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各服点

千 宗室

  曾祖父の圓能斎宗匠は時代を見る確かな目を持っておられました。
  学校で茶道を指導されたり、外国人の弟子を育てられたり。今では当たり前のようになっていることも圓能斎によって手掛けられています。また点前作法も古いものを復活されたり、また新しい扱いのものを考案されたりもしました。その中でも特筆されるのが『各服点』です。明治末から大正にかけては保健衛生観念が向上しつつある時代でした。そんな時代の流れを受けた圓能斎は、濃茶の飲み回しを避ける場合の作法・・・・・・・・・・・・・として、銘々に濃茶を練ってお出しする各服点を考案されました。祖父・淡々斎の『風興集』にその扱いが載っているのでご存じの方もおられるでしょう。
  客が五人の場合・・・・・を例に挙げます。亭主は正客お一人分の濃茶を練った後、水屋から一人前のお茶の入ったお茶碗四碗を長盆(圓能斎好みのものがあります)に戴せ、点前座に戻ります。そうして直ちにその各碗を練り上げ、次客以下に差し上げるという扱いです。
  私は圓能斎と同じ申の干支です。そんなことで昔からこの点前を広くご紹介したかったのですが、なかなか機会がありませんでした。新型コロナウイルス騒動の中、この窮地を転換させていく手法のひとつとして暫くは各服点を大いに活用していく心づもりです。
  皆さん、各服点の他にもいろいろ工夫してみませんか。案外面白いことを思い付くかもしれません。考えることも稽古の一環なのですから。

淡交タイムス 7月号 巻頭言より