第42回裏千家ハワイセミナー



  7月18日(金)から25日(金)、千 玄室大宗匠出席の下、ハワイにおいて第42回裏千家ハワイセミナーが開催。味戸道雄 淡交会郡山支部支部長を団長とする同門社中69名が参加しました。さらに茶道を熱心に学ぶ全国の大学、高等学校から9名の学生、生徒がセミナーに招待されました。


  1972年、大宗匠(当時、家元)よりハワイ大学へ茶室「寂庵」、茶庭「清苑」が寄贈されたことを機に第1回が開催された裏千家ハワイセミナー。42回目を迎える本年は、大宗匠、ハワイ大学講師、イースト・ウエスト・センター講師による講義、淡交会ハワイ協会、ハワイ大学茶道部との交歓茶会などの恒例行事に加え、ハワイ協会会員による茶道実技、さらにハワイ島ヒロ市のアラエ日本人先亡慰霊塔において慰霊祭が開催されました。
  参加者は各行事を通じてハワイの同門社中との交流を深めるとともに、海外における茶道文化の広がりを実感する機会となりました。

◇結団式
  18日(金)、ホノルルに到着したセミナー参加者が一堂に会し、アウトリガーリーフオンザビーチホテルにおいて結団式が行われました。今回は日本に加え、カナダからも参加者を迎えてのセミナーとなりました。
  結団式では大宗匠が歓迎のことばを述べられるとともに、味戸団長から挨拶。団員は大宗匠を囲んで歓談し、セミナーに向けて互いに交流を深めました。



◇ハワイ協会との交歓茶会
  19日(土)、ハワイ日本文化センター内の茶室「星光庵」においてハワイ協会との交歓茶会が催されました。会場には立礼席も設けられ、団員は一碗を通じた心の交流を楽しみました。

星光庵席立礼席


  茶会後、同会場内ボールルームにて交歓昼食会が開催され、ハワイ協会会員とセミナー団員は和やかに親睦を深めました。

◇ハワイセミナー大学講義1日目
  20日(日)、ハワイ大学イースト・ウエスト・センターにおいてセミナーが開始。講義には重枝美智子 駐ホノルル日本国総領事夫人、ジーン・有吉元ガバナー夫人はじめ来賓各位も出席され、耳を傾けられました。大宗匠の開講の辞に続いて、貴人清次花月の点前実技をハワイ協会会員が行い、大宗匠は貴人清次の意味を解きほぐし、貴人のみならず万人を大切に扱う茶道の精神について解説されました。
  その後、大宗匠は団員の中からボランティアを募られ、平花月の実技指導を行われました。

貴人清次花月平花月


  第2講ではハワイ大学のケリー・ナカムラ講師によるハワイにおける日本人移民の歴史についての講義が行われました。ハワイに移住した日本人の歴史的背景、生活風景等が、スライドを用いてわかりやすく解説されました。



◇ハワイセミナー大学講義2日目
  21日(月)、セミナー第二日目の演台に立たれた大宗匠はご自身の経験に基づく様々なエピソードを交え、茶道の精神性について話されました。大宗匠の一言一句に団員は熱心に聞き入っていました。



  続いて、イースト・ウエスト・センターのヴィクトリア・キーナー博士が地球環境の変化と環境持続性について講義。環境が茶の木の生育に与える影響についても解説されました。



  その後、裏千家、ハワイ大学、イースト・ウエスト・センターよりそれぞれ参加者に修了証が授与されました。



  修了式後、団員はハワイ大学の食堂にて学生とともに昼食。その後、大学内茶室「寂庵」においてハワイ大学茶道部との交歓茶会に臨みました。茶席では恒例の手作りのお菓子が振る舞われました。また、隣接するイースト・ウエスト・センターにもハワイ大学茶道部OBによる立礼席が設けられ、オリジナルの立礼棚で一碗が呈されました。

寂庵席立礼席



  同日夕刻からは、シェラトン・ワイキキホテルにおいて大宗匠主催の晩餐会が開催され、重枝豊英総領事夫妻、ジョージ・有吉元ガバナー夫妻、トム・アップル ハワイ大学学長はじめ多数の来賓、現地関係者、黒川曙美 淡交会ハワイ協会会長はじめ協会役員・会員、セミナー参加者あわせて約300名が出席。大宗匠を囲んで懇親の輪が広がりました。



重枝総領事挨拶アップル学長挨拶


黒川会長挨拶味戸団長による乾杯


◇アラエ日本人先亡慰霊塔慰霊祭
  翌22日(火)、ハワイ島においてアラエ日本人先亡慰霊塔慰霊祭が開催。この慰霊塔は初期の日系移民の遺骨を弔うため、アベ・サンジ氏が私財を投じて建立されたものです。例年、ハワイ島日系人協会によって慰霊祭が営まれ、今も多くの日系人にとって自身の先祖が眠る場所として大切にされています。

  慰霊祭にはウィリアム・ケノイ ハワイ郡郡長、ヒロシ・スガ 日系人協会会長、またアベ・サンジ氏の親族であるパット・アベ氏をはじめ多数の来賓、神職・僧侶、ラッセル・小田 淡交会ヒロ協会会長はじめ協会会員、セミナー団員34名が参列しました。

  午前10時半、点前座に進まれた大宗匠は慰霊塔の前にてお茶湯の儀を厳修。一碗を慰霊塔に供えられると、参列者とともに静かに合掌されました。
  お茶湯の儀に続いて、代表献花。その後、ケノイ郡長より大宗匠へ感謝状が贈呈されました。



代表献花ケノイ郡長より感謝状贈呈


  正午からはヒロ・ハワイアンホテルにおいてヒロ協会との交歓昼食会が開催。昼食後にはリリウオカラニ公園内にある茶室「松浪庵」にてヒロ協会との交歓茶会が開かれました。
  ハワイ島の山々と美しい湾を臨む立地の松浪庵において参加者はヒロ協会の心づくしの一碗を楽しみました。

松浪庵席野点席


  23日(水)には裏千家ハワイ出張所内の茶室「汎洋庵」において呈茶席が設けられ、ハワイ協会会員よりセミナー団員に一碗がふるまわれました。和やかな雰囲気の中、セミナー期間中の思い出などが語り合われました。


◇サヨナラ・パーティー
  23日夕刻からはブレイカーズホテルのプールサイドに於いてサヨナラ・パーティーが行われました。
  ハワイアン音楽やフラダンスが披露され、恒例の学生・生徒によるパフォーマンスや福引で大いに盛り上がり、大宗匠を囲んで団員は最後の夜を心ゆくまで楽しみました。