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第14号(平成24年9月15日配信)

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『100周年』伊住公一朗
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  こんにちは!
  ようやくうだるような季節を越え、朝晩はだいぶんと涼しくなってまいりました。
  さて先日、香川支部青年部の50周年記念大会がありました。
  久しぶりに千万紀子、そして私の2人での参加となりました。
  次世代の我々がこうして単独で行事に参加させていただく機会が増え、大変勉強にもなりますし、より皆さまと近づける貴重な場を作っていただける事、ありがたく存じております。
  いつも周年行事で思う事は、100周年・・・私は76歳です。
  多分、現役だと思われます。
  どうぞ各支部、青年部の皆さま、100周年目指して共にこの道の普及・発展に邁進いたしましょう!!
(写真:香川支部青年部設立50周年記念大会懇親会にて)

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茶人の逸話その6:牧村兵部
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  牧村兵部(1545〜1593)は美濃の武将・稲葉重通の子として生まれましたが、外祖父・牧村政倫の養子となり牧村姓を名乗りました。文禄の役で朝鮮半島に渡海し、各地を転戦しますが、文禄2年(1593)7月に彼の地で病没しました。

  当時の茶会記をひも解くと、兵部の名は数回登場しますがそのほとんどは客としてでした。兵部自身の茶会は、天正8年(1580)正月14日、佐久間甚九郎と津田宗及を招いて、琵琶湖畔の安土で催した一会のみが知られています。兵部はこの茶会で「ユカミ茶碗」(ゆがみ茶碗)という変形した茶碗を使用しました。これは古田織部の「沓形茶碗」に先行するもので、兵部のわびた茶の趣向のほどがうかがえます。
  ただ兵部の逸話として知られるものは一話しかありません。

  ある日兵部は利休を茶会に招いたのですが、当日朝寝坊をしてしまい、目覚めた時にはすでに約束の時間になっていました。驚いた兵部は「はや進退極まった」とあわてふためきます。奥方が太閤様との約束よりも大切なことを、となげくと、兵部はますますあわてて茶会の準備にかかりますが、その日の茶会はさんざんなものとなってしまいました。このことがあってから兵部の茶の趣向はとまってしまったそうです。


  兵部の弟、一宙東黙が開いた妙心寺の雑華院に兵部の肖像画が伝えられており、在りし日の面影を今に偲ばせてくれます。

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茶道資料館秋季特別展のご案内
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―茶会記にみる茶道具―
姫路藩主 酒井宗雅の茶と交遊
会期:9月29日(土)〜11月25日(日)
前期:9月29日(土)〜10月28日(日)
後期:11月1日(日)〜11月25日(日)

  この度の展覧会では、江戸時代中期の大名茶人の酒井宗雅が残した茶会記『逾好日記』と日次記『玄武日記』に記された茶会や茶道具、茶の湯を通した交遊等を取り上げ、宗雅の茶の湯に対する思いにも触れてみたいと思います。皆さまのご来館をお待ちしております。

夢・蝶図 酒井宗雅筆・抱一画 姫路神社蔵


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