「第13回東アジア茶文化シンポジウム・文化と平和を考えるパネル討論会」 |
平成30年9月15日(土)・16日(日)、名古屋市において「第13回東アジア茶文化シンポジウム・文化と平和を考えるパネル討論会」が執り行われました。 「東アジア茶文化シンポジウム」および「文化と平和を考えるパネル討論会」は、千 玄室大宗匠の発意により、日中韓の文化と学術の交流を通じて相互理解を深め、東アジア地域の友好と平和に寄与することを目的に、2004年に中国・天津市において第1回を開催。その後は日中韓およびハワイを巡回し、その成果を積み重ねるなか、本年は初めて名古屋市にて開催することとなりました。 来賓、日中韓はじめアジア各地の淡交会および海外協会会員、同好会会員、裏千家インターナショナルアソシエーションの会員、開催地である東海地区より延べ約700名が参加しました。 【日中韓平和祈念献茶式】 初日となる15日、南山大学名古屋キャンパス フラッテンホールにて、日中韓平和祈念献茶式が執り行われました。厳かな雰囲気のなか、大宗匠が平和を祈念して一碗を謹点されました。 |
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【和合の茶会】 続いて和合の茶会が執り行われました。宮田亮平 文化庁長官、程 永華 中華人民共和国駐日本国特命全権大使、ケ偉 中華人民共和国駐名古屋総領事、鄭 煥星 駐名古屋大韓民国総領事、程 海波 中国日本友好協会副秘書長、天江喜七郎 淡交会顧問兼裏千家インターナショナルアソシエーション会長、市瀬英昭 学校法人南山学園理事長、金 容雲 韓国・漢陽大学名誉教授、木宮一邦 静岡支部支部長、鈴木晴視 愛知第二支部支部長、濱田典保 三重南支部長が登壇。大宗匠が練られた濃茶を分かち合い、3国の友誼を深めました。 |
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【開会式】 和合の茶会後、同会場にて挙行。大宗匠による主催者としての歓迎挨拶、続いて共催団体である学校法人南山学園の市瀬英昭 理事長、中国日本友好協会の程 海波 副秘書長より挨拶が行われ、程 永華 中華人民共和国駐日本国特命全権大使、鄭 煥星 駐名古屋大韓民国総領事より来賓を代表して祝辞がありました。 |
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市瀬 理事長 | 程 副秘書長 |
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程 大使 | 鄭 総領事 |
続いて、文化庁長官の宮田亮平氏、中華人民共和国駐日本国特命全権大使の程 永華氏、韓国・漢陽大学名誉教授の金 容雲氏による基調講演が行われ、参加者は日中韓3国の各講師による講演に熱心に耳を傾けていました。 |
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【基調講演】 |
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宮田 長官 |
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程 大使 | 金 名誉教授 |
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【文化と平和を考えるパネル討論会】 パネリストを務める4名の研究者による意見発表に続き、岡本浩一 東洋英和女学院大学教授の進行のもと討論会が行われ、東アジア地域の相互理解・交流促進について、政治・社会・歴史など様々な観点から議論が深められました。 |
文化と平和を考えるパネル討論会 | |
岡本浩一 東洋英和女学院大学教授 | |
◇意見発表@ | 「文化と平和を考える」 平岩俊司 南山大学教授 |
◇ 〃 A | 「中国清朝末期の駐日外交官の『茶の湯』への認識」 郭 連友 北京外国語大学北京日本学研究センター教授 |
◇ 〃 B | 「東アジアの持続可能な平和に向けて」 秋 圭昊 成均館大学校國家戰略大学院教授 |
◇ 〃 C | 「平和への長い道のり」 ケント・カルダー ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院副学長 |
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平岩俊司氏 | 郭 連友氏 |
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秋 圭昊氏 | ケント・カルダー氏 |
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岡本浩一氏 |
【大宗匠主催晩餐会】 夕刻からホテルナゴヤキャッスルに会場を移して開催。大宗匠、ケント・カルダー副学長の挨拶に続き、辻 正 淡交会東海地区地区長の発声で乾杯。各地から集った参加者は大宗匠を囲んで懇親を深めました。 |
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カルダー氏の祝辞 | 辻地区長の発声で乾杯 |
翌16日は午前9時からシンポジウムを開催。テーマは「共につなごう平和への道」でした。第一線で活躍する3か国の研究者による研究発表・指定討論が行われました。 |
シンポジウム | |
司会 松尾拓二 淡交会総本部事務局次長 | |
◇研究発表T | 「閩南の茶文化と中国人の人間関係」 游 国龍 華僑大学心理文化学研究所教授、法学博士 指定討論:川井秀一 京都大学大学院総合生存学館(思修館)教授、農学博士 |
◇研究発表U | 「21世紀の人類社会と日本茶道の精神」 李 領 韓国放送通信大学校教授、文学博士 指定討論:張 建立 中国社会科学院日本研究所文化研究室室長兼教授、文学博士 |
◇研究発表V | 「湯わかし文化論―日中喫茶文化の展開の中で―」 伊住禮次朗 茶道資料館副館長兼今日庵文庫長、博士(学術) 指定討論:朴 華文 大邱大学校名誉教授、教育博士 |
◇総評 | 朴 銓烈 韓国・中央大学校名誉教授、文学博士 |
【シンポジウム】 |
◇研究発表T | |
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游 国龍氏 | 川井秀一氏 |
◇研究発表U | |
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李 領氏 | 張 建立氏 |
◇研究発表V | |
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伊住禮次朗氏 | 朴 華文氏 |
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総評:朴 詮烈氏 |
午後1時からは若手研究者3名による茶文化研究発表が行われました。各発表後には質疑応答の時間が設けられ、参加者との質疑応答や意見交換がなされました。 その後、大宗匠より「この2日間で皆さんは素晴らしい知識と心の学びを得ることができました。ここで得られた知識と感動を自分の中に閉じ込めておくのではなく、お茶を通じて行動に移し、周りの人にお茶の心を伝えていってください」と総評が述べられ、2日間に亘る行事が締めくくられました。 |
茶文化研究発表 | |
◇研究発表@ | 「人間関係新秩序構築における東アジアプラン」 李 楊 天津市社会科学院哲学研究所講師、哲学博士 |
◇ 〃 A | 「高麗青磁、そして高麗茶碗、どうして作られるようになったか」 金 賢娥 漢陽大学文化財研究所研究教授、教育博士 |
◇ 〃 B | 「岡倉天心における『共感(sympathy)』の思想と『茶道』」 平 美恵子 白鵬女子高等学校英語茶道講師、芸術学博士 |
◇総評 | 千 玄室 大宗匠 |
【茶文化研究発表】 |
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李 楊氏 | 金 賢娥氏 |
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平 美恵子氏 |
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総評:千 玄室 大宗匠 |
【呈茶席】 |
2日間、南山大学には淡交会東海地区が担当する呈茶席が設けられ、参加者に心尽くしの一碗が呈されました。学校茶道の参加校は、南山大学、南山大学附属小学校の皆さん。 |
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