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もてなす側の心配り

千 宗室

  毎年、あちらこちらで様々な趣向のお茶に触れ、実り多い時間を過ごさせていただいております。
  茶会では大抵正客をさせていただきます。ごく稀にですが、亭主の方が私に「お家元に色々と失礼がないようにと思いまして…」と繰り返し仰ることがあります。
  確かに席主ともなるとあれこれ気を遣い、緊張されてしまうのは充分理解できます。しかしながら茶会は、家元が行く席のみがあるのではなく(・・・・・・・・・・・・・・・・)、何席も大勢のお客様をお迎えされるはず。その時に、正客にだけとらわれてしまうと席中にスムーズさが欠けてきます。最も大切にすべき心構えは、客の立場になって考え、来られたお客様全員(・・)に心を配ること。当たり前のようですが、実はなかなか難しいことです。
  お運びの際、出入口近くに座っているお客様の鼻先を(かす)めるように通っていないか。
  水屋の人は、五感をフルに使って席中に心を向けているか。
  自分達が今、茶筅を振っている茶碗がどのようなお客様の元へ供されるのか意識をしているか。
  点前、半東、水屋担当だけではなく、受付で券を受け取る人、下足をする人など全員がホストなのです。
  皆さまが茶会で連客に入られた際に「よいお茶会だったな」と思うのは、亭主側が正客を含め、連客それぞれにバランスよく心や目を行き届かせられていた時ではないでしょうか。茶の湯に限ったことではありませんが、相手に対する思いやり、まず相手を認め、相手の立場に立って考える優しさを持とうと意識することが勉強です。普段からそのことを意識して稽古をなさっていただければと思います。

淡交タイムス 2月号 巻頭言より