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第57号(平成28年4月15日配信)

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『いっぷくめ』 千 敬史
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(写真:京都迎賓館にて)

みなさんこんにちは。今まで伊住公一朗が身を削り、寝る間も惜しんで担ってきたこの冒頭ひとことですが、今号から彼を助けるべく、宗家の若者達が立ち上がります。トップバッターはわたくし千 敬史です。今後ともよろしくお願い致します。

随分と暖かくなってきましたね。花粉症の私にはつらいシーズンですが、宗家行事もいよいよ盛んになってきます。地区大会、お献茶式、支部の行事等もりだくさん、中には私が主としてさせていただくものもありますので、見かけたら気軽に声をかけてくださいね。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

それでは今月も心身ともに元気にやっていきましょう!

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茶人の逸話:吉野太夫
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  裏千家第13代圓能斎宗室の好んだ棚の一つに、名妓吉野太夫(二代目)に因む吉野棚があります。客付に円窓をくり抜いた腰板が付き、勝手付には炉では障子を、風炉では葭戸(よしど)をはめるようにした小棚です。吉野太夫が好んだという、京都・高台寺の茶室遺芳庵の吉野窓(よしのまど)から考案されました。
  吉野太夫は京都の豪商灰屋紹益(はいやじょうえき)に望まれ、一緒になろうとしますが、これを紹益の養父紹由(じょうゆ)が猛反対し、紹益を勘当してしまいます。それから程ないある日、用事で外出した紹由は雨にあい、ある家の軒端に雨宿りをしました。すると中から女性の声がして家に入るようにとのこと、その声に誘われるまま紹由が中に入ると、そこには露地が整えられ、燈籠、飛石、樹木とも茶味あふれるものでした。通された茶室も品よくまとまり、さらに、茶を点てる女主人の姿・物腰ともに申し分ありません。これは、と思いながら茶を一服いただくうちに雨もあがったので、女主人に礼を述べて帰宅した紹由が、さっそくその家の主を調べてみると、なんと勘当した息子紹益の相手、吉野太夫だったのです。
  こうして太夫の人となりを知った紹由は、息子の勘当を解き、ふたりの仲を許したということです。


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裏千家学園茶道専門学校
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平成28年度入学式
4月7日(木)、平成28年度入学式が執り行われました。今年度は本科・茶道科に12名、別科(1年コース・研究科春期3か月コース)に20名が入学。また、外国人研修コースにはウクライナやポーランドなどから4名が入学しました。

  


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