千 玄室大宗匠 ユネスコ親善大使に任命


  千 玄室大宗匠は3月5日(月)夕刻、パリのユネスコ(国際連合教育科学文化機関)本部において、イリーナ・ボコバ ユネスコ事務局長からユネスコ親善大使の任命書を授与されました。これまでの大宗匠の茶道を通じた平和と文化への貢献が認められたことから授与される運びとなったものです。
  任命式に先立ち、大宗匠はユネスコ日本代表部 木曽功特命全権大使とともにボコバ事務局長に会見されました。ボコバ事務局長は大宗匠がユネスコ親善大使を受けられたことに謝意を述べられるとともに、翌日予定されているパリ日本文化会館での茶会に出席できるのを楽しみにしていますと述べられました。
  大宗匠はボコバ事務局長の祖国がブルガリアであるところから、「世界の人々が一杯のヨーグルトと一碗のお茶を飲むことが出来るようになれば、長く幸せな人生を送れるようになるでしょう」と話され、和やかな会談となりました。
任命式に先立ちボコバ事務局長と会見



ボコバ事務局長よりユネスコ親善大使任命書の授与




  任命式の冒頭、ボコバ事務局長は、「茶道の『和敬清寂』はユネスコの理念にも通じます。大宗匠は親善大使の本来為すべきことを既に果たしてこられました。この度、親善大使を引き受けていただき光栄且つ名誉なことです。ユネスコ・ファミリーも大宗匠を歓迎しています」と挨拶されました。
  続いて大宗匠は、「裏千家を継いだ時と同様の責任を感じています。茶道を通じて無形有形の世界文化遺産の選定などに貢献できるよう努力するとともに、『一碗からピースフルネスを』の理念を持ってユネスコのために最善を尽くしたい」と抱負を語られました。
  第1部の任命式の後、「日本の夕べ」と題する第2部では、木曽大使の挨拶の後、大宗匠は東日本大震災の犠牲者を追悼し、また世界平和を祈念して献茶式を厳修され、2碗のお茶を捧げられました。折からライトに照らされたエッフェル塔を望む会場では献茶式の後、参加者一同が犠牲者の冥福を祈って黙祷を捧げました。



  翌6日、ユネスコ日本政府代表部とパリ日本文化会館の共催で大宗匠の講演会が開催されました。会場となったパリ日本文化会館には裏千家寄贈の茶室「好日庵」があり、定期的な茶道紹介が実施されています。講演に先立ちユネスコ関係者に「好日庵」で呈茶が行われました。
  その後、館内のホールで大宗匠の講演会、デモンストレーションが行われました。自らも長年茶道を学ばれているパリ日本文化会館 竹内佐和子館長の挨拶に続き、木曽大使が大宗匠を紹介され、「大宗匠はご自身の戦争の体験をもとに永年にわたり平和の尊さを説かれてきました」と結ばれました。
  大宗匠は「親善の心、茶の心」と題した講演で「人と人のつながりの中では互いに敬い合うことによって争いがなくなり、平和が生まれるのです」など、初めて茶道に触れる聴講者にも分かり易く茶道の基本理念を説かれました。その後、大宗匠の解説による茶道デモンストレーションが行われ、続く呈茶席では約200名が一碗を楽しみました。
竹内佐和子館長 木曽功大使



大宗匠解説による茶道デモンストレーション
亭主 町田宗芳業躰、半東 堤宗穂パリ駐在講師、
正客 木村宗啓ロンドン駐在講師、次客、3客 パリ協会会員


パリ、ロンドン協会会員の手伝いによる呈茶席