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茶事を考える

千 宗室

  淡々斎宗匠は招かれた会の記録を絵を添え残しておられました。私も真似してみようと自会記も他会記も、少し略式の茶事なども含めて三十五歳頃までは全部記録していました。茶席の道具組はもちろん料理の内容や懐石の器まで。「覚えよう」と血眼になるのではなく、慣れてくると自然と道具の取り合わせなどを自分の中に吸収できるようになりました。
  今はなかなか茶事をする時間も、また招かれる時間も無くなってきましたが、若い頃に色々と機会を頂いたお蔭で一応の下地をつけてもらえたと思います。特に古い業躰に催してもらった茶事など、思い出深いものがあります。今日庵の修復が落ち着きましたら諸行事とは別にゆっくりと茶事をしてみたいと思っています。
  季節や状況によって様々なものがありますが、基本は正午の茶事。まだ経験されていない方はぜひ稽古茶事でも挑戦してみていただきたい。基本を学ばず一部分だけを学び、それで茶の湯とのかかわりが終わってしまうのではいささか勿体ない。点前手続きの稽古だけでは理解できないことも、茶事を経験することで視界が開けます。
  最近は茶事で手間を省こうとする傾向が見られるようです。忙しい現代ですから工夫をされるのは構いません。しかし、本来はこうであるとの根本はしっかりと学びながら折々の茶の湯を楽しんでいただければと願います。

淡交タイムス 7月号 巻頭言より