第36回学校茶道指導者研修会開催 |
研究テーマ 「学校茶道、その原点を考える―茶道を通じて何を教え、何を伝えるべきか―」 |
7月27日(水)〜29日(金)の3日間、京都東急ホテルをメイン会場として、本年で36回を数える学校茶道指導者研修会を開催しました。近年は、茶道部の顧問教諭等の教職員を対象とする学校茶道担当者講習会との合同開催としていましたが、久方振りの単独開催。「学校茶道、その原点を考える―茶道を通じて何を教え、何を伝えるべきか―」の研究テーマのもと、淡交会各支部学校茶道連絡協議会会員190名が受講しました(学校茶道担当者講習会は明年5月開催予定)。 |
家元挨拶 |
27日の開講式で、家元は、「学校茶道は日本の生活様式を学んだうえで一服のお茶を楽しむというところへ興味を引き、若い世代を育成していただきたい。また、この3日間で茶道指導者としての疑問がひとつでも多く氷解していくように」と激励されました。 |
アドバイザー | 受講者 |
総本部報告【関根秀治 社団法人茶道裏千家淡交会専務理事】 | ||
〜 学校茶道の目指すもの 〜 | ||
開講式に続いて、関根秀治淡交会専務理事の総本部報告が行われ、裏千家の学校茶道への取り組みと歴史について解説。さらに、生活文化としての茶道、総合文化としての茶道、道の文化としての茶道を子どもたちへ伝える意義について言及されました。 |
基調講演【所 功氏 京都産業大学教授】 | |
〜 本真に“たいせつなこと”を学ぶ 〜 | |
“学校茶道、その原点を考える”をテーマとする今回の研修会で基調講演の講師は、地元の京都産業大学で法制史がご専門の所 功法学部教授。所氏は「国際化、情報化、少子高齢化が進む現代の子どもたちは本物と偽者を見極める、つまりは本真(ほんま)もんを学ぶ力をつけることが大切。茶道にあっても、教授者はその型だけを伝えるだけではなく、心や人としての生き方を伝えていくべきである」と、教育の原点を顧みながら説かれました。 |
意見交換会T | ||||||||||||||||||||||||
学校種毎に8グループに分かれ、活動報告と意見交換が行なわれました。 【座長】
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大学・短期大学 | 高等学校A公立 | 高等学校B公立 |
高等学校C私立 | 中学校 | 小学校・養聾盲学校A |
小学校・養聾盲学校B | 幼稚園・保育園 |
講義T【國分正明氏 教職員生涯福祉財団理事長・元文部事務次官】 | ||
〜 当面する学校教育上の諸課題について 〜 | ||
元文部科学省事務次官の国分正明氏は、今日の“ゆとり教育”が導入された経緯と背景を中央教育審議会の答申を基に、教育改革の理念と今後の方向性を詳説されました。その中にあって、我が国の歴史、伝統、文化を尊重する教育の大切さと必要性を説かれ、学校茶道が果たす役割を強調されました。 |
講義U【岡本浩一氏 東洋英和女学院大学教授】 | |
〜 学校茶道における心理学的工夫 〜 | |
岡本氏は茶道の指導に際しては、子どもたちに日本人としての自覚を持たせ、伝統文化への愛情・愛着を持たせることが大切であるとし、学校茶道の目標をどこに置くか、日常所作の再発見、茶道の現代性と国際性などを自身の体験に裏付けてわかりやすく説かれました。 |
意見交換会U | |
前日の意見交換会Tと同じグループに分かれ、さらに論点が深められ、学校茶道の本来の相や今後の茶道指導の在り方を考える時間帯となりました。 | |
利休御祖堂参拝・聚光院利休居士墓参と拝観・大徳寺三門拝観 | |
グループに分かれてホテルよりバス移動、利休居士ゆかりの地を訪問しました。 |
講義V【阿部宗正氏 裏千家今日庵業躰】 | ||
〜「教え、学ぶこと」〜 | ||
阿部氏は、茶道を学ぶ上で一番大切なことは何かという観点から、家元の執筆された新聞記事を例えに引きながら、茶道の基本について解説。「点前の三要素から美しい姿が生まれる。教えることは難しいが、正しいことのみを優しい言葉で、ニコニコ笑顔で自分の心と身体で奉仕することが楽しいお茶を教えることにつながる」と結ばれました。 |
全体会議 意見交換会T・Uの内容を各グループ代表が発表 宗家・総本部への質問には、木戸崇夫 淡交会常任理事が応じました。 |
閉講式 | |
受講者を代表して、淡交会参事・大分支部幹事長の大神宗公氏が修了証を拝受。 その後、淡交会関東第一地区学校茶道連絡協議会委員長・建部宗令氏が謝辞を述べ、閉会となりました。修了証とお土産を手にした受講者には充実感に溢れた表情が見えました。 |