第6回東アジア茶文化シンポジウムを開催
―日中韓の研究者を迎えての学術会議―




  5月10日、中国・北京の首都大酒店において「第6回東アジア茶文化シンポジウム」が開催されました。

【主 催】  社団法人茶道裏千家淡交会
          中国芸術研究院
【後 援】  中国文化部
          中国日本友好協会
          中国人民対外友好協会
          在中国日本国大使館
          在中国韓国大使館

  東アジア茶文化シンポジウムは、千 玄室大宗匠の発案により、茶文化の学術的研究の交流を通じて東アジア地域の友好関係の更なる充実を図ることを目的に始められた事業で、平成16年に中国・天津市において第1回が開催されました。2回目以降は、韓国・ソウル、東京、ハワイ・ホノルルの各都市で行われ、その成果は各方面から高く評価されています。

  この度の第6回は昨年11月開催として計画したものの、日中間の政治的事情によりやむなく延期されましたが、このような時期にこそ裏千家が永年に亘り取り組んできた諸外国との文化交流を推し進めるべきとの大宗匠のお考えから、本年5月の開催が実現しました。

  天津にて初回が行われてから、中国での7年振りのシンポジウムは午前10時に開会。
  張 慶善 中国芸術研究院副院長が司会を務められ、来賓として出席された丹羽宇一郎 駐中国日本国特命全権大使、金 翼謙 駐中国韓国大使館・韓国文化院院長からの祝辞・挨拶と続きました。

張 慶善 中国芸術研究院副院長


丹羽宇一郎 駐中国日本国特命全権大使金 翼謙 駐中国韓国大使館・韓国文化院院長

  続いて登壇された大宗匠はまず、この度の行事に寄せられた松本剛明外務大臣のメッセージを代読され、更に日本国 観光親善大使として大畠章宏国土交通大臣から託されたメッセージも紹介、東日本大震災での中国と韓国からの支援に感謝の言葉を述べられた上で、基調講演を始められました。


  シンポジウムには、日・中・韓をはじめアジア各地の裏千家淡交会海外協会会員、裏千家インターナショナルアソシエーション会員、各国からの留学生、中国の学生など350名が参加。
「中国・日本の茶法とその芸術性」をテーマに、日本・中国・韓国の著名な研究者による東アジアの茶文化に関する多角的な観点からの議論を熱心に聴講しました。


発表者とテーマは下記の通り。


第6回東アジア茶文化シンポジウム

◇総合司会・研究発表進行  中国芸術研究院副院長 張 慶善氏
◇基調講演  千 玄室大宗匠
◇研究発表T「比較文化・闘茶」
茶道資料館副館長・京都造形芸術大学教授 筒井紘一氏
指定討論:南開大学日本研究院副院長 宋 志勇氏
◇研究発表U「茶、『芸術の虹』」
中国芸術研究院常務副院長 駱 芃芃氏
指定討論:野村美術館館長 谷 晃氏
◇研究発表V「日本茶道と朝鮮人」
高麗大学日本研究センター所長 崔 官氏
指定討論:北京大学准教授 滕 軍氏
◇研究発表W「綜合藝術としての茶の湯と易」
裏千家事務総長・平安女学院大学客員教授 関根秀治氏
指定討論:中国社会科学院准教授 張 建立氏
◇全体総括  谷 晃氏
◇総評    韓国中央大学校教授 朴 銓烈氏

総合司会・研究発表進行:張 慶善氏

基調講演:千 玄室大宗匠

研究発表T:筒井紘一氏(指定討論:宋 志勇氏)

研究発表U:駱 芃芃氏(指定討論:谷 晃氏)

研究発表V:崔 官氏(指定討論:滕 軍氏)

研究発表W:関根秀治氏(指定討論:張 建立氏)

全体総括:谷 晃氏

総評:朴 銓烈氏

  会場の首都大酒店「香海」では、淡交会北京同好会、天津同好会、裏千家インターナショナルアソシエーション(UIA)会員による呈茶席が設けられ、日中両国の同門が交流を深める良い機会になりました。




  同日、大宗匠は、中国日本友好協会 宋 健会長主催昼食会に日本・中国・韓国の研究者と共に出席されました。裏千家と同協会は、永年に亘り日中の民間レベルの文化交流に手を携えてきた間柄です。大宗匠と宋 健会長は旧交を温められ、和やかな昼食会となりました。



  また、夕刻には、大宗匠は長富宮飯店にて、王 文章 中国文化部副部長並びにシンポジウムの共催団体である中国芸術研究院院長と会見されました。



大宗匠より王副部長に「偈頌(げじゅ)」の色紙を贈呈


  その後、長富宮飯店「芙蓉の間」において、大宗匠主催の記念晩餐会が盛大に開催。主催者である大宗匠の挨拶に続き、王 文章 中国文化部副部長が来賓を代表し、挨拶をされました。





  続いて、井 頓泉 中国日本友好協会並びに中国人民対外友好協会副会長が乾杯の発声。



  また、会場には、丹羽宇一郎 駐中国日本国特命全権大使、堀之内秀久公使夫妻はじめ多数の来賓方や、10日の「東アジア茶文化シンポジウム」、11日の「パネルディスカッション」の研究者・参加者が一堂に会して懇親を深めました。