千玄室大宗匠、イタリアを訪問
〜裏千家ローマ出張所40周年記念行事〜




  千 玄室大宗匠は9月21日より27日までイタリア共和国を訪問され、裏千家ローマ出張所開設40周年行事、ローマ法王との特別謁見、また国際連合世界食糧計画(WFP)での呈茶などの行事に臨まれました。

  9月22日、大宗匠はローマ市郊外のWFP本部を訪問されました。大宗匠は始めにアミル・アブドゥーラ事務局次長、ジーナ・カサール事務局次長らと会談。続いて本部要人に呈茶を行われました。
  呈茶は、大宗匠の解説の下で鮒子田宗恵講師が亭主となり、前述の事務局次長ら8名の方に一碗が呈されました。ゲストの方々はお茶が終わってもなかなか会場を離れず、色々と質問されるなど大変茶道に興味を示されました。






  9月23日、大宗匠にはバチカン市国に於いて、ローマ法王ベネディクト16世との特別謁見に臨まれました。大宗匠には1984年にも時のローマ法王、ヨハネ・パウロ2世に登三子夫人と共に特別謁見されています。
  午前9時、大宗匠は、バチカンからの迎えの車にて、会場のパウロ6世ホールへ。大宗匠は日本司教団ローマ事務所所長の和田誠神父の紹介を受けて、ホール内壇上に進み特別謁見となりました。ローマ法王からの祝福を受けられた大宗匠は、法王に茶道の精神を伝え、更に「法王ご自身にも、自ら一碗を手にして茶道に触れて欲しい」と願われ、法王も「是非、一碗を頂きたいものです」と応えられました。またクリスチャンであった登三子夫人について話が及ぶと更なる祝福の言葉が贈られました。




 同日の夕刻、ホテル・ドゥ・ルシエの中庭にて出張所開設40周年記念ティー・パーティが行われ、参集した40名ほどの会員は、大宗匠を囲んで楽しい一時を過ごしました。




 9月24日、ローマ日本文化会館にて大宗匠による40周年特別記念講演が開催され、上野景文駐バチカン日本国大使夫妻、在イタリア日本国大使館の清水信介公使、裏千家淡交会ローマ協会エンリコ・ダンテ会長はじめ多数の方々が聴講しました。大宗匠は、茶道のキリスト教の共通点を所作と精神性の両面から指摘されるとともに人間形成において茶道の役割を紹介されました。その後は、ローマ協会のイタリア人会員による茶道デモンストレーションが行われました。








 26日、大宗匠は40周年を記念してローマ郊外のベネディクト派の修道院・聖ヴィンチェンツォ修道院に於いて開催された茶道講習会にて、講話をされました。大宗匠は、キリシタン大名であった高山右近と羽箒に関する話を紹介しながら「茶道具一つにも様々な想いが込められている。そのことを肝に銘じて稽古に励んで欲しい」と語られました。