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それぞれの立場で

千 宗室

  お蔭をもちまして庚子(かのえね)歳の初釜式を無事に終えることができました。毎年相変わりませず務めさせていただき、有り難いことと存じております。
  さて昨年、人間国宝に認定された歌舞伎役者 片岡秀太郎丈のインタビューを拝見して感銘を受けました。曰く、「数年前からそろそろ役者を引退して、若い人の指導に専念しようと思っていた。しかし、指導は同じ舞台に立っていてこそできるのだと感じるようになった。以前のような大役ではなく小さな役を通じてでも・・・・・・・・・・・・・・・・、舞台上で若い人たちに色々なことを伝えていくのが私の務めだと思っている」とのこと。秀太郎丈は毎年十二月に行われる京都南座の吉例顔見世興行に七十回目の出演を果たされ、養子の片岡愛之助丈とも共演しておられました。
  高齢化社会となって働き方改革が声高に叫ばれている昨今、年齢に応じた仕事ができるということが理想です。秀太郎丈であれば役者として経験を重ねてこられた今のご本人にしか出せない味わいがあります。血の繋がりの有無に関わらず一門の中で各人が果たすべき役割をしっかりと認識していてこそ、その家は続いていくのだと存じます。皆さまにはそれぞれの年齢やキャリアに応じて若い方に茶の湯をご指導いただければ幸いです。裏千家という大きな家の一員として、お一人おひとりの立場と姿を通じて茶の湯の楽しみ方や嗜み方を後進に伝えていっていただければと願う次第です。

淡交タイムス 2月号 巻頭言より