第9回東アジア茶文化シンポジウム 第9回パネルディスカッション-東アジアの文化と平和- |
11月13日(木)〜15日(土)、中国天津市において「第9回東アジア茶文化シンポジウム並びに第9回パネルディスカッション-東アジアの文化と平和-」の諸行事が執り行われました。 このシンポジウムは、千 玄室大宗匠の発意により、茶文化研究の学術的交流と東アジア地域の友好関係の更なる充実を図ることを目的に2004年に中国・天津市において第1回を開催、その後は日中韓およびハワイを巡回し、その成果を積み重ねてきました。 9回目となる本年は再び天津にて開催、アジア各地の裏千家淡交会海外協会会員、裏千家インターナショナルアソシエーション会員、大宗匠が特別に招待された北京外国語大学ならびに大連外国語大学の学生、また地元・天津市の各大学の学生など延べ750名が参加しました。 13日には、裏千家とともに両行事の総合主催をつとめる天津商業大学において、大宗匠が「文化の重み」と題して基調講演。大宗匠は葛 宝臻学長との会見の後、学内図書館講堂のステージに登壇。ケ小平副主席(当時)との会見の際のエピソードを端緒に、ケ副主席からの要請を受けて日中間のより良い友好関係構築の為に様々な取り組みを行ってきたことや、日中韓の相互理解のため、三カ国に共通する文化である茶道を通じて、それぞれの歴史を学ぶことの重要性を述べられました。 |
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翌14日、第9回東アジア茶文化シンポジウムが天津外国語大学逸夫楼において開会。関根秀治裏千家事務総長・一般社団法人茶道裏千家淡交会副理事長が司会を務め、まず始めに大宗匠より主催者としての歓迎の挨拶が述べられました。 |
◇総合主催 | 一般社団法人茶道裏千家淡交会 |
天津商業大学 | |
◇主 催 | 天津外国語大学 |
◇後 援 | 中国文化部 |
在中国日本国大使館 | |
在中国韓国大使館韓国文化院 | |
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続いて修 剛学長より主催者挨拶、また来賓の張 愛平中国文化部対外文化連絡局局長より祝辞をいただきました。 |
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修 剛学長 | 張 愛平局長 |
今年のシンポジウムは『心の絆-平和を-』をテーマに進行。大宗匠の基調講演の後半には、倉斗宗覚裏千家今日庵業躰が且座之式を解説。参加者は興味深くステージに見入りました。最後に参加者より「且座之式には客を含め全員に役割がありますが、どういった意図があるのでしょうか」との質問があり、倉斗業躰から「且座之式は自分の立場が変わっても動じない、どのような場面でも対応できるようになる為の修練の場です。自分の人生と他人の人生を替えることが出来ないのと同じで、それぞれの役を変わることは出来ません。自分に与えられた本分を全うすることを目的としています」との回答がありました。 |
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倉斗宗覚業躰 |
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質疑応答 |
続いて第一線で活躍される研究者の発表が下記のテーマで行われ、茶文化および茶道精神が東アジアの友好関係の構築に果たす役割の大きさが改めて示されました。 |
第9回東アジア茶文化シンポジウム | |
司会 関根秀治 茶道裏千家淡交会副理事長 | |
進行 陳 法春 天津外国語大学副学長 | |
◇研究発表T | 「国民間に心の架け橋を構築する―茶道精神の平和の理念」 修 剛 天津外国語大学学長 指定討論:関根秀治 平安女学院大学伝統文化研究センター所長兼教授 |
◇研究発表U | 「敬虔な情動の交流の場としての茶の湯」 岡本浩一 東洋英和女学院大学教授 指定討論:徐一平 北京外国語大学教授 |
◇研究発表V | 「茶道による東アジア価値観共同体再構築の可能性について」 張 建立 中国社会科学院教授 指定討論:朴 銓烈 韓国・中央大学校教授 |
◇研究発表W | 「東アジア三国の平和と茶文化」 李 基東 成均館大学校教授 指定討論:王 永祥 天津商業大学准教授 |
◇総評 | 朴 銓烈 韓国・中央大学校教授 |
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進行:陳 法春氏 |
【研究発表】 |
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研究発表T 修 剛氏(指定討論:関根秀治氏) |
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研究発表U 岡本浩一氏(指定討論:徐 一平氏) |
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研究発表V 張 建立氏(指定討論・総評:朴 銓烈氏) |
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研究発表W 李 基東氏(指定討論:王 永祥氏) |
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【呈茶】 |
呈茶席は天津同好会と裏千家インターナショナルアソシエーションが担当し、2010年に同大学の45周年を記念して大宗匠が監修された茶室「風韻庵」にて参加者をもてなしました。 |
