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第28号(平成25年11月15日配信)

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『寒暖』 伊住公一朗
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(写真:多賀大社献茶式にて)

こんにちは!
随分と冷え込んでまいりましたが、皆様お元気でしょうか?
私は先日インフルエンザの予防接種を受けてきました。
毎年、初釜に備えてこの時期に苦手な注射をしております。
身体のケアは社会人の基本!!と教わりました。
体力に自信のある方も保険だと思って最寄りの病院へ是非お出ましください。
さて冒頭で「冷え込んで」と書きましたが、私はいま中東のバーレーンに来ております。
ずばり、暑いです。
帰国するのが今から怖いですが、バーレーンの地に茶の湯が根付いていきますよう、しっかり努めてまいります。

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茶人の逸話:利休の妻 宗恩
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  利休が異国の女性と恋におちるというのは、小説や映画の世界のことですが、少庵の母である妻、宗恩(そうおん)との間は仲睦まじいものだったようです。二人をめぐる逸話をご紹介しましょう。
  利休が連歌師の宗祇が所蔵していた名品「千鳥の香炉」(ちどりのこうろ)を手に入れた時、利休と一緒にこの香炉を拝見した宗恩が、「香炉の足が1分(約3ミリ)ほど高くて格好が悪いのではありませんか、お切りになったらいかがです」と、利休に申しました。「私もそう思っていた、早速そうしよう」と、利休は職人を呼んで足を1分ほど短くしたということです。宗恩の美意識をうかがわせるものですが、利休も同じことを考えていたということは、二人の感性に相通じるものがあったということでしょう。『茶話指月集』にあるお話です。
  また、利休が秀吉の小田原攻めに随行する際、宗恩は今までのものより大きな帛紗(ふくさ)を縫い、「薬包みにでもお使い下さい」と利休に渡しました。渡された帛紗をみて利休は、「これは実に良い大きさだ、これから帛紗はこの大きさにしよう」と、言われました。それ以後は宗恩が縫った大きさのものが一般にも広まったようです。この話は『江岑夏書』(こうしんげがき)に収められています。宗恩は女性茶人の草分けとも言うべき存在ですが、茶の湯の作意にもすぐれた女性だったようです。


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