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第51号(平成27年10月15日配信)

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『20代最後の秋』 伊住公一朗
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(写真:櫻井神社献茶式にて)

こんにちは!
ようやく秋めいてきました。
私の大好きな金木犀の香りがそこら中に漂い、一人癒されております。
10月に入り諸行事も増え、家にいるよりもホテルで寝泊まりする日が多くなってきました。
私は10月生まれ。秋生まれの悲しい所は、他の季節よりも慌しく日々が過ぎるようで…
気づけば齢を重ねていた。というのが最近のパターンです。
今月でいよいよ20代最後。29歳になります。
何が変わるわけではありませんが、スポーツ界でいえば中堅。
茶道界でいえばようやく若手。
益々、精進してまいります!!
今月は岡山・滋賀・大阪で献茶式をご奉仕させていただきます。
皆様にお会いできることを楽しみにしております。

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茶人の逸話:松花堂昭乗
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  石清水(いわしみず)八幡宮の社僧(しゃそう)松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)は、茶の湯に堪能なだけでなく、書に秀で、本阿弥光悦・近衛信伊(のぶただ)とともに「寛永の三筆」の一人に数えられました。社僧とは、明治維新による神仏分離まで、神社に所属しながら仏事を行っていた僧侶をさします。松花堂にちなむものとして、「松花堂弁当」が知られていますが、これは昭和になってから、昭乗が絵具箱や煙草盆として使っていた四つ切箱を参考とした弁当箱に、茶会の点心を出したことに始まったといわれています。
  昭乗は書以外に絵にも才能を発揮しますが、その師は狩野山楽(さんらく)・山雪父子だともいわれています。この山楽という絵師は、浅井長政の家臣の子に生まれ、後に豊臣秀吉に仕え、秀吉の命により狩野派の巨匠狩野永徳(えいとく)の養子となった人物です。豊臣家が絡む作品を多数制作したため、大坂夏の陣後、豊臣家の残党と疑われ、徳川方から厳しい追及を受けることになります。この時、昭乗は山楽を石清水の自らの坊に匿いました。このことを知った徳川方から、山楽の引き渡し要求が昭乗に突きつけられますが、昭乗は「山楽は絵師であって武士にあらず」と言い張り、徳川方を追い返し、事無きを得たそうです。単なる社僧とは片づけられない茶人昭乗の側面がうかがわれます。


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千 玄室大宗匠 新刊書のご案内
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「千 玄室 あゆみ草」

  少年時代のこと、海軍時代のこと、僧堂の日々、初渡米の日々…。鵬雲斎千 玄室大宗匠が、平成21年以降に記された原稿に講演録と寄稿2編、関連写真を加えてまとめられた自伝的随想集です。
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