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第115号(令和3年2月15日配信)

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『じゅうはっぷくめ』 千 宗史
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(写真:自作 卵焼き)

  換気はせねばなりませんが寒さの厳しい日もあり、換気のし過ぎで風邪でも引いてしまえば本末転倒。皆様如何お過ごしでしょうか。
  私事ですが、家にいることが増えたからか最近卵焼き作りにハマっています。味付けは東京風?のシンプルに甘い感じ。小さい頃から卵焼きは甘いのが好きなのです。動画サイトでいとも簡単そうに作られる美しい卵焼きの調理工程、それを脳裏に焼き付けた後すぐにコンロに向かうのですが、ある程度の形にはなれど・・・。百聞は一見に如かず、百見は一考に如かず、百考は一行に如かず。今回は料理の話でしたが、茶の湯にも、というかすべてに通ずることでしょう。何事もやってみなけりゃ分からんし、やってみなけりゃ上手くもならん。卵焼きは、僕にそう教えてくれました。

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【新連載】
茶の湯の銘あれこれ

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【東風 (こち)】

写真:菅大臣神社(京都市下京区)

  春の季語。
  春の訪れを告げる風をさし、「朝東風」や「梅東風」などの表現がある。「あゆ(あい)」「あゆ(あい)のかぜ」と読めば夏の季語となり、北海道西部から北陸地方の日本海沿岸に吹く風をさす。
「東風吹かば匂いおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな」(拾遺和歌集)は、太宰府に流されることとなった菅原道真が京の屋敷を発つときに詠んだ歌。詞書には「流され侍りけるとき、家の梅の花を見侍りて」とある。「飛梅」伝説となったこの梅の木を道真は少年の頃から折にふれて詠んでいた。菅原氏の邸宅跡(下京区菅大臣町)には現在、道真公を祭神とする菅大臣神社、父是善(これよし)を祀る北菅大臣神社があり、それぞれ「白梅殿」「紅梅殿」の別名がある。


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茶の湯トリビア
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  今回は茶と禅からの出題です。茶の湯が「わび茶」を目指すにつれ、禅への志向が強くなり、禅語を記した墨跡を掛けるようになりました。
  出題は『茶道文化検定』問題集の2級からです。

問1 関山慧玄(かんざんえげん)が開いた寺はどれですか。(2級)
@建仁寺(けんにんじ)
A建長寺(けんちょうじ)
B天龍寺(てんりゅうじ)
C妙心寺(みょうしんじ)

問2 墨跡の分類で、手紙・書簡のことを何といいますか。(2級)
@印可状(いんかじょう)
A法語(ほうご)
B尺牘(せきとく)
C道号説(どうごうせつ)


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「茶の湯トリビア」解答と解説
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  問1 正解:C妙心寺
  花園(はなぞの)法皇が自らの離宮に禅寺を開くにあたり、宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)がふさわしい禅僧として関山慧玄を推薦し、暦応5年(1342)に関山慧玄を開山、花園法皇を開基として妙心寺が開かれました。

  問2 正解:B尺牘
  尺牘とは手紙、書簡のことで、漢文で記されたもの。原意は一尺の長さの木簡です。『天王寺屋会記(てんのうじやかいき)』などで、しばしば茶会の掛物として登場しています。

  ご不明な点は「茶道文化検定」の各級テキスト、および問題集をご覧ください。


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