第46回学校茶道指導者研修会・第36回学校茶道担当者講習会
合同研修会



  平成27年7月19日(日)から21日(火)までの3日間、宗家・京都東急ホテルを会場に開催し、淡交会各学校茶道連絡協議会の会員111名、全国の裏千家茶道採用校の教職員等28名の計139名が受講しました。
  この研修は、学校教育における茶道の果たす役割やその可能性について考える機会として、「学校茶道指導者研修会」と「学校茶道担当者講習会」を合同で開催するものです。

7月19日(日)
<開講式>
  午後1時30分からの開講式では、主催者を代表して木戸崇夫淡交会専務理事より挨拶があり、「いつの時代も、次代を担うのは子供たちです。日本の最たる文化である茶道をこれからも皆様方の手で子供たちに伝えていただきたい」と述べました。



<基調講演> 石井雅彦氏(堺市教育委員会教育長)
   「茶の湯と堺の学校教育」と題し講演が行われました。利休居士の生誕地である堺市において、学校教育に茶道が取り入れられた経緯や堺市の教育制度について話が進められました。また、今年の3月にオープンした「さかい利晶の杜」のDVD映像が流され、堺市の取り組み、利休居士との深い関わりについても紹介がありました。



<分科会T>
  受講者は学校種ごとに8グループに分かれ分科会を行いました。アドバイザー(座長)の進行のもと、互いの自己紹介に始まり、それぞれの指導校の状況や指導方法について活発な意見交換が行われました。

アドバイザー(座長)
大学・短期大学・各種専門学校  船生宗敏氏(東日本国際大学教授)
高等学校A               中原宗正氏(徳島県立阿南工業高等学校教頭)
高等学校B               名取宗康氏(千葉県立長生高等学校副校長)
中学校                 小関洋治氏(元和歌山県教育委員会教育長・
                               公益財団法人南葵育英会理事長)
中学校・高等学校正科        浅沼宗博氏(皇學館大学現代日本社会学部特別招聘教授)
小学校A                 波佐間宗清氏(下関市教育委員会教育長)
小学校B                 永野宗骼(高知県教育委員会事務局教育次長)
幼稚園・保育所(園)          染山宗江氏(淡交会参事)

大学・短期大学・各種専門学校 高等学校A

高等学校B 中学校

中学校・高等学校正科 小学校A


小学校B 幼稚園・保育所(園)


<夕食懇親会>
  午後5時30分からは夕食懇親会を開宴。長谷川義翁淡交会総本部事務局長の挨拶に続いて、アドバイザーの浅沼宗博氏の発声で乾杯。分科会に続いて学校種ごとにテーブルを囲み、参加者は和やかな雰囲気の中、懇親を深めました。




7月20日(月)
<講義> 吉田幸一氏(静岡英和女学院中学校・高等学校校長)
   「学校茶道指導者の役割」と題し講義が行われました。民間出身の校長の立場から、茶道を正課に取り入れた公立学校の事例を紹介。また、新たな時代の茶道指導者に必要な役割について触れられ、受講者には茶道教育についての理解を更に深める内容となりました。



<事例発表>遠山秀史氏(京都府教育庁指導部高校教育課 指導第2担当総括指導主事)
  京都府で平成22年度より取り組みが行われている「高校生伝統文化事業」について発表がありました。府内の公立高校全校で行われている茶道教育の実施事例や、茶道を体験した生徒たちの感想が紹介され、受講者は熱心に耳を傾けました。



<大徳寺聚光院利休居士墓参・金毛閣拝観>
  その後、受講者は大徳寺に移動し、利休居士墓参と金毛閣拝観を行いました。真夏日の暑さでしたが、初めての墓参や拝観に深い感銘を受ける受講者もみられました。また、昼食は大徳寺内で精進鉄鉢料理を味わいました。

<実技解説>
  会場を裏千家学園に移し、中村宗石今日庵業躰による実技解説が行われました。「薄茶平点前」を学生・生徒に指導する際の要点や注意すべき箇所について解説され、参加者は興味深く聞き入りました。実技モデルは佛教大学茶道部の学生3名がつとめました。



<家元挨拶>
  千 宗室家元より挨拶があり、「学校茶道とはプロの茶人を育てる場所ではありません、未来の日本を美しく保っていくための種を蒔く場だと思っております。学校茶道の現場にいる皆さんの力で、子供たち一人ひとりに向き合ったご指導を心掛けてください」と受講者を激励されました。



<宗家茶室拝観・平成茶室呈茶・茶道資料館見学>
  その後、受講者は、兜門をくぐり宗家茶室・平成茶室へと向かいました。宗家茶室拝観では長い歴史の重みを肌で感じ、また平成茶室の呈茶では、ひと時暑さを忘れて一服をいただきました。
  茶道資料館では夏季展「裂地を知ろう、和菓子を知ろう」が開館されており、受講者は多くの裂地や、和菓子の製作過程の見学を行いました。

7月21日(火)
<分科会U>
  初日に引き続き学校種ごとに分科会を実施。茶道指導者と学校担当者がそれぞれの立場から茶道指導の難しさや喜び、また成功(失敗)例について語り合い、指導現場の実情理解と諸課題の解決に向けた情報交換の場となりました。

<全体会>
   アドバイザーの永野宗骼≠フ進行で、分科会で話し合った内容を学校種ごとの代表8名が発表。代表者からは、「今回の研修では参加されている皆様から様々な意見を伺うことができ、日頃の指導方法について改めて考える良い機会となった」等の感想が述べられました。

大学・短期大学・各種専門学校 高等学校A

高等学校B 中学校

中学校・高等学校正科 小学校A

小学校B 幼稚園・保育所(園)


<閉講式>
  閉講式では、関根秀治淡交会副理事長より学校茶道指導者研修会の受講者を代表して安永宗圭氏(筑豊支部副幹事長)、また、学校茶道担当者講習会の受講者を代表して榊 百樹子氏(旭川春光台保育園園長)にそれぞれ修了証書が授与されました。

指導者研修会代表拝受 担当者講習会代表拝受


  続いて主催者を代表して関根副理事長より、「日本の教育の三本柱の一つである『徳育』を教えてくれるのがお茶です。皆様方の奉仕的精神と努力によって学校茶道が支えられており、これからの日本をも支えていく、創っていくものだと思います。日本に茶道があってよかったと誇りを持って言えるよう、皆様とともに努力を続けていきたい」と挨拶があり、その後、中野宗裕氏(徳島支部副幹事長)が受講者を代表して謝辞を述べ、3日間に亘る研修会を終了しました。



受講者代表謝辞