千 宗室家元、財務省幹部職員セミナーで講演




  6月4日、千 宗室家元は東京都千代田区の財務省において開催された職員セミナーで講演されました。
  このセミナーは、行政に関わる広範囲かつ高度に複雑化した諸問題について研究し、内外情勢の変化に即応する行政運営に資することを目的に行われるもので、同省の事務次官ならびに本省と国税庁の幹部職員など約40名が出席されました。

  「一期一会の心得」と題して講演された家元は、「様々な日本文化を内包する茶の湯の世界は、日本文化のどの分野からも入ることのできる場であると同時に、あらゆる日本文化へ進むこともできる、いわば“日本文化のポータルサイト”ともいうべき世界」と説明。そのような広い間口を持つ茶の湯の根幹にある精神が「一期一会」であると語られました。
  家元は、眼の前にある一瞬一瞬に覚悟をもってしっかりと向き合う姿勢が「一期一会」の心であるとされ、禅堂での修行経験等について言及しながら、「未来への不安感は絶えず私たちにつきまとうものですが、過去にしっかりと思いを馳せることにより、その不安感ともうまく付き合えるようになるのではないでしょうか」と、己の心を自分自身で良い方向に向けることの大切さを強調されました。

  講演後に設けられた質疑応答の時間には茶室空間とその精神性に関する質問が寄せられ、家元は、お互いの場所を認識した上で自然に双方が歩み寄ることの出来る伝統的な日本の空間の捉え方について解説されました。