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間合いを計る

千 宗室

  席中で「ここでもう少し()がほしいな」と感じることがあります。たとえば軸について伺うと、軸から花入→花(花→花入ではなく(・・・・・・・・))、香合、時には点前道具まで一気呵成に説明をされる。学校茶道や青年部の方が覚えたことを忘れないようにと、途切れることなく述べることは構いません。皆、最初はそこから始まるのですから。けれどもプロの教授者には、客が説明を受けて字面を追い、また筆の配り方を見て「ああ、なるほどな」と考える、その一瞬の()を共に大切にしていただければ、と思います。
  「愛でる」という言葉があります。「軸をお読み上げください」と請う時、単に何と書いてあるのか知りたいだけではなく、亭主がその軸をお使いになったいろいろな想いが伝わってくるのが客としてはうれしい。客が亭主の話を聞いて何か一言申したい、そのために一瞬待ってくださるとそこに余裕が生まれます。また客も立て続けに亭主から話してもらえると期待して、何も言わずにただ座っているだけでは客としての務めを果たしているとは言えません。
  亭主と客ばかりでなく、夫婦、親子、先生と生徒・・・いずれもある程度の間があってこそ私たちは居心地良く過ごせます。間がないとやりとりができません。主客が少しずつ心を寄せ合ってこそ一座は成り立っていくもの。お互いにどんな球が飛んできても(・・・・・・・・・・・)上手に対応しようと心掛ければ、大寄せでも月釜でも本当によい勉強になります。間合いと言葉のキャッチボール(・・・・・・・)を意識しつつ茶席や日々の稽古に臨んでいただきたいと存じます。

淡交タイムス 10月号 巻頭言より