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この日、大宗匠は、天津市名誉市民ならびに天津市政府外事弁公室顧問として、天津市市政府貴賓庁で尹 海林副市長と会見されました。尹副市長は「茶室の寄贈など、長年に亘り中日の友好関係促進のため様々な取り組みをされてこられたことに感銘を受けております。今後とも茶文化を通して相互理解を深めていければ必ず一層の友情が結ばれると思います。今回の皆様のご来訪に感謝いたします」と歓迎と感謝の言葉を述べられました。日本・中国・韓国の研究者の方々も同席され、終始和やかな会見となりました。 |
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【中韓日平和祈念献茶式】 |
夕刻からはリッツカールトン天津において中韓日平和祈念献茶式が執り行われました。 中国、韓国、日本の国歌独唱の後、大宗匠による献茶の儀が厳かな雰囲気の中行われ、三カ国の国旗に一碗が捧げられました。その後、挨拶に立たれた大宗匠は「様々な課題はありますが、一碗のお茶によって三カ国が大きな平和の力を発揮することを祈念しています」と述べられました。 |
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【大宗匠主催晩餐会】 |
大宗匠主催晩餐会では、木寺昌人在中国日本国大使館特命全権大使、続いて王 秀雲中国日本友好協会副会長より祝辞が述べられ、劉 徳有中国文化部元副部長の乾杯の発声で開会。国内外から集った参加者は大宗匠を囲んで和やかに歓談し、親睦を深めました。 |
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木寺昌人氏祝辞 | 王 秀雲氏祝辞 |
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劉 徳有氏の発声で乾杯 |
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大宗匠を囲んで |
翌15日には、南開大学省身楼において第9回パネルディスカッション―東アジアの文化と平和―を開催。開会に先立ち、大宗匠は同大学の張 亜共産党委員会副書記と会見されました。 |
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◇総合主催 | 一般社団法人茶道裏千家淡交会 |
天津商業大学 | |
◇主 催 | 南開大学 |
中国日本友好協会 | |
公益財団法人日本国際連合協会 | |
◇後 援 | 中国文化部 |
在中国日本国大使館 | |
在中国韓国大使館韓国文化院 | |
中国人民対外友好協会 | |
中国国際連合協会 | |
韓国国際連合協会 | |
午前9時半、程 海波中日友好協会友好交流部部長の司会で開会。大宗匠、王 秀雲中日友好協会副会長、張 亜南開大学共産党委員会副書記からの主催者挨拶に続いて劉 徳有中国文化部元副部長より祝辞をいただき、その後、金 容雲元韓日文化交流会議韓国側委員長の基調講演が行われました。 |
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王 秀雲氏 | 張 亜氏 |
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劉 徳有氏 |
【基調講演】 |
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金 容雲氏 |
第9回パネルディスカッション―東アジアの文化と平和― | |
司会:程 海波 中日友好協会友好交流部部長 | |
◇基調講演 | 「茶道と東アジア共同体」 金 容雲 元韓日文化交流会議韓国側委員長 |
◇意見発表1 | 「東アジアで文化と平和-学習と平和-」 韓 立紅 南開大学教授 |
◇意見発表2 | 「いま再び『以民促官』の力を」 加藤千洋 同志社大学大学院教授 |
◇意見発表3 | 「最近の東北アジアにおける葛藤の構造:便乗からの脱皮」 張 済国 東西大学校総長、法学並びに政治学博士 |
◇意見発表4 | 「文化交流が築く東アジアの平和」 胡 澎 中国社会科学院日本研究所社会研究室主任、史学博士 |
◇パネルディスカッション 進行:周 瑋生 立命館大学教授 | |
パネリスト:韓 立紅氏、胡 澎氏、加藤千洋氏、張 済国氏 | |
◇総評 | 周 瑋生氏 |
【パネルディスカッション】 |
パネリスト各位からの意見発表に続いて行われたディスカッション。周 瑋生立命館大学教授が進行役をつとめ、東アジア地域の相互理解と友好関係の促進を目指すにあたり、文化の果たし得る役割について示唆に富んだ意見交換が行われ、参加者は研究者の方々の発言に熱心に耳を傾けました。 |
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韓 立紅氏 | 加藤千洋氏 |
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張 済国氏 | 胡 澎氏 |
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進行:周 瑋生氏 |
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ディスカッション |
参加者からも活発な質疑・発言があり、大宗匠が目指される平和な世界の実現のため、東アジア地域のみならず広く世界に茶文化を通じてメッセージを発信し続けることの重要性を確認する大変有意義な機会となりました。 |
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【呈茶席】 |
前日の東アジア茶文化シンポジウムに引続き、天津同好会と裏千家インターナショナルアソシエーション会員が呈茶席を担当し、参加者に一碗を呈しました。 |
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