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第59号(平成28年6月15日配信) |
------------------------------------------------- 『ひとこと、ごあいさつ』 伊住 禮次朗 ------------------------------------------------- |
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(写真:明石支部70周年・青年部50周年行事にて) |
みなさま、こんにちは。伊住禮次朗です。 兄・公一朗からのバトンをうけ、敬史、万紀子と続いてきた巻頭言。他人事のように思っていたのですが、ついにまわってまいりました。 私の近況はといいますと、本年4月から茶道資料館にて勤務しております。様々な面での実力不足をまわりに助けてもらいながら日々を過ごしているところです。 最後に、茶道資料館所属の雛壇芸人(!)として声高に宣伝させていただきますと、現在は、「文様ことはじめ−茶道具の文様と意匠」展が開催中です(6月26日まで)。よく目にする文様についても、改めて注目してみると知らなかった!ということが多く、私自身勉強になりました。是非一度ご覧になっていただければ幸いです。 |
------------------------------------------------- 茶人の逸話:狩野探幽 ------------------------------------------------- |
狩野探幽(かのうたんゆう)は、江戸幕府の御用絵師として活躍する一方、茶の湯のたしなみも深く、千宗旦とも交流があり、裏千家の「寒雲亭」の襖には探幽によって「飲中八仙図」が描かれています。 探幽の秘蔵する茶入に、大名物(おおめいぶつ)種村肩衝(たねむらかたつき)がありました。近江国(滋賀県)の守護佐々木氏に属した種村刑部少輔(ぎょうぶしょうゆう)が所持していたところから、この銘が付けられました。 ところが、明暦3年(1657)1月、江戸で起こった「明暦(めいれき)の大火」の大混乱の中、この茶入が行方不明になってしまいます。江戸の大半を焼失し、10万人以上の犠牲者が出た大火のさなか、探幽に命じられて茶入を運び出そうとした者が、大火に巻き込まれてしまったからでした。しかし、たまたま通りがかった飛脚が茶入を拾い上げて、これを京都で道具商に売り払いました。買いとった茶入が名品であることに驚いた道具商は、後難を恐れ、茶入を京都所司代(しょしだい)へ届け出ます。時の所司代牧野親茂(ちかしげ)が、幸いにも探幽の茶会で出された「種村肩衝」のことをよく覚えており、さっそく探幽に報せたので、代理人が京都に送られ、無事茶入を取り戻したということです。京都から江戸へ帰ってきたことから、この茶入には「都帰り」という別銘が付けられました。 |
------------------------------------------------- 千 玄室大宗匠:新刊書のご案内 ------------------------------------------------- |
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千 玄室大宗匠の著書が文庫版でも出版されました。 平和への願いを込めて国内外で活動を続ける大宗匠が、幼少からの現在までの様々な逸話などを織り交ぜながら、茶道の魅力、心の在り方、日本文化について分かりやすく説いた一書です。 この本についての詳細はこちら |