第9回茶道文化賞
―第117回全国総会において表彰―
第9回茶道文化賞は、昨年10月19日に選考委員会が開催され、茶道文化賞に矢部良明氏、茶道文化振興賞に山口富蔵氏が決定しました。
2月25日に行われた淡交会第117回全国総会の席上、千 容子副理事長より選考経過と受賞者が発表され、千 玄室大宗匠、千 宗室家元よりそれぞれ表彰状と楯、そして副賞が贈られました。
選考過程と受賞理由を述べられる千 容子副理事長
謝辞を述べられる矢部氏
○茶道文化賞:矢部良明氏(人間国宝美術館館長)
<略歴>
東京国立博物館では東洋と日本の古陶磁を担当し、その研究に携わる。
研究領域は、中国古陶磁にはじまり、東洋美学にも範囲を広げ、40歳半ばからは、関心は茶の湯に向かう。その茶の湯については、主として草創期から桃山時代の主導的茶人の動向を美意識の観点で研究し、展覧会の企画にてその成果を発表してきた。淡交会定期巡回講師。
<受賞理由>
歴史に残る茶人の事跡に焦点を当てた研究は、茶道史研究の進展に大きく寄与してきた。また、茶道の基礎知識を簡潔・明解に著わすなど、著作活動により茶の湯を広く敷衍してきた功績は、高く評価できる。
○茶道文化振興賞:山口富蔵氏(末富社長)
<略歴>
大学卒業後、東京・銀座「松崎煎餅」にて1年修行。その後、父(竹次郎)の下で家業に従事する。茶道各家元の御用を務めるとともに、各宗本山にも出入り、御用を務める。
現在、同志社大学、精華大学、京都造形芸術大学、大阪青山大学、芦屋大学、裏千家学園などで非常勤講師を務める。
また、多くの子ども達に、茶席で果たす菓子の役割を教授するとともに菓子作りの製作実演を通して、京菓子を“愉しむ心”の種を蒔いてきた。淡交会定期巡回講師。
<受賞理由>
菓匠として昔ながらの格式と伝統を継承するとともに、京都に息づく暮らしや風物を豊かな感受性で表現した和菓子で総合文化としての茶の湯に貢献してきた。
選考委員
千 容子氏(家元夫人・淡交会副理事長)
熊谷信昭氏(兵庫県立大学名誉学長・大阪大学名誉教授)
小坂 敬氏(小松ストアー社長)
坂本眞一氏(北海道旅客鉄道株式会社相談役)
芳賀 徹氏(東京大学名誉教授)
八村輝夫氏(鳥取銀行特別顧問)
日野西光尊氏(中宮寺門跡)