『茶の湯文化紹介プログラム』 参加者感想文 |
1) K.H. さん Everett Community Collegeでのプログラムを終えて | |
4月10日より6月5日の約2ヶ月、シアトルにあるEverett Community Collegeにて、Japanese Tea Ceremony のプログラムに参加してきました。 Everett Community CollegeにはNippon Business Institute(NBI)というセクションがあり、ここで毎日、アメリカの学生達が日本の事についての勉強をしています。毎日3クラス、朝の10時からお昼13時まで日本の文化、ビジネス、言語などの授業が行われ、たったの2年間で、日本語が書けたり、簡単な会話をすることができるようになります。 私の参加した期間の最初の約1ヶ月は、先に到着されていたIさんと共に授業に参加をしてきました。NBIには8畳続きの茶室が2つあり、水屋、日本庭園があります。私たちはこの茶室を利用して、お茶のデモンストレーションを行ったり、実際に生徒たちに、客としての作法―お菓子のいただき方、お茶のいただき方、お辞儀の仕方、畳の歩き方を実際に体験してもらい、そして、お道具の説明―それぞれの名前、働き等、をしました。日本のことを勉強しているだけあって、みんな興味を持って聞いてくれますし、最後に必ず質問も出ます。 また、月に2回程OPEN HOUSEを行い、生徒以外の一般の方でも、お茶を体験することができるようになっています。こちらでもデモントレーションを行いました。 どちらにも言えることは、異文化を体験した人たちの生の表情や声をダイレクトに感じる事ができる、ということです。最初に茶室に入って来たときの表情と退室していく際の表情の違いは大きく、日本の文化が少しでも受け入れられた瞬間だと私は感じました。もちろん皆さん笑顔で帰っていかれます。 日本の事はインターネットや、本、写真などで見ることができます。 茶道の様子も写真やインターネットで見ることができます。しかし、実際にその場の雰囲気を感じることは、それらだけではできません。 茶道の難しいところは、実際に体験しないとわからないことがたくさんあるということです。なんでもそうだとは思いますが、やはり、茶室の雰囲気、茶筅の音、湯の音、動作と動作との間、静けさ、については、言葉や写真だけでは伝えることのできないものがあります。私はその空間を少しでも体験してもらいたいと思って、このプログラムに参加しました。 住んでいる国や文化は違っても、何かを感じる心は持っています。 彼らなりに何か日本的なものを感じてもらえたなら、私はとても嬉しく思います。その答えが、私はあの笑顔にあると思っています。そして、すばらしい事に、5月7日にワシントン植物公園の日本庭園で行われた、裏千家淡交会北米支部合同のお茶会にも参加する事ができました。すばらしい日本庭園とお茶室があり、皆さん一生懸命に取り組まれている姿は、日本人の私たちには良い刺激となりました。 また、授業のない日の週末などはホストファミリーと共に過ごし、4月には毎年開催されるチューリップフェスティバル、近くのモールでのショッピングや、音楽鑑賞、ホストファミリーの家族のBirthday Partyや、Wedding Receptionにも参加することができました。もちろん、シアトル市内での観光、シアトルマリナーズの野球観戦もすることができました。 ホームステイ自体も始めての経験でしたが、みなさんには、とても良くしていただいて、本当に楽しく過ごすことができました。 何もかもが始めての事だらけの2ヶ月間。 お茶の事だけでなく、本当にいろいろな経験をすることができました。 慣れてきたころの帰国となりましたが、この先、忘れることのできない2ヶ月になるに違いありません。“外国の方にお茶を通して日本の文化を体験してもらいたい”というのが、いつの間にか私の夢になっていました。その、第一歩をこのプログラムにて踏み出せたことはとても嬉しく思っています。 ありがとうございました。 先生を始め、国内外で私を支えてくださった方に感謝いたします。 プログラムを終えて あっという間の2ヶ月間、本当にいろいろとお世話になりありがとうございました。皆さんに本当に良くしていただいて、感謝しております。 