千 玄室大宗匠 インドネシアを訪問




  千 玄室大宗匠は、6月20日から24日までインドネシア・ジャカルタを訪問され、ユドヨノ大統領を招いての茶会、インドネシア大学における特別講義をされ、また裏千家淡交会インドネシア協会20周年記念行事に出席されました。

  6月20日の午前、大宗匠はシンガポール経由でジャカルタにご到着後、ほとんど休まれる間もなくインターコンチネンタルホテルに。


 ◇ユドヨノ大統領へ友好の一碗

  午後3時よりユドヨノ大統領ご夫妻を招いて、日本・インドネシア国交樹立50周年を祝し、在インドネシア日本大使館と淡交会インドネシア協会共催の記念茶会が開催されました。






  茶会には塩尻孝二郎日本大使夫妻、ハッタ・ラジャサ国家官房長官、ムハマッド・ヌー情報通信相ら政府閣僚、淡交会インドネシア協会の名誉会長のブンガラン・サラギ前農相、マルリ・ポハン会長ら50人が同席されました。大宗匠の点てられた一碗を供されると、ユドヨノ大統領は、「ありがとう」と日本語で感謝の言葉を述べられました。その後、アニ大統領夫人が大宗匠の指導で点前に挑戦され、そのお茶を大統領が召し上がる等、一碗のお茶を介して和やかな雰囲気の中、国交樹立50周年に相応しい友好交流の深まりを感じる茶席となりました。大統領は「文化を通じた人と人の交流で両国関係を高めていけることを示していただいた。アジア人として茶の精神に心から共感する」と感謝の言葉が述べられました。
  この茶会には地元のメディアが多数詰めかけ、テレビのニュースや新聞各紙に大きく取り上げられました。


◇インドネシア協会20周年記念茶会・式典・大宗匠主催祝宴

  インドネシア協会20周年記念行事は、6月23日午後からホテル・ニッコー・ジャカルタを会場に行われました。
  午後1時から4時半まで行われた記念茶会には、ジャカルタの知名士等、招待客約300人の方々が参席。協会会員から心づくしの一碗が呈されました。






  茶会終了後午後5時より、駐インドネシア塩尻孝二郎日本大使御夫妻等を来賓に迎え、記念式典が行われました。席上、インドネシア協会の発展に尽力された方々への功労者表彰が行われ、大宗匠より賞状と記念品が授与されました。また協会発足当時から茶道指導にあたってこられたポハン宗邦幹事長、サニー・スンドロ宗喜副幹事長に「教授」の許状が親授されました。


ポハン会長サラギ名誉会長塩尻大使


功労者表彰教授資格親授


 《功労者表彰》

  特別功労賞: 故ドクター・スユディ前名誉会長、マルリ・ポハン会長、サニー・スンドロ副会長
  功労賞: ポハン宗邦幹事長、サニー・スンドロ宗喜副幹事長、西野宗知名誉顧問
  感謝状: ドクター・ブンガラン・サラギ名誉会長、エム・パイマン顧問
  会長表彰: イブラヒム照子、シタンガン宗清幹事


  式典に引き続き、大宗匠主催祝宴が催されました。民族楽器アンクロンが日本とインドネシア両国の代表的な曲を奏でる中、大宗匠を囲んで笑顔の絶えない和やかな宴が続きました。




◇インドネシア大学講演・茶道デモンストレーション

  6月24日午後2時より、インドネシアで最も優秀な大学、国立インドネシア大学の日本研究センター講堂に於いて、大宗匠の特別講義が行われました。大宗匠は、茶道の精神、諸宗教との関連、また、儀式ではなく自分の心を修練する「道」であること、お互いを敬いあう茶の心がやがては世界平和へと繋がることを分かり易く説かれました。 続いて同行の業躰並びにインドネシア協会会員による茶道デモンストレーションが行われ、点前作法の持つ意味を大宗匠自ら解説されました。収容人員250席の会場に、学生や教授陣等380名を超える聴衆が詰めかけ、身動きもままならない状態でしたが、最後まで熱心に耳をかたむけていました。






  終了後、講堂のロビーに於いてインドネシア協会会員による呈茶が行われ、来場者は干菓子と薄茶を楽しみました。何処に行けば茶道が習えるのか等の質問も多くあり、インドネシアに於ける茶道の更なる広がりが期待される結果となりました。