千 玄室大宗匠 米国シアトルを訪問



シアトル樹木園「松聲庵」


  千 玄室大宗匠は、5月9日から14日まで米国ワシントン州シアトル市を訪問され、ワシントン大学にて特別講義、シアトルアジア美術館にて講演・茶道デモンストレーションを開催されました。また、裏千家淡交会シアトル協会主催の歓迎茶会に出席。
  また、27年前にシアトル市樹木園内の日本庭園内に寄贈された茶室「松聲庵」を訪問されました。

  5月11日午前、大宗匠はフェアモントオリンピックホテルのスパニッシュボールルームのフォワイエに設えられた立礼席と茶箱席を、駐シアトル難波充典日本総領事とともに回られ、裏千家淡交会シアトル協会会員手作りの主菓子と干菓子で、歓迎の一碗を受けられました。茶会終了後、同ホテルのガーデンコートに場所を移して大宗匠主催の昼食会が催され、難波総領事等の来賓、地元シアトルはもとより近隣のバンクーバー、ポートランド、サンフランシスコ、遠くはボストンなどから出席の同門ら130名を超える招待客は和やかなひとときを楽しみました。

立礼席茶箱席


大宗匠挨拶難波総領事挨拶


華やぐ昼食会会場


  5月12日の午後、大宗匠はワシントン大学ヘンリーアートギャラリーの講堂に於いて150名の学生や教授陣、日本文化に関心のある一般市民を対象に、「“一碗から平和”茶の心」と題した特別公開講義を行われました。茶道の点前作法の持つ意味や諸宗教との関連、また、儀式ではなく自分の心を修練する「道」であること、茶の心がやがては世界平和へと繋がることを分かり易く説かれました。感銘を受けた聴講者達はスタンディングオベーションで大宗匠を讃えました。
  講義に先立ち、ギャラリー内のカフェで同大学の茶道の講座を専攻している学生とOBによる呈茶が行われ、初々しい学生達の所作が好評でした。
  夕刻、大宗匠は総領事公邸で開催された難波総領事・ワシントン大学マーク・エマート総長共催のレセプションに出席されました。


ワシントン大学特別講義


呈茶席学生のお運び


レセプションの前、保坂英博首席領事の点前で一服


  5月13日の午後、大宗匠はシアトル美術館のアジア部門であるシアトルアジア美術館にて、ミミ・ゲイツ館長の歓迎を受けられた後、講堂にてレクチャー・デモンストレーションを行われました。あいにくの雨模様にもかかわらず、220席の講堂は満員になり多くの立ち見が出る盛況ぶりでした。演題は「世界の芸術 茶道 ― 平和の理念」。茶道の精神と陰陽五行や禅との関わり、日本の伝統文化に欠くことの出来ない「間」や「呼吸」を解説し、茶道は我々に生き方を教えてくれると説かれました。質疑応答の後、聴講者らは別室で呈茶を受けました。


シアトルアジア美術館




        呈茶席


  今回の大宗匠シアトル訪問は27年振りのことでしたが、シアトル協会は今年37周年を数え、大宗匠の蒔かれた茶道の種はしっかりと根を張って、「一碗からピースフルネスを」の理念とともに若い世代へと受け継がれていました。