千 玄室大宗匠、フィンランド訪問
ハロネン大統領と会見、 華やかに「徳有庵」茶室披き


  千 玄室大宗匠は、6月14日から19日までフィンランドを訪問。
大宗匠が会長を務められる関西日本・フィンランド協会では創立20周年記念事業として茶室建築を決定。このほど、茶室「徳有庵」が完成し、その茶室披きのため、大宗匠の訪問となりました。


大宗匠の前でお茶を点てられるハロネン大統領


  6月15日、大宗匠はフィンランド大統領官邸にタルヤ・ハロネン大統領を表敬、呈茶をされ、和やかに歓談されました。ハロネン大統領はお茶に大変興味を持たれ、「春の味がしますね」と述べられ、自ら茶筅を振るなど、終始にこやかに応じられました。

  また、この日の朝、フィンランド国営放送チャンネル1(日本のNHKに相当)の人気番組「モーニングTV」に出演され、茶道の平和精神、修道についてインタビューを受けられました。


テレビインタビューに答えられる大宗匠 ヘルシンキの街並み


  翌16日、近藤茂夫駐フィンランド日本国特命全権大使主催による茶会が大使公邸で催され、大宗匠は、ヴェサ・ヴァイオニUPA(世界第3位の製紙パルプ会社)会長、マリエル・リンドホルムKONEクレーン社CEO夫人、ホン・ジュンピョ駐フィンランド韓国大使夫妻、エーロ・サロヴァーラ駐日フィンランド大使らのお客様に点前を披露、茶道について丁寧に説明されました。




  また、大宗匠は夕刻からフィンランディアホールにおいて"The Spirit of Tea"と題する講演と茶道デモンストレーションを行われ、会場を埋め尽くした聴衆を前に、身振りを交えながらお茶の心を伝えられました。
  大宗匠の熱意に応えるように会場からは質問が相次ぎ、講演会の充実ぶりが伺えました。



講演される大宗匠


  ホール前のロビーでは、裏千家淡交会フィンランド協会、スウェーデン協会会員による呈茶席が設けられ、喫客で賑わいました。


喫客で賑わう呈茶席


  6月17日には「徳有庵」茶室披きと祝賀レセプションを開催。
  茶室はヘルシンキの町から船で15分のスオメンリンナ島にある世界遺産の要塞群の中に建築されたもので、建物の名前がフィンランド語で「徳」を意味することから、千宗室家元が「徳有庵」と名づけられました。
  茶室は京都より派遣された大工によって建設されたもので、八畳と三畳の茶室をもつ本格的なもの。間もなく、島を訪れる観光客にも公開される予定です。


茶室披き 徳有庵が建つスオメンリンナ島


徳有庵(外観) 徳有庵(内部)


  爽やかな初夏の晴天の下、茶室披きには、リーサ・ヤーコンサーリ国会外交委員長、アンナリーサ・カスリネン元文化大臣、ペッカ・リントゥ外務事務次官補(元駐日大使)夫妻、ジーン・ジャック・スブレナ駐フィンランドフランス大使夫妻、近藤茂夫駐フィンランド日本国特命全権大使はじめ多数の来賓方、大橋寛治関西日本・フィンランド協会副会長、坂田文保同事務局長が参列。
  大宗匠は「18世紀のレンガ屋根を取り入れた、世界に唯一のこの茶室がフィンランドと日本の友好の絆として、末永く役立つことを期待しています」と挨拶され、扁額の除幕式が行われました。


マリーナ・コングレスにおける祝賀レセプションでの大宗匠挨拶


  17日夕刻からマリーナ・コングレスにおいて祝賀レセプションを開催し、約300人の関係者が出席し、和が広がりました。