日独交流150周年にあたることから、在ドイツ日本国大使館より要請があり、家元がこれに応じる形で実現したもので、一行は、ベルリンにおいて「日本・ドイツこども交流茶会」やクリスティアン・ヴルフ連邦大統領への呈茶など、諸行事を実施されました。
  また、本年1月に発足した茶道裏千家淡交会フランクフルト協会の発会記念行事にご出席のため、フランクフルトへも立ち寄られました。
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ベルリン コンラード小学校大統領府ベレビュー宮殿

  6月9日、ベルリン入りされた一行は、翌日10日、「日本・ドイツこども交流茶会」会場となるコンラード小学校に向かわれました。同校は、ベルリン市内から40分ほどの郊外にある、児童300名の学校で、ベルリン日本人国際学校(児童生徒32名)が隣接し、日頃から両校の交流が盛んです。講堂にはコンラード小学校児童70名と、日本人学校児童生徒32名が集いました。
  まず、コンラード小学校のハンス・ゲリット・プレッセン校長が歓迎のご挨拶、続いて神余隆博駐ドイツ日本国特命全権大使が家元の紹介も兼ねてご挨拶されました。

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ハンス・ゲリット・プレッセン校長神余隆博駐ドイツ日本国特命全権大使

  続いて挨拶に立たれた家元が、日頃口にしている飲み物について尋ねると、こどもたちから次々に手が挙がり、会場内は一気に和やかな雰囲気に包まれました。
  家元は、こどもたちにこの度のこども交流茶会の趣旨を説明されるとともに、日本のことや茶道のこと、道具や舞台上の畳などについて優しく語りかけられました。

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  家元がこどもたちを招き寄せた舞台の上では、万紀子さんが点前を、伊住禮次朗氏が客を務められ、デモンストレーションが始まりました。熱気あふれるこどもたちの視線に取り囲まれ、家元は一つ一つの動作や道具について丁寧に説明されるとともに、抹茶を懐紙に盛って、その製法等についても触れられ、こどもたちは興味深く聞き入っていました。

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  この度の行事には、ハンブルク、デュッセルドルフ、ミュンヘンの各協会からも会員がお手伝いとして参加、デモンストレーションに続く呈茶では、協会会員のお運びによりこどもたちがお菓子とお茶を味わいました。

  その後、こどもたちは2班に分かれ、DVD「お茶会に招かれて」(ドイツ語版)を視聴するとともに、実際にお茶を点てる体験をしました。家元は、DVDの冒頭にも解説を加えられ、映像の理解に努められました。点茶体験は二人一組となり、相手にお茶を点てることを学ぶ機会となり、こどもたちは、協会メンバーの助けで、茶筅を器用に動かしました。

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  閉会にあたり、ベルリン日本人国際学校の井澤恒晴校長がご挨拶、その後コンラード小学校と日本人学校の児童生徒代表から、家元にチョコレート、万紀子さん、伊住禮次朗氏に花束のプレゼントがありました。家元からはこの度のこども交流茶会の記念品が手渡され、日独両国のこどもたちの素直な反応が印象に残る「こども交流茶会」となりました。

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井澤恒晴校長

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デュッセルドルフ出張所

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ミュンヘン協会ハンブルグ協会

  クリスティアン・ヴルフ連邦大統領は、この度の「日独交流150周年」のドイツ側の名誉総裁で(日本側は皇太子殿下)、昨年の7月に連邦大統領に就任、大の親日家としても有名です。

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  午後2時、家元は大統領府ベレビュー宮殿にて大統領と面会、大統領に日本の伝統文化「茶道」を紹介されました。大統領は、一碗をゆっくり味わわれ、掛物や各道具について熱心に質問をされた後、点前座に移り、自らもお茶を点てられるなど、和やかな会となりました。

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右 クリスティアン・ヴルフ連邦大統領

  夕刻より、神余隆博特命全権大使公邸において、地元各界の知名士を招いた茶会が催されました。公邸の茶室は、家元が2001年にお披き、10年ぶりの訪問となりました。
  一席目の正客を神余隆博特命全権大使が、二席目の正客を祐子夫人がつとめられ、招待客にお茶とお菓子が呈されました。その後一行は、大使主催の夕食会で、親睦を深められました。

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左 神余隆博日本国特命全権大使右からお二人目が祐子夫人

  14日(火)には、本年1月に発足した茶道裏千家淡交会フランクフルト協会の発会記念行事が、ドイツ有数のプライベートバンクであるメッツラー銀行のゲストハウスにて、地元知名士多数出席の中、執り行われました。

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メッツラー銀行ゲストハウス

  まず、ヴィースホイ小野宗由会長が協会発足の経緯を含めご挨拶、家元からは協会に記念の品が手渡されました。続いて、ベランデッテ・ウェイラント市議会議長、重枝豊英総領事がそれぞれ祝辞を述べられました。
  家元は、記念講演の冒頭、大学で専攻した心理学と、ドイツ文学をまじえたユーモアで会場を沸かせ、また、宗旦居士の逸話に触れられ、いのちあるものを尊ぶ茶道の精神と、その思いを持って一服の茶を喫する茶人のこころについて説かれました。

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ヴィースホイ小野宗由会長

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ベランデッテ・ウェイラント市議会議長重枝豊英総領事

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  一階の広間に会場を移し、フランクフルト協会による呈茶席が設けられました。日独両国のお道具が並び、地元のお菓子でもてなしました。

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右 11代フリードリッヒ・フォン・メッツラー氏

  発会記念行事の最後はランチで締めくくり、万紀子さんの乾杯の発声で、にぎやかに開宴しました。

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  商業と金融の中枢の都市フランクフルトに、新たな日本文化発信の拠点として、淡交会の海外協会が誕生しました。今後の日独交流の大きな一歩として期待されます。

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