坐忘斎千 宗室家元、「全国茶サミット京都大会 in 宇治」で講演
『侘茶の精神』をテーマに


  2月13日、京都府宇治市の宇治市文化センターにおいて行われた『全国茶サミット京都大会 in 宇治』(会長・久保田 勇宇治市長)で、坐忘斎千 宗室家元が記念講演をされました。


『侘茶の精神』をテーマに講演される家元


  全国茶サミットは、緑茶需要の伸び悩みや輸入茶の増加など、茶業界にとって厳しい状況の中、消費者のニーズにあった安全で質の高いお茶の提供と茶業の振興を目指すために開催されており、7回目となった今回は、宇治茶で有名な宇治市で行われました。
  サミットは、家元の記念講演の他、18都府県の首長や茶業関係者らが集い、産地表示問題などを取り上げた会議や、『楽茶楽生』(お茶を楽しみ、人生を楽しむ)をテーマにしたトークディスカッションが行われました。
  会場内には、宇治市茶道連盟(裏千家担当)による呈茶席2席と京都府南山城地域の8市町村による出店が設置され、多数の来場者が立ち寄り、宇治茶を試飲したり茶葉を買う人で賑わいました。

  家元は講演に先立ち、同センター3階にある茶室『文陽亭』に設けられた来賓用の薄茶席に参席されました。


薄茶席


  講演は、『侘茶の精神』と題して50分間行われ、茶業関係者や一般市民の方々約800人が参加。


講演風景
講演を聞き入る約800人の来場者


  家元は、侘茶の精神を表す『和敬清寂』について、「『和』は直心の交わりの実践。直心とは生まれながらにして持つ清い心であり、清い心とは、ありのままの自分で人と和もうとすることを意味しています。『敬』とは自分を敬う気持ちで相手を敬うこと。『清』は、露地における塵一つない掃き清められた状態をあらわし、『寂』はものが朽ち果てていく姿に見られるように、もののあわれの概念に通じるもの」と千 利休居士の逸話を交えながら分かりやすく説かれました。
  また、「古より日本人は月を眺め、月とともに生活することで日本人の生活習慣は育まれてきました。月の満ち欠けを見て感じるはかなさやほのかさが、茶の湯になくてはなりません」と、伝統的な日本人の心情と茶の湯の関わりを話されました。
  さらに、「全国の茶業に関わる人たちは、美味しく、体と心に染み込むような味わい深い茶葉を作ってほしい」と結ばれると会場から拍手が沸き起こりました。


大会会場の宇治市文化センター
呈茶席


抹茶体験コーナー
茶葉の販売を行う宇治市のブース