第47回学校茶道指導者研修会・第37回学校茶道担当者講習会
合同研修会




  平成28年7月27日(水)から29日(金)までの3日間、宗家・グランドプリンスホテル京都を会場に開催し、淡交会各支部会員・各学校茶道連絡協議会会員125名、全国の裏千家茶道採用校の教職員等19名の計144名が受講しました。
  この研修は、学校教育における茶道の果たす役割やその可能性について考える機会として、「学校茶道指導者研修会」と「学校茶道担当者講習会」を合同で開催するものです。


7月27日(水)
<開講式>
  午後1時から開講式が行われ、千 宗室家元より挨拶があり、「昔から今では子供の遊び方が変わり、1人で遊べることが増えてきました。茶道も1人でも楽しめるものだと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、お茶というのはチームで一期一会を成り立たせることが欠かせません。皆さん方にはこの研修会を起承転結の起として地元に帰られてから指導に役立て、つなげていただきたく存じます」と受講者を激励されました。




<総本部報告> 関根秀治 裏千家事務総長・淡交会副理事長
  「学校で茶道を学ぶ子供はたくさんいます。しかしながら卒業とともにお茶から離れてしまう方がほとんどです。ずっとお茶の道を歩む方はさほどたくさんいないものですが皆さまにはお茶の道をしっかりと歩みそうな子供がいれば茶道を続けられるようサポートしていただきたく存じます」と語りました。




<基調講演> 伊ア一夫氏 (奈良学園大学人間教育学部 教授)
  「学校茶道の可能性―『ことばの力』の活性化―」と題し講演。アクティブラーニングという言葉に触れながら、「主体的な学びと対話的な学びの充実が深い学びにつながる」と話されました。また、「『ことば』を知らないということはその文化を知らないということであり、皆さまには茶道で使う『ことば』を子供たちに伝達して欲しい」としめくくられました。




<分科会T>
  受講者は学校種ごとに8グループに分かれ、座長を務めるアドバイザーの進行のもと自己紹介や互いの指導校の状況等を語り合いました。


座長
大学・短期大学・各種専門学校  船生宗敏氏(東日本国際大学非常勤講師)
高等学校A淺沼宗博氏(皇學館大学現代日本社会学部特別招聘教授)
高等学校B名取宗康氏(千葉県立東総工業高等学校校長)
高等学校C吉田宗石氏(静岡英和女学院中学校・高等学校校長)
中学校小関洋治氏(元和歌山県教育委員会教育長・公益財団法人南葵育英会理事長)
小学校A永野宗隆氏(高知県教育委員会事務局教育次長)
小学校B波佐間宗清氏(下関市教育委員会教育長)
幼稚園・保育所(園)  染山宗江氏(淡交会参事)


大学・短期大学・各種専門学校 高等学校A


高等学校B 高等学校C


中学校 小学校A


小学校B 幼稚園・保育所(園)


<夕食懇親会>
  野口常任理事の挨拶に続いて、アドバイザーの波佐間氏の発声で乾杯。学校種ごとにテーブルを囲み、終始和やかな雰囲気の中、懇親を深めました。アドバイザーの淺沼氏より中締めの挨拶があり会が締めくくられました。




7月28日(木)
<裏千家インフォメーション>
  裏千家学園茶道専門学校より映像を交えながら学園生活の紹介がありました。




<講義T> 名取宗康氏(千葉県立東総工業高等学校校長)
  「受講者に伝えたいこと〜学校管理者の立場から茶道指導者の方へ〜、〜淡交会役員の立場から後継者の育成について〜」と題し講義。学校内での茶道教育の位置づけについて話しながら、学校関係者・茶道指導者双方の立場から茶道教育の大切さについて語られました。




<講義U>筒井紘一 今日庵文庫長・茶道資料館副館長
  「裏千家の歴史と茶室」と題して講義。ストレスの多い現代社会で、茶道はストレス解消に効果的であるという研究結果について話されました。またかつては男性の嗜みであった茶道に女性がどのように関わってきたか等茶道の歴史に触れながら講義がありました。




<事例発表> 原 宗江氏(淡交会川崎学校茶道連絡協議会会員)
  日本中央競馬会(JRA)の騎手養成競馬学校において昭和57年の創立以来34年に亘り続けてこられた茶道指導について発表がありました。茶道が競馬学校に取り入れられた経緯や騎手となってからもらった言葉に感動した話などの発表がありました。




<実技解説>
  裏千家学園に会場を移し、中村宗石今日庵業躰による割稽古、薄茶平点前の実技解説がありました。




<宗家茶室拝観・平成茶室呈茶・茶道資料館見学>
  受講者は、3班に分かれ、宗家茶室拝観と平成茶室での呈茶、茶道資料館見学を行いました。初めて兜門をくぐる受講者も多く、茶道への思いを新たにする契機となりました。




7月29日(金)
<分科会U>
  初日に続いて学校種ごとに分科会を行いました。受講者が日頃の茶道指導における悩みや喜びを語り合い、より踏み込んだ情報交換の場となりました。


<全体会>
  アドバイザーの永野氏の進行で、分科会で話し合った内容を学校種ごとに代表8名から発表がありました。


幼稚園・保育所(園) 小学校A


小学校B 中学校


高等学校A 高等学校B


高等学校C 大学・短期大学・各種専門学校


<閉講式>
  閉講式では、学校茶道指導者研修会の受講者を代表して岡田宗温氏(今治支部副幹事長・今治学校茶道連絡協議会委員長)、学校茶道担当者講習会の受講者を代表して矢野宗寿氏(有松幼稚園園長)に修了証が授与されました。




  続いて主催者を代表し木戸崇夫専務理事より「茶道採用校が年々右肩あがりに増えていますが、過去からの積み重ねも大事にしながら、皆さまとともに学校茶道の充実・発展に力を注いで行きたいと考えていますので今後もお力添えをいただきたい」と挨拶がありました。




  山田宗代氏(淡交会参事補・札幌第四支部副幹事長)が受講者を代表して謝辞を述べ、3日間に亘る研修会を終了しました。




<オプショナル>
  研修会終了後、受講者のうち希望者のみ聚光院利休居士墓参と金毛閣拝観を行いました。