茶道を英語で学ぶ大学集中講座
「英語で発信する日本文化」が神戸女学院大学にて開講


松風庵での稽古風景


  授業で茶道を英語で指導する神戸女学院大学英文学科の集中講座「英語で発信する日本文化」(Japanese Culture Workshop in English)が本年も開講されました。

  同講座が初めて開講されたのは、昨年。講座の目的は学生達に単に茶道への興味を持たせるのではなく、真の文化交流の意味を考えさせること、日本の文化をどのように外国人に紹介するか、文化や生活様式の違いによる言葉の壁をどのように解消するかなどを考察することにより、受講生がいかなる分野においてもその基本知識やノウハウを役立てられる技量を学ぶことにあります。講座は同大学の英文学科長で裏千家インターナショナル会員でもある鵜野ひろ子教授からの協力依頼を受けて、総本部国際部より講師が派遣されて実現しました。

  7月28日から30日までの3日間、今回で3回目となる集中講座が行われました。国際セミナーの主任講師で外国人留学生プログラム「みどり会」の講師を務める淡交会総本部国際部のブルース・濱名課長が指導にあたり、昨年と同様60人以上の応募者の中から20人が選抜され受講しました。受講生には海外在住経験や留学経験者が16人もあり、語学力レベルの高さが伺えるものでした。

  集中講座は3日間にわたり、茶道概論の講義と実技の実習を実施。講義は「茶の紹介」、「茶道史」、「茶事について」、「茶道の要素」、「茶道の海外普及」そして「茶道における文化交流」というテーマに沿って茶道の美学、精神性及び哲学性について言及がなされました。また、実習はキャンパス内にある茶室・松風庵にて行われました。実技指導は客振り、客の心得、割稽古に至るまで、大学の茶道部メンバーの手伝いもあり、本格的になされました。最終日には二畳台目二畳の小間の躙り口から席入りし、その簡素で限られた侘び寂びの環境を体験し日本の多様な文化の集大成である茶道を満喫しました。



真夏の暑さを忘れ、他の人のために一生懸命にお茶を点てる学生
最終日までには全員が美味しいお茶を点てるようになりました


  受講生からは、「国際化が進むことで、他国の影響をうけるばかりではなく、日本人としての誇りを持って日本の文化を外国の方に紹介できるように、これからも茶道を続けたいと思いました」、また、「日本文化の美しさというのは、『目に見える美』だけではなく、『目に見えない美』が多い事に気付きました。これは、日本人本来の美徳を表していると思いました」との声が聞かれ、講座が受講生に与えた影響は大きなものだったようです。