大宗匠、京都キエフ交流の会15周年にて講演


  平成29年6月18日(日)、京都市国際交流会館を会場に「京都キエフ交流の会」創立15周年記念講演会が行われ、千 玄室大宗匠が講師として招かれました。

  キエフは、バレエやオペラなどの芸術文化が盛んなウクライナの首都であり、建都以来1500年以上の歴史を持ちます。昭和46年(1971)、京都市とキエフ市の間で姉妹都市提携がなされ、その後、提携30周年を機に市民レベルの交流の輪をさらに広げようと、平成14年に同会が設立されました。




  講演会に先立って呈茶席が設けられ、キエフとの交流を進める寺田バレエ・アートスクールの生徒による点前、お運びにて、参加者に一碗が呈されました。




  講演会ではまず同会代表の高尾美智子氏、京都市長の門川大作氏から挨拶、その後、大宗匠が登壇。約一時間にわたり、戦時中のご自身の経験や、茶道の思いやりの心、『万葉集』の和歌に代表される日本人の「情」、京都文化の多様性など、多方面からの実例をもとに平和交流に関して講演されました。




  平成24年に日本・ウクライナ外交関係樹立20周年にあたって、大宗匠がキエフを訪問し茶道を通じた文化交流をされた際には、茶会に参加したチェルノブイリ被災者から「故郷があるのに帰れない、恐ろしい思いをして、たくさんの人も亡くしましたが、この一碗のお茶になぐさめられました」と声をかけられたことを紹介し、「京都はこれまでも市民それぞれが文化人として誇りを持って伝承、交流する役割を果してきました。皆さんお一人ずつが自国の文化を知り、優しい思いやりの心を持つ真の国際人として活躍していただきたい」と講演を結ばれました。