「母の居た場所」    


  著 者 : 千 宗室家元    

  四六版ハードカバー 245頁    

  定価・本体 1,300円+税    



平成11年3月9日、千登三子大宗匠夫人(浄光妙登大姉)のご急逝は、 すべての同門にとって余りにも大きな衝撃でした。

家元は、その悲しみと喪失感を、追悼の記「母の居た場所」という手記として、 その年の月刊中央公論の7月号に寄せられました。

「一片のピースが欠けたジグソーパズルほど哀れなものはない。 たった一カ所の空白がその全体から一切の生気を奪い取ってしまい、 物悲しさしか与えてくれないのだ。」 (本文より)

家元が40数年にわたって接してこられた母君の姿は、同門らにとって、 悲しくもより近しい存在として受け止められ、新たな涙と感動を呼びました。 この手記をもとに家元が書き下ろされ、ご逝去から10ケ月余を経て、 心の深奥をより真摯に見つめられ、さらに研ぎ澄まされた筆致で綴られています。 母君の実家である滋賀県・近江の五個荘、青春時代を過ごされた東京、戦時のエピソード、 そして嫁いでこられた京都…。 縁の地を尋ねられた家元の旅はそのまま、欠けたピースを探し求め、 悲しみの心を癒すための時間に重ねられます。 在りし日の浄光妙登大姉の面影を偲びつつ、家元の心に映った母君として、 大宗匠夫人として、そして、一人の女性としての姿が生き生きと蘇ってくることでしょう。
現在迄、ロングセラーとなっています。




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