日本の事を勉強している学生たちなので、お茶の授業など、興味を持って参加してくれたのは、とてもやりやすかったと思います。また、いろんなことに気づかされることが多く、逆に刺激を受けることが多かったように思います。 そして、意外にもお抹茶を飲める方の多い事。まず、そこで、日本の文化を受け入れてもらえたという気がしています。 私にとってお茶とは何なのか?何で続けてこれたのか?等、改めて考えることばかりでした。このプログラム自体が私にとっては「一期一会」で、ここに参加していなかったら出会えなかった人たち、経験できなかったことがたくさんあります。正直、勢いだけで飛び込んだ私ではありましたが、お茶を続けてきたから参加できたんだ、と思うと、最初に勧めてくれた親に感謝しないといけないけません。 何もかもが初めてで、不安だらけでしたが、何かを伝えたい、という“気”で、言葉が通じにくくても、伝えることができるのだと、改めて感じました。 このお茶室をもっと活用して、これからも続けていってほしいと思います。 そして、よりよいプログラムになることを期待しています。 |
2) M.S.さん 「エベレットでの体験」 | |
「茶道を教えながら米国の生活を体験しませんか」のプログラムで、やってきたエベレット市 エベレットコミュニティカレッジ。 異常気象の暑さの大阪からやってきたので想像以上の寒さに震え、初めての体験のホームステイやきっちりした性格のホストマザーへの気遣いなどで、最初の1週間はたいへんでした。 そんな時に、生徒達が受けている日本文化の授業や日本語の授業はたいへん興味深く、知らなかった日本の風習や世界の中の日本立場や状況などがわかり、勉強になりました。 週末に日本の友人がシアトルの日本庭園の茶会に連れて行ってくれ、日本人以外の人達と一緒に抹茶を味わいました。 2週間目からは天気も晴れが続き、庭の錦木の赤い紅葉がすばらしく、他の木々の色鮮やかな色にも慰められ、寒さに体も慣れ、まわりの環境もわかり、ホストマザーとの気持の交流も細やかになり、すべて順調になりました。 そして、大好きな点前披露、デモンストレーションも始まりました。 生徒の授業の50分間の一回切りの薄茶点前披露に、お茶は飲むだけのものではなく、「お茶とは何ぞや」を言いたいとディレクターの希望というか主張を取り入れるのにはあまりにも短すぎる感じがしました。 庭から蹲を使い、茶室に入り、席につき、お茶の概念の説明の後、薄茶点前を始める。本来、濃茶の後の薄茶の時に亭主、客共にくつろぎ、なごやかな雰囲気になるのですが、この時はお茶を出すまでは、厳粛な静寂の内に進め、点前を見ることに集中する。薄茶が出された時に茶の頂き方の説明からは細かい話もする。大勢の生徒のうち3人にお茶を点てるので、重ねて茶椀を持ち運び、一碗は建水と共に持ち運び、点前中はあまり立ったり出たり入ったりせずに静寂を保つ。終了後に質問受ける。このように取り決めて薄茶点前を行いました。 生徒達は、初めて経験するであろう苦手な正座もできないではなく、なんとか頑張ろう、やろうとしてくれ、茶道はどんなものだ、学ぼうと言う真剣さがあり、こちらも真剣に点前をする気迫が自然に生まれ、これが正にお茶の精神「一期一会」だなーと感じました。 もう一つ楽しみだったのは、日本語のクラスの生徒に略盆点前を日本語で教えることでした。 まずは茶道具の名前・袱紗のたたみ方・茶巾の使い方、挨拶の仕方など、日頃日本語を習っているとは言え、特殊な言葉もあり、説明する私でもやさしい言葉を捜すのに苦労して何度も言葉に詰まりました。 やはり袱紗扱いや茶椀の拭き方の難しさに戸惑いやめんどくさい面も感じている彼らでしたが、最終日には全員がお茶を点て、お客になってお薄茶を頂いた時には楽しい雰囲気になりました。形や順序は不十分ではありましたが、彼らの満足した達成感の顔を見れば、こちらも遣り甲斐があり、うれしかったです。 すばらしい茶室で外からのお客様も招き、合計8回も点前ができたことも、うれしかったですが、生徒達が日本を理解しようと学ぶ姿にも感動いたしました。 このプログラムで、カレッジに来るのは私で4人目。後2人は決まっているとの事、ぜひともこのすばらしいプログラムが続き、生徒の心にお茶の精神が生き続き、ひいては世界平和に繋がると信じて、今後の発展を祈り、私の報告といたします。 |