千 玄室大宗匠 シンガポール訪問


picture picture picture


  千 玄室大宗匠は6月25日〜7月1日、シンガポール共和国を訪問されました。
  シンガポール独立45周年にあたり、シンガポール・ポリテクニック(シンガポール高等技術専門学校)並びに在シンガポール日本国大使館の要請を受け、大宗匠は記念講演会をはじめ、数々の行事に臨まれました。

picture picture

右からリム・ブーンヘン大臣夫妻、トミー・コー夫妻

picture
大宗匠の指導を受けながら一碗を点てられるブーンヘン大臣夫人


  6月25日山中誠駐シンガポール日本国大使の招聘により、大使公邸にて茶会が開催されました。招待者として次期首相候補の一人とされている首相府相兼高齢者対策担当相のリム・ブーンヘン大臣夫妻、日本政府より旭日重光賞を受賞されたトミー・コー外務省無任所大使夫妻、シンガポール建国の父リー・シェンロン首相の弟リー・シェンヤン夫妻、フレディ・アン茶道裏千家淡交会シンガポール協会会長が招かれ、心尽しの一碗を楽しまれました。
  リム大臣は「大宗匠がお点前をしてくださると聞いて二つ返事でご招待を受けた。シンガポールは比較的若い国でまだ独自の文化を模索中であり、日本から学ぶことは多い。お茶を実践することによって、世界の平和に通じるという大宗匠のメッセージは、正にその通りであると自分も思う。この様な素晴らしい機会に出会え、又、シンガポールにお越し頂き、心から御礼を申し上げたい」と挨拶をされました。
  大宗匠は茶の心について話された後、自らお点前をされ、リム大臣に一碗を呈されました。その後リム大臣夫人が大宗匠の指導の下、一碗を点てられるなど終始和やかな茶会となりました。

  6月26日、大宗匠はジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)での茶道パネル展のオープニング式典に出席されました。JCCはリー・シェンロン首相の提案により2008年の日本・シンガポール首脳会談に於いて合意され、日本文化情報発信拠点として開設されました。JCC所長には日本国大使館公使山本広行氏が就任されています。

picture picture
オープニングでテープカットをされる大宗匠、
タン・ハン・チェン シンガポール・ポリテク
ニック学長、山本JCC所長 
シンガポール政府より提供された土地と
伝統建築物が改修され日本文化発信
拠点となっているJCC


picture picture
写真パネルを中心に、裏千家茶道がシンガポール市民にも分かりやすく、解説されている

  夕刻にはラッフルズ・タウン・クラブにて大宗匠主催の懇親夕食会が開かれました。
  裏千家淡交会シンガポール協会タン・勢子名誉顧問、フレディー・アン会長をはじめ協会会員が一堂に会し楽しく和やかな交流の場となりました。また翌日27日は行事が予定されていないことから、急遽、大宗匠より業躰部による研究会が提案されました。協会会員一同、突然の嬉しい機会を得て23名が研究会に参加しました。

picture
シンガポールの会員クラブ、ラッフルズ・タウンクラブでの懇親会


picture
シンガポール協会道場にて開催された白波瀬業躰による実技講習


  6月29日、シンガポール教育省及び国家発展省グレース・フー上級大臣の要請により、教育省(MOE)オーディトリアムにて日本語を学ぶ生徒を対象に白波瀬宗幸業躰の「茶道とは−What is Chado-」と題した講演会が開催されました。スーザン・チェンMOE指導主任の「語学を学ぶということはその国の文化も知らなければならない」という教えをを受けて200名の生徒は熱心に聴講し、茶道を通じて初めて経験する日本文化に興味が高まったようでした。

picture picture

  6月30日、「平和の茶 −Peace in Tea−」と題してDBSオーディトリアムで大宗匠が講演されました。主賓のタン・ブーン・ファット国民議会前会長をはじめ、山中誠大使夫人、山本広行公使なども出席。タン氏は「30年前に京都で茶道を体験した事があり、そのときの印象はtranquility(寂)であったことが今も忘れられない。茶道は何百年も続いてきた素晴らしい要素が秘められている。まだ若い国のシンガポールは日本の古い文化・茶道から学ぶ事は多い。特にpeace(平和)とharmony(調和)について茶道から学べると思う」と挨拶。その後、大宗匠は初めて茶道にふれる聴講者にも解りやすいようユーモアを交えてお茶の歴史、もてなしの心、相手を敬う心などを説かれました。
  講演後の茶道デモンストレーションでは白波瀬業躰が解説、山本宗知講師が点前、シンガポール協会会員が客を務めました。
  ○聴講者からは次のような様々な感想が寄せられました。
ポリテクニック学生:最初はどうしてお茶を飲む事が平和と関係があるのかと思っていたが、お茶を点てる事により和敬清寂の気持ちが生まれてくることを知った。
お茶の緑は私たちの地球を表すのだ、と実感した。
ポリテクニック教授:全ての宗教に一貫して在るものがお茶の中に集約されているという大宗匠の言葉を多民族国家で暮らすシンガポールの子供達が証明しているのではないかと考え胸が熱くなりました。
一般聴講者:良いお話が聞け、自分の為になった。日々に役立てたい。お茶がとっても美味しかった。レクチャーも大変興味深い内容だった。

picture

picture picture
タン・ブーン・ファット国民議会前会長山本広行公使

picture picture
白波瀬業躰解説による茶道デモンストレーション
点前は山本講師、客はシンガポール協会会員
DBSオーディトリアムにて約400名の聴講者

picture picture

picture picture
呈茶席にて初めての体験に興味深々の参加者達

戻る