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第84号(平成30年7月17日配信) |
------------------------------------------------- 『はじめての』 伊住禮次朗 ------------------------------------------------- |
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(写真:はじめての茶の湯ワークショップにて) |
七月も半ば。いよいよ、夏真っ盛りという時季になりました。今年は友人の誘いをうけ、初めて祇園祭の御神輿を担ぐ予定です。これまでは前祭宵山で、缶ビールを片手に焼きそばをつつき、「人多すぎて動けへんなあ」とぼやくのが常であった私が、担ぎ手として神事に関わることになったわけです。神輿渡御は午後六時頃からですが、熱中症を何度か経験済みの常習者としては、きっちり水分を摂りながらおつとめさせていただこうと思っております。皆さまも、熱中症にはくれぐれもお気を付けください。 さて、茶道資料館は現在休館中ですが、茶の湯に触れたことのない方々に向けた企画「はじめての茶の湯ワークショップ」を開催しています。講義&実技指導(計2時間程度)のワークショップ形式で、3日間で茶の湯の基本的な要素を学ぶことができるようにプログラムを組んでいます。茶道資料館としては新たな試み。職員一同、良い体験をしてもらえるように日々努力しているところです。詳細は 私自身、「はじめて」尽くしの夏になりそうです。それでは皆さま、よい夏をお過ごしくださいませ! この度の西日本を中心に発生した豪雨により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。 |
------------------------------------------------- 茶人の逸話:高橋 箒庵 ------------------------------------------------- |
井上世外や益田鈍翁など政財界の人物たちの茶会の様子を新聞に連載し、彼らのスポークスマンをつとめ、自らも茶の湯を楽しんだのが高橋箒庵(そうあん)です。本名は義雄といいました。 箒庵は水戸藩士の子に生まれ、慶応義塾卒業後、福沢諭吉が創刊した新聞「時事新報」の記者となります。やがて井上世外に記者としての活躍を認められ、三井銀行に入り、大阪支店長となります。その時の部下に、阪急東宝グループの創業者小林一三がいました。さらに、三井呉服店の理事に転じ同店の近代化に着手、百貨店三越への礎を築く等、実業界で活躍しましたが、51歳で引退。以後、茶の湯の世界にどっぷりと浸かります。 箒庵を茶の湯の世界に引き込んだのは、鈍翁と同じく、益田非黙でしたから、非黙同様茶道具の収集にのめり込むと共に、「時事新報」を拠点として当時の数寄者の茶会の有様を伝え、『東都茶会記』・『大正茶道記』などの著作にまとめました。その一方、茶道具の聖典とされる『大正名器鑑』全12冊を刊行するという一大壮挙をなしとげます。しかし、同書に自己の所蔵品を載せてもらえなかった人々は「たいしょう、めーきかん」(大将、眼利かん)と嘆いたそうです。 |