社団法人茶道裏千家淡交会第105回全国総会
理事・参事合同会議




  淡交会第105回全国総会は、2月25日、京都市下京区のリーガ・ロイヤルホテル京都において開催されました。





【理事・参事合同会議】
  総会に先立ち、午後1時から理事・参事合同会議を開催。最初に、千 宗室名誉会長より、新たに参事に就任された野澤隆幸氏(関東第3地区副地区長・川崎支部顧問)に委嘱書が授与されました。引き続き昨秋、理事に就任された櫻井宗幸、橋本宗利両氏が紹介されました。その後、千 玄室大宗匠理事長を議長に選出。上程された議案は全て、満場一致で承認可決されました。尚、監事からの監査報告の中に会費免除制度に関して報告があり、それを受けて千 玄室理事長は少子高齢化社会における会員数等の推移について説明をされ、検討委員会の設置を提案されました。
  出席者からは、会費免除の対象となる会員が今後増加することが見込まれるので、委員会にて、会費免除の制度について検討いただきたいとの意見がありました。

  会議の冒頭、家元は、「梅の花ははらはらと順番に咲いていくところに風情があります。それぞれの支部に合わせたさまざまな花の開き方ということを皆様方がご指導いただければますますもって淡交会は、居心地の良い場所になるかと存じております」と語られました。


挨拶される家元名誉会長、大宗匠理事長







【総    会】
  引き続き、午後2時45分より開催された総会には、千 宗室名誉会長、千 玄室理事長、千 容子副理事長並びに理事・監事21人、参事・参事補・特別参事81人、そして、総支部数165支部2支所の内、144支部2支所の支部(所)長が出席、委任状提出は21支部。
千 容子副理事長が総会の定足数を確認し、開会を宣言されました。
  議長に後藤豊彦氏(博多支部支部長)、副議長に下田穰一郎氏(福島支部支部長)と吉見弘晏氏(八幡浜支部支部長)、議事録署名委員に法旨筆夫氏(西播磨支部支部長)と渡 博文氏(奄美大島支所支所長)を選出しました。


家元挨拶
  議案審議に先立ち、家元が挨拶に立たれ、「お茶を楽しもうと思われる方がいらした時、それに対して鷹揚に対応できるだけの奥行きの深さを私たち茶道人はもっていなければならない。たとえ、少し逸脱する部分があっても、それを軌道修正してあげるような懐の深さが大事です」と語られました。

表  彰
  和やかな雰囲気の中、各賞の表彰が行われました。授賞式は、茶道文化賞受賞者の樂吉左衞門氏がインフルエンザのため、代わって樂扶二子夫人が出席されました。樂夫人は「仕事一筋で二十五年目に入り、若い人に少しでも茶道の良さを知ってもらいたいと心を配ってきました。これからも励んで参ります」と樂氏の謝辞を披露されました。

◇第3回茶道文化賞
裏千家今日庵では、15代鵬雲斎家元が14代家元淡々斎宗匠の遺徳を偲んで、1966年に「淡々斎茶道文化賞」を創設され、茶道文化の高揚に寄与された方々(延べ45人)に授与。坐忘斎家元が16代家元を継承されたことを機に「淡々斎茶道文化賞」を刷新し、海外を含むより広い分野の方を対象とした「茶道文化賞」として設けられました。「茶道文化賞」には茶道文化賞と茶道文化振興賞があります。

選考委員
  淡交会副理事長千 容子氏
  ウシオ電機(株)会長牛尾治朗氏
  人事院顧問内海 倫氏
  大阪大学名誉教授・元総長熊谷信昭氏
  東京大学名誉教授・京都造形芸術大学学長芳賀 徹氏

(選考経過)
  選考委員会は、昨年11月11日、ホテルグランビア京都において行われ、茶道文化賞の候補者について協議が行われました。その後、千 宗室名誉会長、千 玄室理事長から候補者案の裁可を経て、今回の受賞者が決定。

茶道文化賞に樂吉左衞門氏、振興賞に学校法人秀明学園

◇茶道文化賞
  樂吉左衞門氏(56歳)
  (経歴)樂家15代当主。1949年生。東京芸術大学彫刻科卒業後、イタリアに留学。
帰国後、1981年15代吉左衞門を襲名。1983年襲名記念の初個展を開催。
レオンドーロ賞(イタリア)、第40回毎日芸術賞、京都府文化賞功労賞をはじめ2000年にはフランス芸術・文化勲章シュヴァリエを受章されている。

  (授賞理由)樂家の伝統を継承されるとともに、現代陶芸作家として日本はもとより海外でも優れた作家活動を展開され、茶道文化の評価を高められた。

◇茶道文化振興賞
  学校法人 秀明学園 (埼玉県川越市)
  (経歴)秀明学園は、「常に真理を追究し、友情を培い、広く社会に貢献する人間形成を目的とする」を建学精神として1978年に川島寛士氏が創立され、現在では、中学校2校、高等学校3校、4年制大学ほか、英国にも大学、英語研修学校2校を擁されている。

  (授賞理由)日本の伝統文化を身につけた人間性豊かな生徒の育成を目的として、茶道を正課に採り入れ、卒業後も茶道の修道を継続するよう指導されている。

家元より樂氏へ茶道文化賞授与 樂氏の謝辞を述べられる扶二子夫人

茶道文化振興賞を受けられる
秀明学園創立者の川島寛士氏


◇平成16年度『優秀支部』、『部門別優良支部』、『学校茶道永年勤続者』各賞発表
  春の全国総会では、毎回全国の165支部2支所の中から、優秀支部と部門別優良支部を発表し、その功績を顕彰しています。平成16年度は、次の支部(所)への表彰が決定、発表と授与が行われました。

【優秀支部】
  筑豊支部(麻生太郎支部長)

【部門別優良支部】
〇会員増加の部
  京都南支部(吉村好司支部長)、西大寺支部(大森寿夫支部長)

〇地域社会への貢献の部
  高岡支部(荒井公夫支部長)、今治支部(檜垣俊幸支部長)

〇学校茶道教育振興の部
  東播支部(伊藤勝之支部長)、香川支部(津島鉄也支部長)

〇青年部への指導援助の部
  岩手支部(鈴木俊一支部長)、大阪西支部(千代賢治支部長)

優秀支部表彰 部門別優良支部表彰(会員増加の部)

部門別優良支部表彰(地域社会への貢献の部) 部門別優良支部表彰(学校茶道教育振興の部)

部門別優良支部表彰(青年部への指導援助の部)


【平成16年度学校茶道永年勤続者表彰】
  学校茶道に永年貢献されてきた71人の表彰が行われ、家元より表彰状と記念品が授与されました。

学校茶道永年勤続表彰 受賞代表者による謝辞





諸報告・議案審議
  引き続き、平成16年度記録ビデオ上映、宗家報告、淡交会総本部報告がなされ、続いて議案審議等が行われました。

  第1号議案  平成16年度事業報告に関する件(関根秀治専務理事)
      事業報告では、国内及び国際において、家元、大宗匠を中心に当初の事業計画を適時・適正に遂行し、会員の意識向上と一般市民への茶道普及がよく果たされ、各界から大きな信頼を得られたこと等が報告。

  第2号議案  平成16年度収支決算報告に関する件(木戸崇夫常任理事)

  第3号議案  平成17年度収支補正予算案に関する件(木戸崇夫常任理事)

  総会に上程された3議案はすべて満場一致で承認可決。
  最後に、千 容子副理事長が閉会の言葉を述べられ、総会は無事終了しました。





総会後の懇親夕食会は和やかな雰囲気の下、催されました。